ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From New York <ニューヨーク>: 最新の記事

From New York <ニューヨーク>: 月別アーカイブ

 皆様、こんにちは。ニューヨークは秋になり、夜は肌寒くなってきました。10月からはニューヨークではダンス公演が活発になってくる季節なので、楽しみにしています。
 9月半ば頃までは公演が少なめでしたが、今月もレポートをご覧ください。

ニュージーランドのボニファシオによる『レクイエム』

 毎年リンカーンセンターで開催される「モストリー・モーツァルト」というモーツァルト特集では、クラシック音楽コンサートを中心に、約1ヶ月間にわたって様々な公演が行われます。今年は7月29日から8月23日まで開催されました。その中でダンス公演もありましたので、今回、初めて鑑賞しに行ってみました。

『レクイエム』という作品は、芸術監督と振付、デザインは、レミ・ポニファシオです。今回がアメリカ初演で、ニュージーランドから招聘された作品です。ポニファシオはサモア生まれで、ニュージーランドの大学で哲学と政治を学びました。

 この作品を観る前は、その題名から、モーツァルトの「レクイエム」の音楽に合わせて振付けた作品なのかなと想像していました。しかし、実際には使われていた音楽は、モーツァルトの「レクイエム」とは全く関係が無いもので、アジア的な楽器の静かな音でした。この作品は、モーツァルトの残した偉大な曲「レクイエム」を祝福して分かち合うものだそうです、

 ダンスのカテゴリーはモダンダンスとなっています。振付は、ダンスらしいものは無くて、どちらかというと、全体を通してセリフの無い演劇のような感じでした。

とても印象に残っているシーンは、3人のアジア系の男性たちが、ニコリともせずに無表情で、背筋を伸ばしてヒザを曲げて小さく立ったまま、ササササッと小走りに同じリズムと同じ速度で出てきて舞台上を練り歩いたり、通り過ぎたり、何度もくり返しでてきたところです。3人で小さなテーブルの前に座って、手だけで同じ動きをしたところもありました。この3人の動きを見ていると、この世のものではない小人を見ているような、不思議な世界に迷い込んだような感覚になりました。

舞台全体は、暗めで照明がおさえられていて、スポットライトをあてたような感じで、ノスタルジックな印象を作っていました。日が沈む前のような雰囲気でした。虫の鳴き声も音で流れました。