ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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 皆様、こんにちは。  私は5年半前にニューヨークに引っ越して以来、初めて長期の一時帰国をしていました。自分の国で、久しぶりにゆっくりとリラックスして休むことが出来ました。日本は安全な感じで、素晴らしいところですね!  ニューヨークは、まだ夜は冷え込みますが昼間は大分暖かくなり、春らしい季節を迎えました。

日本人制作のロボットも登場したトリシャ・ブラウンのダンス

 2月5日から10日まで、ジョイスシアターにて、トリシャ・ブラウン・ダンス・カンパニーの公演がありました。3つの小品集でした。

 このカンパニーはニューヨークベースで、1970年に振付家、芸術監督のトリシャ・ブラウンが創立したもので、37年以上の歴史があります。レパートリーは、ソロ作品や小さなグループでの作品が多く、著名なビジュアル・アーティストとの重要なコラボレーションも行ってきました。

 トリシャ・ブラウンは、ダンスの歴史の中の“ポスト・モダン”時代の真っ只中からニューヨークで活躍してきました。1960年代のニューヨーク“ダンス革命”の時代には、その一部であったJudson Dance Theaterに所属していたダンサーでした。 プログラム一つ目の『フォレイ・フォレット』は、トリシャ・ブラウン振付1990年の作品です。ダンサーは男女10名で、一言で言うと、“不思議な振り付け”でした。足をあまり上げずに動き回り、ひじを伸ばしたままとか、リリース・テクニックを基本にしていました。ダンサーたちが、同じ振付を少しずらして続けるところも面白かったです。

 音楽の使い方も個性的で、音のないところもあり、音楽がものすごく遠くから小さく聞こえてくるような音響でサンバが鳴っていたり、マーチのような明るい音楽に変わったり、すすけたような濁ったような古く擦り切れた感じの音質の音楽など、工夫されていて面白かったです。

『イフ・ユー・クドゥント・シー・ミー』は、1994年の作品で、これも振付はトリシャ・ブラウンです。黒人女性のソロダンスです。彼女は背が高く、足がとても長くて美しかったです。最初から最後までずっと、舞台の後ろを向いたまま踊り顔を見せませんでした。

 不協和音でリズムもない音楽、踊りもリズムがなく不規則な動きが続いていました。ひじを伸ばして力を抜いて、手をブンブンと振り回す様な振付が多かったです。とてもニューヨークらしい作品で、ポスト・モダンの影響を感じました。

 最後の『アイ・ラブ・マイ・ロボッツ』は、2007年の新しい作品です。これは舞台セットデザインを日本人の岡崎乾二郎が務めています。舞台上に登場するロボットは、福井裕司、中井悠によるものです。

 T字型で、柱のようにまっすぐ棒が立っている、リモコンで動くロボットが2台、舞台の上でダンサーたちと一緒に動きました。この棒のロボットは、高さが3mくらいあります。この棒のロボットが、リモコンで動いたり止まったり、動き回ります。リモコンを操作している人は舞台上にはでてきません。ダンサーは数名出てきて踊りましたが、この棒のロボットと共にぐるぐる回って追いかけっこしたりしていました。

 ダンスの振付のテクニックとしては、リフトもなく平面的で似たような振付が続いて、足もほとんど上げずに簡単でしたが、これは、ロボットを登場させてそれと組み合わせるということがメインの作品でしょう。