ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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 皆様、こんにちは。ニューヨークはいい気候が続いています。暑くなってきましたが、ちょうど過ごしやすい季節です。  さて、ニューヨークは、今はダンス公演シーズンの真っ盛りです。1年で一番忙しいといってもいい時期です。観たい公演がたくさんあります。ニューヨーク・シティ・バレエ、ABTの公演のシーズンでもありました。ABTのレポートは、今月号と来月号に分けてお送りします。7月には、毎年恒例のリンカーン・センター・フェスティバルがおこなわれるので、こちらのダンス公演も観劇する予定です。今からとても楽しみにしています。

ニューヨーク・シティ・バレエの三つの舞台

 4月24日から6月24日まで、リンカーンセンターのニューヨーク・ステート・シアターで、ニューヨーク・シティ・バレエの公演が行われていました。
 私が観た公演は、5月24日の「ア・グリーク・トリロジー」です。3つの小品集です。
 3つとも、今までにレポートしたことがある作品で、すべて、ストラヴィンスキー作曲の音楽を使っています。振付はジョージ・バランシンによるものです。個性的なストラヴィンスキーの音楽の生演奏も聴けて、耳で聴いても目で観ても楽しめる素晴らしいプログラムでした。衣装と舞台セットはとてもシンプルで、現代的でした。セットと衣装がシンプルなのも、ダンサーたちがとても引き立って良かったです。

『アポロ』
ニラス・マーティンス
『アポロ』は、アポロ役にニラス・マーティンス、テレプシコール役にマリア・コウロスキー、ポリヒュムニア役にジェニー・ソモジ、カリオペ役にレイチェル・ルザーフォードでした。「プレイビル」に書かれていましたが、この作品の初公演の数年後の、1931年に、デンマーク・ロイヤル・バレエ団によっても上演されましたが、その時にニラス・マーティンスの叔父のレイフ・オーンバーグが主役を踊ったそうです。また、彼の父親(ピーター)もニューヨーク・シティ・バレエで初めて役を演じたのが、この作品なのだそうです。彼自身にとっても、この作品は、彼のキャリアを通してずっと踊り続けてきた作品です。彼は、バレエ一家に生まれて血を引き継いでいるのですね。長く踊り継がれている素晴らしい作品を、今の時代でも形を変えて、観ることが出来るなんて、感慨深いです。

 最後のシーンがとても目に焼きついて印象的です。夕焼けのような太陽の影の前で、ダンサーたち4人が重なって、3人の女性たちが高さが違うアラベスクで静止して、美しかったです。

『オルフェ』はギリシャ神話の題材で、オルフェ役にアスク・ラ・コール、ダークエンジェル役にアマール・ラマサール、エウリディケ役にウェンディー・ウェーラン、アポロ役にエイドリアン・ダンチグ-ワリングでした。1948年初演、1972年リバイバル公演されています。

舞台セットには、大きな3つの白い石が置かれていて、その印象がなんとなく「イサム・ノグチの作品みたいだなあ。どこかで観たことがあるような・・・真似したのかなあ、影響を受けたのかなあ」と思っていました。後でプレイビルを観ると、なんと、この作品の衣装も舞台セットも、まさにイサム・ノグチ(彫刻家)によるものでした。なんとなく、彼独特の世界が漂っているものです。衣装も舞台セットもとても面白くて個性的なもので、美的センスがあふれる良い作品で感激しました。
イサム・ノグチは生前、マーサ・グラハムの舞台セットもたくさん創りました。(これについては過去のこちらのコラムにも書きました。)

 幻想的な世界の作品で、美術的にも優れていて、振り付けもダンサーたちも最高なので、客席で観ていると、おとぎの国に紛れ込んだような気分になれました。また何度でもじっくりと観てみたい作品です。おすすめです。

『アゴン』
『アゴン』は、8人のプリンシパルやソリストたちが踊りました。メイガン・ルコーン、テレサ・ライヒェルン、アルバート・エヴァンス、アンドリュー・ヴィエット、アマンダ・ハンクス、サバンナ・ロワリー、セス・オルザ、アマール・ラマサールでした。1957年初演です。洗練された作品です。

 これは、パート3に分かれていて、4人のダンサーたち、8人のダンサーたち、パ・ド・トロワ、パ・ド・ドゥ、4組のデュオ、4組のトリオなどのクラシックベースの振付の構成でした。男性2人と女性1人の3名で踊るところで、シャンディマンしている女性を一人の男性が上に放り投げて、それをもう一人の男性が受け取って女性が着地するという振付が面白くて印象に残っています。