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●ABTの『海賊』ほか、アンヘル・コレーラに感動

 5月24日から7月16日まで、アメリカン・バレエ・シアターの公演が、メトロポリタン・オペラ・ハウスで行なわれています。今月は、3回公演を観にいきました。

 5月25日は、『ドン・キホーテ』を観ました。おなじみの作品ですね。以前、ABTのこの作品のレポートを書いたので、詳細は省きます。ドン・キホーテはヴィクトール・バービー、サンチョ・パンサはアレッサンドロ・パリス・ニーニョ、キトリはジリアン・マーフィー、バジルはカルロス・アコスタです。 3幕で構成されている作品です。舞台セットも衣装もとても豪華で、舞台全体が、何枚にも渡る絵画の連続のようで、美しかったです。楽しい作品です。

 6月2日は、オール・スター・チャイコフスキー・プログラムという4つの小品集で、まさに、大勢のプリンシパルの踊りを一度に観ることができた贅沢な機会でした。『バレエ・インペリアル』(クラシカル・バレエ・イン・スリー・ムーヴメンツ)は、ジョージ・バランシン振付の作品です。この作品は、1988年2月から、ABTのレパートリーになりました。パロマ・へレーラ、ジェナディ・サヴェリエフ、モ二―ク・メウナイアーらと、28名の多数の群舞です。バランシンらしい優雅で上品な振付で美しかったです。

『ドン・キホーテ』


『白鳥の湖』
『白鳥の湖』のパ・ド・ドゥは、ジュリー・ケントとマルセロ・ゴメスのペアでした。ジュリー・ケントの踊りは初めて観ましたが、その素晴らしい表現力に驚きました。特に、腕や首の動かし方と表情が素晴らしく、流れるように優雅でした。情感のこもった踊り方をします。本当に、白鳥のように見えました。特に、鳥が足先を小刻みに動かしているような振付の部分が、まるで白鳥が動いているように見えたので、彼女は白鳥になりきって踊っていたのだと思います。今後もっと彼女の踊りを観てみたいと思いました。

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』は、ジョージ・バランシンの振付です。シオマラ・レイエスとアンヘル・コレーラです。アンヘルの踊りは、いつ観ても素晴らしい表現力です。明るく、人柄の良さがにじみ出ていて、本当に楽しそうに踊ります。観ているこちらまで楽しく、気持ちよくなれます。あれだけ大人気のスターなのに、エゴの感じられない踊り方です。彼は本当に踊りが好きなのですね。彼が出てきただけで、観客は歓声をあげて大拍手でした。すごい人気ですね。シオマラは、とても可愛らしい踊り方をします。

『テーマとヴァリエーション』は、ABTのために創られたジョージ・バランシンの振付で、初演は1947年11月です。サラ・レーンとエルマン・コルネホのペアと、大勢の群舞です。エルマンの踊りにも驚きました。彼はまだ若そうですが、素晴らしいダンサーで、今後どんどんと頭角を現してくるだろうと感じました。運動神経がずば抜けていのでしょうか、踊りにキレがあり、動きがとても素速くシャープです。一挙手一挙動が、素速いのです。雰囲気は荒々しい男性的な力強い感じです。今後が楽しみですね。

 6月23日は、『海賊』を観ました。これは、毎年は上演されない作品なので、見逃せませんでした。 3幕で構成されています。衣装も舞台装置も、豪華絢爛でした。大きな船もセットに使われていました。男性の踊りが多いため、なんと、男性プリンシパルが5人も一同に出ます。女性のプリンシパルも2名です。ですから、見応えのある、得した気分になれる作品です。フリオ・ボッカ、エルマン・コルネホ、アンヘル・コレーラ、ヴィクトール・バービー、ジュリー・ケント、シオマラ・レイエスです。すごいでしょう?この作品が上演されている時には、逃さずに観てくださいね。男性たちの踊りは激しいもので、ジャンプや大回転が繰り広げられます。第2幕の、奴隷役のアンヘルの踊りには、鳥肌が立ちました。いつもの王子様役と違って、荒々しい力強い踊りです。空中で一瞬、画像が静止したかのようにビシッと決まっていて、何かが憑依したかのような素晴らしい踊りでした。あまりに鳥肌が立ってしまったので、彼のこの踊りが目に焼き付いています。目をつぶるといつでも思い出せます。彼はダントツに抜きん出ていますね。

 

『テーマとヴァリエーション』


『海賊』