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●シェン・ウェイ・ダンス・アーツの『コネクト・トランスファー』

 7月6日から25日まで、リンカーンセンター・フェスティバル2004が行われました。今年は日本の歌舞伎「平成中村座」が初めてニューヨークに来るということで早くから話題になっていました。もちろんチケットは完売です。このフェスティバルの中で、私はシェン・ウェイ・ダンス・アーツを観ました。彼らはデビューした去年に引き続き2回目の出演で、雑誌や新聞でも取り上げられ注目され、今年もチケットは完売という人気ぶりでした。私は去年の公演も観ましたが、今年のほうがさらに良くなっていました。今後の活躍が期待されている大型新人です。

中国人のシェン・ウェイは、京劇の俳優の家庭に生まれ、6歳で初舞台を踏みました。その後、20歳の時に北京でカナダのモダン・ダンス・カンパニーの公演を観て、モダン・ダンサーになりたいと強く思い、中国のモダン・ダンス・アカデミーで学び始め、学校がダンス・カンパニーを作ると、彼はその振付家になりました。その後ニューヨークに来て活動し現在に至ります。彼はまだ36歳という若さです。

上演したのは、『コネクト・トランスファー』。シェン・ウェイ自身もダンサーとして出演しました。彼のプロフィールには、振付家、ダンサー、画家、デザイナーとあります。セットとコスチューム・デザインも彼によるもので、ダンサーたちのコスチュームはグレーから黒のモノトーンの長袖シャツとパンツ。各ダンサーの衣装は全く同じではなく、少しずつ違っていました。なかなかセンスのいいものでした。

この作品について、「私は作品とアートを切り離したくはない。動きがどのように音楽と関係しているか、ダンスはどのようにビジュアル・アーツと関係しているか、それぞれの要素がどのように合わさっているのかを見たい」と彼は書いています。舞台の床を大きなキャンバスと見立て、ダンサーたちは途中で、手や足にインクがついた手袋をはめて、それで動きの跡を床に描きながら踊ります。シェン・ウェイは、これを「エナジー・メモリー」と呼んでいます。手をついてぐるぐる回りながら進んでいくところが多かったので、床にはグルグルと円に近い連なった曲線がいくつか描き重ねられていきました。また、ダンサーたち数人が仰向けに寝転がって、背中と肩を動かして横に進んでいくところがありましたが、ふと気付くと通り過ぎた跡には芋虫が通ったかのような跡が描かれていました。ダンサーたちの背中にインクがつけられていたのです。

音楽はストリングスやピアノの生演奏で、エリック・サティのような、ランダムな音でした。振付はすべて独特な雰囲気のもので、不思議で奇妙、ゆったりとして大陸的な大きさがあり、他の誰の踊りにも似ていません。シェン・ウェイの個性が強く感じられます。