ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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 ニューヨークは最近気候が不順で、とても暑い日があったり、肌寒い日があったり、気温の変化が激しいです。6月はABTとNYCBのシーズンであった他、BAMでもダンス公演が2つ催され、取材に忙しい月でした。BAMはブルックリンにあり、マンハッタンから行くのは不便で億劫なのですが、とてもいいダンス公演が来るので、行ける時はできるだけ観たいと思っております。プログラムもいいし劇場の感じも可愛らしいので、私はBAMのファンです。今月号は、ABTの特集が目玉です。ABTについては、来月もレポートいたします。お楽しみに。

●本格的アフリカ文化を体験できるフェスティバル、ダンス・アフリカ 2004

 5月28日から30日に、BAMで、ダンス・アフリカ 2004が開催されました。これは毎年恒例のフェスティバル公演で、出演者はほぼ全員黒人ダンサー達とパーカッショニスト達で、観客はほとんどがアフリカの民族衣装に身を包んだ黒人達でした。腰ミノのようなアフリカ原住民風の衣装が多く、大勢のパーカッショニスト達が生演奏していて、ニューヨークにいるのにアフリカにいるかのように錯覚するほどでした。その日は、舞台の幕もアフリカの地図のものに付け替えられていました。観客の中には白人カップルや子供連れの家族もいて、思い思いに楽しんでおり、小さな子供がいたら見せに連れて行きたいようなとても楽しい公演でした。 BAMの周りは一部交通止めになっていてアフリカンのマーケットがたくさん出店していて、アフリカの食べ物や飲み物、洋服やアクセサリーが売られていました。この日は本格的なアフリカの文化を体験できる年に一度のフェスティバルなのでおすすめです。

 「私達の故郷であるアフリカのダンス、ドラム、歌、チャントを捧げます」という挨拶文がプログラムにあり、今年のテーマは「ダンサーのパス(path)、太古の伝統と現代的な傾向」でした。このダンス・アフリカとその芸術監督であるチャック・デイヴィスは、2004年4月26日に、「ダンス・マガジン・アワード」のアーティスティック・エクセレンスの賞を受賞しました。

 ババ・チャック・デイヴィスによる『ジャリバ』というアフリカの伝統的な挨拶とバンタバ(ダンシング・グラウンド)への歓迎の意味のダンス、続いてルイジアナからのゲストであるシャカ・ズールの踊りがありました。次はガーナからきた、ニイ・テッテイ・テッテ&ザ・クスン・アンサンブルのダンスでした。ダンサーは5人、パーカッショニストは6人です。色とりどりの鮮やかな衣装や、腰ミノのようなアフリカ原住民風の衣装で出てきました。『ティガレ』(北ガーナ起源で後に南に広がったヒーリングと儀式のダンス)、『バワ』(部族の男女が食物の実りに感謝と喜びを表現する毎年の豊作の踊り)、『フメフメ』(ガーナの若いダンス)、『ンベンデ』(ジンバブエの踊りで、部族の酋長が結婚する時に踊る伝統的なもの)が次々にくり広げられました。

 次は、ニューヨーク・シティーのザ・バンバラ・ドラム&ダンス・アンサンブルでした。手に小道具などを持って出てきて、演技つきの踊りでした。ピンク、水色、緑、オレンジなどの鮮やかな色の上下の衣装で、激しい太古のリズムに乗って、リズム感の優れた踊りで、観客は拍手喝采で喜んでいました。踊りはとても激しくて、迫力満点でした。アフリカの儀式のような踊りや、ヒップホップの前身のような踊り、女性の歌とお尻をくねくね回す振付もあり、男性ダンサー2人の踊りもありました。女性3人が歌いながら踊る、祈りのようなものもありました。『トーチ・オブ・ホープ』(ギネアのソシアルダンス)バウ(フォレスト・ダンス)、ソコ(パワーのダンス))、『ザ・アンブロークン・スピリット』(ゴウンベ、スンヌ。西アフリカのマリ地方のもの。有色人種はいつもスピリットと文化に深く根ざしてきた)などの踊りでした。

 第2部はBAMレストレーション・ダンス・アフリカ・アンサンブル&クスンによる『アツィアグベコル』(戦いの時に部族の人々の精神を鍛えて強くするためのダンス)が披露されました。次はバージニアからのエズィブ・ムントゥ・アフリカン・ダンス・カンパニーによる踊りがありました。ダンサーは総勢14人、パーカッショニストは6人で、ジンベと言うアフリカンドラムをたたいていました。

 最後は全員勢ぞろいのフィナーレでした。このフェスティバルは、大勢の太鼓の生演奏の客席に響く強烈なリズムと、力強いダンスの熱気に圧倒された、パワフルなもので、エネルギーを分けていただいた感じがしました。締めくくりの挨拶では、「隣の人とハグをしてください!」との言葉に、会場の皆は見知らぬ人とハグしてハッピーを分かちあっていました。微笑ましいエンディングでした。


ダンス・アフリカ

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