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●マーサ・グラハム・ダンス・カンパニーの公演

 4月14日から25日まで、シティーセンターにて、マーサ・グラハム・ダンス・カンパニーの公演が行われました。日本人ダンサーのミキ・オリハラさんとユウコ・スズキさんが出演しています。私が観たものはプログラムA『キルケ』(1963)、『Herodiade』(1944)、『エランド・イントゥー・ザ・メーズ』(1947)、『メープル・リーフ・ラグ』(1990)と、プログラムB『ザ・アウル・アンド・ザ・プッシーキャット』(1978)、『心の洞窟』(1946)、『スケッチース・フロム・クロニクル』(1936)。今回上演の作品の大部分は、歴史的な現代アートの彫刻家であるイサム野口(日米ハーフの私生児だった人で、美術館がニューヨークにある)による舞台セットでした。衣装は上品な、長い裾のフレアーワンピースが多かったです。

 このカンパニーは彼女のダンススクールと同時に、1926年に創立されました。アメリカで最も古いコンテンポラリー・ダンス・カンパニーとして知られています。マーサ・グラハムは、基本的な人間の動作と、構成とリリースの最も簡単な動きの始まりをもとに、彼女自身のテクニックを発達させました。そして「ダンサーの肉体の感情活動を拡大させる」動きのボキャブラリーを作り上げました。彼女のダンスと振付は、シャープな、角張った、急激に変化する、直接的な動きを通して、人間の感情の深みを露わにしています。世界中の多くの偉大なコンテンポラリーの振付家たちが、マーサ・グラハム・テク二―クを学んだり、彼女のカンパニーに在籍したりしています。彼女は、生涯に181作品ものバレエとダンスを創作しました。

 全体に、単純な振付とゆったりした音楽が多かったです。プログラムAで印象に残った作品は、『エランド・イントゥー・ザ・メーズ』、『メープル・リーフ・ラグ』。後者は、舞台セットに、きしんで揺れる大きなバーがありました。そのバーの上に、男女のダンサーが座ってバランスを取りながら、少しづつ近付いて抱き合ったり、ペアで踊りました。そして合間に、衣装が全身タイツのようなレオタードの、大勢のダンサーが通り過ぎていきました。カップルが次々に出てきて、ペアで踊り、バーの上に座り、3組目も4組目も5組目も、最後にはバーの上に抱き合って座りました。 6組目も踊って、今度はバーの前で2人並んで座ります。やがて皆消えてしまって、最初のカップルの女のこの方だけが残り、バーの上でほお杖をついて終わりました。この作品は、何箇所でも、皆が笑っていた、楽しい作品です。

 プログラムBで印象に残った作品は、『ザ・アウル・アンド・ザ・プッシーキャット』、『スケッチース・フロム・クロニクル』。 前者は、アメリカン・ヴォーグ誌の編集者であるアンドレ・レオン・タレイがストーリー・テラーとして舞台に出ていて、 彼は大きなお腹の大柄な黒人で絵になっていて、会場を沸かせていました。 詩人エドワード・リアーの同名の詩をもとにして創作した作品です。 78年のメトロポリタン・オペラ・ハウスでの初演時には、なんとナレーターはライザ・ミネリでした。フクロウとネコのカップルが出会い、結婚するまでのお話です。 イルカ達や人魚達も出てきて、結婚式の楽しいシーンもあり、明るく楽しい舞台でした。後者は、1936年当時の、ヨーロッパのファシズムの脅迫に対する答えの作品でした。 とてもスピード感にあふれた迫力のある振り付けで、とても良かったです

マーサ・グラハム
<ザ・アウル・アンド・ザ・プッシーキャット>

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