ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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厳しい寒さだったニューヨークも、随分暖かくなってきました。夜は冷え込みますが、それでももう分厚いオーバーや手袋は必要ありません。もうすぐ春がやってくるのが楽しみです。さて、今月のレポートの目玉は、ドイツのハンブルグ・バレエの公演です。私好みの作品で、感動して強い衝撃を受け、その衝撃は数日間続きました。同行した友人も同様で、彼もその晩は興奮が続いて明け方五時頃まで起きていたそうです。フランス文学的な内容が素晴らしかったです。もう一度同じ公演を観たいくらいでした。これはおすすめです。機会があれば、この『ニジンスキー』をご覧になってください。

<ダグ・バローン・アンド・ダンサーズ>の4作品

2月3日から8日まで、ジョイスシアターにて、ダグ・バローン・アンド・ダンサーズの公演が行なわれました。上演プログラムは2種類あり、合計で5種類の作品を披露しました。彼らは、1986年創立で、今年18回目のシーズンを迎えるコンテンポラリー・ダンス・カンパニーで、ニューヨークの8つのダンス・パフォーマンス・アワーズを受賞しています。芸術監督であるダグ・バローンはニューヨーク出身で、オペラ、ブロードウェイ、シアター、映画やテレビ番組のためのコンテンポラリー・ダンスの振付家として知られています。オペラでは、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ、ワシントン・オペラ、ミネソタ・オペラ、ニューヨーク・シティー・オペラなどです。1997年には、彼自身の作品『トライアンフ・オブ・ラヴ』で、ブロードウェイ・デビューを果たしています。
  私が観たものは4つの作品です。『オン・ザ・アース・オヴ・ビロウ』は、2003年のものです。舞台背景はレンガの壁で、最初は音楽無しで男性4人と女性5人のダンサーが出てきて、喧嘩の様子。激しい音楽が鳴り、女性一人を男性2人が取り合ったり、男女ペアがいちゃついているところに女性1人が割り込んできたりしていました。

『ショートストーリー』は、2001年の作品です。ダグ・バローン本人もダンサーとして出演しました。登場人物は男女ペア2人だけです。女性は男から逃れようとしますが、男性は女性にすがり、引っ張り、抱きしめようとします。女性はしかめた顔をして、男性は無理に女性を引っ張って、くり返しています。女性は何度も何度も男性から逃れようとしては戻されていました。女性は拒否して、男性はすがります。別れようと思っても別れられない様子を表現しています。

『キャッスルズ』は、今回が初演です。6つのシーンに分かれて構成されていました。最初、舞台には上から細い円い照明がいくつか当たっていて、水玉状に光が照らされていました。男女の出会いや親しくなっていく様子が描かれていました。最初は男性のソロで、次第に大勢のダンサー達が出てきて踊りました。男性ペアがたわむれておそろいの振付けをしているところは、ゲイを表現しているのでしょう。男女ペアの踊りも、だんだん、女性が入れ替わって消えていきました。一人の男性を3人の女性が取り合いしたり、男女が次第に知り合って親しくなったり、色々なドラマを表現していました。男女が寝転んで、床で重なったり立ち上がったりして表現する振付もあり、面白かったです。

『ライズ』は、1993年の作品です。チャイニーズの女性ダンサーが中心でした。ビュンビュンとスピード感あふれる踊り方をしていて個性的でした。同行していたダンスがあまりよく分からないジャーナリストの友人が、「あの中国人はよく出ているけれど、踊り方に何か華がないんだけど、なんで?」と私に聞きました。素人の率直ないい質問です。「彼女は体、特に関節が硬い様子で、股関節が開いていない。本当はもっとお尻を引っ込めたほうがいいのだけれどね。ダンサーとしては不利だけれど、コンテンポラリーだから、クラシックのように股関節を広げることを要求されていないのだろうね。スピード感のほうを重視されているのでしょう」と答えました。全体に、ロマンティックで、ぶんぶんと手を振り上げたりして反動で回ったり足を上げたりする、リモン・テク二―クを多用したスピード感がある振付でした。走り回って、腕を組んで踊ったり、リフトを多用して、リフトをしたまま上でグルグル回す難度の高い技も取り入れていました。