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アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター

 12月3日から1月4日まで、シティーセンターにて、45周年を迎えたアルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターの公演が行なわれています。アルヴィン・エイリーとそのアフロアメリカンのモダンダンサー達のグループが、1958年3月に92丁目のヤング・メンズ・ヘブライ・アソシエーション・イン・ニューヨークで公演を行ったことから始まりました。このカンパニーは、これまでに6大陸68カ国の1900万人の観客を動員しています。アルヴィン・エイリーはテキサス生まれで、彼の血の記憶をもとに、ブルース、スピリチュアル、ゴスペルからインスピレーションを得て、作品を作りました。その彼の創作が最も開花し、人気のある有名な作品が『リべレーションズ』と言われています。89年のエイリーの死後、ジュディス・ジェミソンが芸術監督を務め、カンパニーを率いています。副監督は、日本人の茶谷正純です。私は12月12日の公演を観にいきました。4つの小品集です。黒人ダンサー達の身体の中に持っている大地に根ざしたような躍動的なリズム感、バネのある美しい肉体、ソウルに圧倒され、違う作品も何度でも観たいと思いました。素晴らしいの一言です。隣の座席の黒人夫婦は、アトランタからわざわざ観に来たと言っていました。まだ観たことのない人は、一度は必ず観ておいたほうがいいカンパニーです。

『サービング・ニア』は、2001年の新しい作品です。衣装はアフリカ風、音楽はジャズやアフリカンで、照明は夕日のようで、語り合っているような振付でした。
『トレーディング』は1979年の作品。男女ペアのみの踊りで、衣装は斜めにピンクや水色の縞がはいった肌色のワンピースレオタードでした。座ってお尻をついて踊り、立ち上がって1番ポディションで少し前かがみにプリエして沈み込んで、手は大きく広げたままなので、ワシのように見えました。男性が下に入ってブリッジをしてその腰に女性がまたいで、上に持ち上げたり、個性的な振付でした。

 圧巻は、『リヴェレーションズ』。ゴスペルよりも以前の音楽である黒人霊歌(ニグロスピリチュアル)だけを使った作品で、黒人差別の悲しみか何か、圧倒的なこみ上げられた強い波動が伝わってきて、今までで一番ダンスで感動し、衝撃を受けました。。

観終わった後は、ショックでしばらく唖然としてしまいました。振付の動き1つ1つを拾って観ると、そんなに難しい動きは一切していないのに、なぜ単純な動きだけの連続で感動するのか、理由が分かりませんでした。芸術作品というものは、技術よりも伝える内容やスピリットのほうが大切なことなのですね。鳥の羽を大きく広げるようにして、前かがみに沈み込んでアンオウを開いたまま、そして何かをすくうように仰ぐようにして、腕を見つめて上に上げていて、天への信仰心があふれていてジーンとしました。手の平と指を開いて、腕を伸ばしたり、グルグル回したり、手の平をそのままこちらに向けで首だけをぐるぐる回したりを繰り返し多用していました。ピルエットのときに手の甲を外に向けて腕を曲げて回っていて、リモン・テク二―クよりももっと腕が内側に閉じていて、手の指が開いた状態でした。飛び跳ねたり、早く激しい振付もありました。観客はほとんど全員立ち上がっての大拍手でした。この作品は忘れられません。本当にいい物を観させていただいて良かったです。皆様にもお薦めの作品です。