ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From New York <ニューヨーク>: 最新の記事

From New York <ニューヨーク>: 月別アーカイブ

 最近、モダンダンスの鑑賞が面白くなってきました。私は長年クラシックバレエをやっていたため、正直言って、ニューヨークに来るまでは、モダンダンスはクラシックに比べて技術的に表現力が物足りないイメージを持っていました。でもニューヨークはモダンダンス公演にあふれる街だし、周りの友人の勧めもあって鑑賞を重ねるうちに、その面白さにハマってきました。今までは面白いモダンダンスにほとんど触れたことがなかっただけだったことに気付きました。モダンの照明や表現方法には実験的なものが時々あって興味深いので、興味のあるモダンダンスの公演は出来るだけ観たいと思っています。

ル・バレエ・ジャズ・ドゥ・モントリオールの小品集

カナダのモントリオールからやってきたル・バレエ・ジャズ・ドゥ・モントリオールの公演が、12月2から7日までジョイスシアターでありました。彼らは約30年活動を続けています。振付は、全体的にクラシックとモダンダンスがミックスされています。ジャズダンスを想像していましたが、今までに観た他のカンパニーと似ていない非常に独創的な振付で、面白かったです。98年より、芸術監督はルイス・ロビタイユが務めています。今回の公演は、5つの小品集でした。

1つ目の『ライトタイム・オープンスペース』は、最初、幕が上がると真っ暗闇で、徐々に舞台下手から薄い照明が当たってきて、白い布でくるまれたダンサー達5人がコウモリのように宙吊りになっている姿が浮かびました。そして布から出て、地面に這いつくばり始めました。舞台後方には上の段に5人の打楽器を持った女性ダンサー達が横1列に並んでいて、それぞれボンゴ、クラーべ、すず、トライアングルなどを手に持ち、順番に「チーン」などと音を鳴らし始めると、舞台床にいる黒パンツのみを着た5人の男性ダンサー達が、同じ動きを繰り返し始めました。そして一斉に上の5人が打楽器を叩き始め、リズムを刻み始め、男性達の踊りも激しくなりました。今度は下の男性達が床を手で叩き5拍子のリズムを作り始めると、上の女性ダンサー達5人がそのリズムにあわせて一斉に別々の振付で踊りました。録音の音楽が鳴り始めると、次は下の男性ダンサー達がそろって踊り始め、打楽器だけのパーカッシヴな音が続き、そこに上にいた5人の女性達が下に降りてきて加わり、5組の男女ペアで踊りました。全体に、とてもかっこいい振付でした。

2つ目の『ショートワークス:24』は、文字通り24個の短い連なった作品が続きました。それぞれリズムも音楽の種類も全く違うものが組み合わせられていました。床に這いつくばって踊ったり、全員ばらばらにうごめいたり。上手に8人のダンサーが頭を客席に向けて腕を下に下ろしてうつ伏せで横になって、首と肩だけを使って同じ振り付けで動いて表現しているところに、女性2人が真中で踊っているシーンは印象に残ってます。

『サークルソングス』は、心臓の鼓動のようなリズムの音で始まり、暗闇に浮かぶ薄い照明が上から舞台床に円形に映り、その円を中心にして取り囲むように数人がぐるぐる周りながら踊りました。ダンサー達の腕にはアフリカンな入れ墨の模様が描かれ、黒ズボン、黒Tシャツの衣装。黒シャツを脱ぐと、下には肌色地に入れ墨模様が入ったシャツを着ていました。ささやきの声や、アフリカ風の歌が流れ、何かの儀式のような踊りでした。洞穴の中で踊っているように見えました。続く作品も関連性があり、同じく洞窟の中を連想させるようなもので、男性がバック転、バック宙を繰返し、客席は拍手喝采でした。