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タンゴやサルサからヒップホップまで、バレエ・ヒスパニコの公演

 11月11日から16日まで、NYUのスキルボール・センターにて、バレエ・ヒスパニコの公演『ナイトクラブ』が行なわれました。

バレエ・ヒスパニコは、ニューヨークを拠点として同名のダンススクールを持つ、ヒスパニック系の珍しいカンパニー。スクールではクラシックバレエ、トラディショナル・スパニッシュ・ダンス、モダンダンスを履修でき、今をときめくスター、ジェニファー・ロペスも実はこのスクール出身。大人向けのオープンクラスでは、フラメンコやラテン社交ダンスも開講しています。1970年に、ベネズエラ出身で7歳の時にアメリカに両親と移民してきたティナ・ラミレスが創設しました。彼女は幼少時からニューヨークで様々なダンス教育を受けて育ちました。このカンパニーは、現在までに200万人近くの観客を動員しています。

 この『ナイトクラブ』は、3部によって構成されている物語で、ラテン系の人々の生活、ナイトクラブの様子を時代と場所を変えて表現しています。男性ダンサーも多く、ラテンの熱い振付が多用されている楽しい作品です。

1幕は、1920年代のブエノスアイレス。スペイン語を交えた台詞付き。男女がナイトクラブでタンゴを踊り、一人の女性をめぐって男性2人がケンカをしたり、様々な恋愛模様を表現していました。2幕は1950年代のニューヨーク、スパニッシュ・ハーレム。プエルトリコから20ドルだけを持ってニューヨークに一人で出てきた男性を中心にして物語が進みます。時代は、ちょうど今は亡きサルサの王様、ティト・プエンテの全盛期。彼のサルサの曲が多用され、振付もサルサやブーガルーが盛りだくさん。3幕は、現代、2003年のニューヨークのナイトクラブ。ターンテーブルがあり、黒人DJがヒップホップをかけています。ラテン・ハウスの音楽も出て来ました。現代的なボディコンを着た女性達がたくさん出てきて、ペアで踊ったり、かたまったり、さまざまにうごめいていました。最後は流行したブラジリアン・ハウスの曲で全員が踊って盛り上がって終わりました。フィナーレもありました。

ヒスパニック・アメリカンばかりのダンサーによる公演は初めて観たので、楽しかったです。観客もヒスパニックが多かったです。ご老人は、3幕のヒップホップが始まったら、そそくさと席を立って出て行ってしまう人々がちらほら見受けられました。彼らは、なつかしのサルサやタンゴが観たかったのでしょうね。新しい世代のヒップホップやハウスは、ご老人にはバケツをかき回したようなうるさい音楽に聞こえてしまうのでしょう。この公演は、時代と場所を大幅に変えたシーンで構成されているので、面白かったです。観てよかったと思いました。