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アンジェラ・加瀬 text by Angela Kase 
[2010.07.12]

若手のマックレー、ボルーニンが活躍したロイヤル・バレエの小品集

The Royal Ballet 英国ロイヤル・バレエ団
Wayne McGregor:Chroma, Christopher Wheeldon:Tryst, George Balanchine :Symphony in C
ウエイン・マクレガー『クローマ』、クリストオファー・ウィールドン『トリースト』、ジョージ・バランシン『シンフォニー・イン・C』

英国ロイヤル・バレエ団の09-10シーズン最後の演目は、バレエ団のレジデンシャル・コレオグラファー(常任振付家)ウエィン・マクレガーの代表作の『クローマ』、クリストファー・ウィールドンの『トリースト』とジョージ・バランシンの『シンフォニー・イン・C』によるバレエ小品集で、5月22日から6月11日まで6回上演された。初日5月22日の公演を見る。

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今回『クローマ』の初日を踊ったのは ガレアッツィ、ワトソン、ラム、セルヴェーラ、モレーラ、マックレー、オンデヴィエラ、崔、アンダーウッドとワトキンス。
マクレガーがバレエ団の常任振付家に就任した直後の世界初演(06年11月)時には、コジョカルとワトソンが冒頭のパートを踊り、ラムとボネッリが詩情あふれるデュエットを披露。08年2月にもほぼ同じ配役で再演されている。(08年3月号で紹介)
ロイヤル・バレエ・スクールやバレエ団に在籍した経験を持たないマクレガーが、アシュトンやマクミランといった巨匠の後を継いで常任振付家に就任したことは、一部の保守的なバレエ関係者やバレエ・ファンを驚かせ、時にグロテスクですらある彼の振付スタイルは観客に大きな衝撃を与えた。
今回の再演で素晴らしかったのがワトソン、マックレー、モレーラ、アンダーウッド。それぞれが水を得た魚のように舞台で自らの個性を披露し、関係者や観客に大いにアピールしてみせた。また、6月2日の公演では、怪我で長いこと休養していたフェデリコ・ボネッリがこの作品を踊ってROHの舞台に返り咲いた。

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『トリースト』はウィールドン02年の作品。男女各1名を中心に計22名のダンサーが踊る。
世界初演時にはダーシー・バッセルとジョナサン・コープが中心のペアを踊っている。今回はバレエ団期待のバレリーナ、メリッサ・ハミルトンと現代作品を得意とするエリック・アンダーウッドが抜擢され、バレエ団や関係者・ファンの期待に見事にこたえてみせた。
ロイヤル・バレエ団がバランシン作品を上演するのを見るのは常に興味深い。80年代後半から90年代にかけてバッセル、デュランテの2大バレリーナがそれぞれバランシンを得意としたし、最近では男性プリンシパルのエドワード・ワトソンが、『4つの気質』の「冷淡」で07年のブノワ賞の最優秀男性ダンサー賞にノミネートされている。またマックレー、マロニー、小林や崔もバランシン作品を得意とする。

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今回『シンフォニー・イン・C』の初日は、第1楽章をラムとマックレー、第2楽章をヌニェズとペネファーザー、第3楽章は崔とポルーニン、第4楽章をモレーラとワトソンが踊った。
それぞれ好演したが、やはり柔軟な肢体を奮って優雅なアームス、美しい脚のライン、バランシン作品に絶妙の音楽性を見せるワトソンの芸術性の高いパフォーマンスが強く印象に残る。
高く跳ぶ、たくさん回るという技術的な観点から踊り手をジャッジする一般ファンの目には、第1楽章のマックレー、第3のポルーニンの技術と若さのエネルギーがまぶしく映ったようだ。

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日本では、公演直前にプトロフの退団が発表され、ラムとプトロフが『リーズの結婚』から、コボーが『ロミオとジュリエット』から降板するなど、急な配役変更もあったようだが、『うたかたの恋』に代表されるマクミランのドラマティック・バレエの魅力や、吉田とマックレーによる『ロミオとジュリエット』、完全復帰を印象付けたコジョカルのジュリエットなど、見ごたえのある舞台がくりひろげられたことと思う。
日本公演をご覧になった読者の皆様はすでにお気づきのように、現在バレエ団はマックレーとポルーニンという若手男性2人の台頭に沸いている。
また根拠地ROHでは日本出身のダンサーの活躍も顕著で、新シーズン幕開け作品『オネーギン』では、崔由姫、高田茜の2名が準主役のオルガを踊る予定だ。
秋からの新シーズンもまた日本の読者の皆様にお楽しみいただけるレポートや舞台写真の数々をお届けできるよう頑張りたい。
(2010年5月22日 ロイヤル・オペラ・ハウス 21日最終ドレス・リハーサルを撮影)

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撮影:Angela Kase
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