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アンジェラ・加瀬 text by Angela Kase 
[2014.05.12]

2014年5月〜8月のロンドンの主要バレエ公演案内

イギリスの5月といえば新緑の緑が目に眩しく、薔薇をはじめとする花々が咲き乱れるたいへん美しい季節である。日照時間も長く、夕方観劇のため、劇場に向かう時間でもまだ充分明るい。観光と観劇のためにイギリスを訪れるベスト・シーズンの始まり。
今年の夏、海外公演でロシアに向かう英国ロイヤル・バレエはコベントガーデンでの現シーズン終了が6月13日と例年より早い。ロイヤル・バレエ中心のバレエ鑑賞を考えている日本人ファンにとっては、2種類の「バレエ小品集」でスター・ダンサーが様々な作品を踊る姿が観られる5月下旬が、今年上半期の渡英のポイントになりそうだ。
ロンドンでロイヤル・バレエと、ロホ、コジョカルらが在籍するイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の公演を観たり、地方観光にプラスして本拠地で公演するバーミンガム・ロイヤル・バレエも観たい、という欲張りなファンには、6月10日〜中旬頃の旅行がお勧め。ロイヤル・バレエのマックレー、オシポワ、ゴールディングやENBのロホ、コジョカル、ENBに客演するフリーデマン・フォーゲルやワディム・ムンタギロフの主演舞台が観られるほか、バーミンガムに足を伸ばせば『リーズの結婚』を踊るスター・ダンサーたちを観ることも可能だ。

7月28日〜8月16日にはコベントガーデンでマリインスキー・バレエの3週間におよぶ引っ越し公演も予定されている上、8月5日〜9日にはスコットランドの古都エジンバラで、ボリショイ・バレエのアンドレイ・メルクーリエフがフリンジ公演に出演するという。ロシア・バレエのファンには見逃せない。
また7月23〜26日にはイングリッシュ・ナショナル・バレエがトラファルガー広場近くの由緒あるコロシアム劇場で『コッペリア』を上演。24、26日夜にタマラ・ロホが主演する他、7月29日〜8月3日には同劇場でシルヴィ・ギエムとラッセル・マリファントによる『プッシュ』の再演もある。
7月下旬〜8月初旬にロンドンを訪れれば、ロホの『コッペリア』、ギエムの『プッシュ』、ヴィシニョーワとシクリャーロフの『ロミオとジュリエット』やロパートキナとコルスンツェフの『白鳥の湖』が観られる。

今年の5月〜8月中旬、ロンドンは世界のバレエ・ファンが最も注目する観劇旅行のデスティネーション(旅行先)になりそうだ。

【ロイヤル・オペラ・ハウス 5〜8月の公演予定】
<英国ロイヤル・バレエ>
「バレエ小品集1」『セレナー』『スィート・ヴァイオレッツ』『DGV』
5月14、24、26日夜 17、26日昼
バランシンの名作とバレエ団の若手振付家スカーレットによる切り裂きジャックをテーマにした小品物語バレエ、ウィールドンの小作品を上演。
「バレエ小品集2」『真夏の夜の夢』マリオット新作『ザ・コンサート』
5月31日6月5、6、10、12、13日夜 (6月6日昼公演は一般客には非公開)
アシュトンの珠玉の名作とロビンスによる小品、マリオットの新作を上演
『真夏の夜の夢』には今回、オシポワ、モレーラ、ゴールディング、ボネッリら4人のプリンシパルの主演デビューが予定されている。シーズン終盤は怪我をするダンサーも多いため、主演予定の全ダンサーのデビューが観られるかどうか心配されるところでもある。
「ドラフト・ワーク」(若手振付家の夕べ)
中劇場リンバリー・シアター 6月2、3、4日夜
毎年恒例の若手振付家の夕べ。ロイヤル・バレエのダンサー兼振付家の作品を中心に話題の新進コレオグラファーの小品が観られる公演。

【英国ロイヤル・バレエ・スクール公演】
中劇場リンバリー・シアター公演 7月2、3、4日夜 5日昼・夜
ROHメイン・ステージ公演 7月12日昼

【マリインスキー・バレエ ロンドン公演】(チケット10〜120ポンド)
『ロミオとジュリエット』7月28、29、30、31日夜
『白鳥の湖』 8月1、2、3、4、5、6、7日14、23日夜 8月2日昼
「バランシン小品集」『真夏の夜の夢』『アポロ』 8月8日夜 9日昼・夜
『火の鳥』『マルグリットとアルマン』『コンチェルトDBCH』8月11、12日夜
『シンデレラ』ラトマンスキー版 8月15日夜 16日昼・夜
ラブロフスキー版『ロミオとジュリエット』、セルゲイエフ版『白鳥の湖』、ラトマンスキー版『シンデレラ』の全幕作品を中心に、バランシン、フォーキン、アシュトン、ラトマンスキーの小品を上演。
【出演予定ダンサー】ウリアナ・ロパートキナ、ディアナ・ヴィシニョーワ、ヴィクトリア・テレショーキナ、アリーナ・ソーモワ、エカテリーナ・コンダウーロワ、オクサナ・スコーリク、ダニール・コルスンツェフ、ウラジミール・シクリャーロフ、フリップ・スチョーピン、ティムール・アスケロフ。ロイヤル・バレエ出身のイギリス人ダンサー、ザンダー・パリッシュや韓国人のキム・キミンらも主演する予定。

【イングリッシュ・ナショナル・バレエ 6月 〜7月公演予定】
『ロミオとジュリエット』6月11〜21日夜 14、15、19、21、22日昼
ロイヤル・アルバート・ホール
6000人収容のロイヤル・アルバート・ホールの楕円形舞台で行われる公演。今年はタマラ・ロホとカルロス・アコスタ、アリーナ・コジョカルとフリーデマン・フォーゲル、ダリア・クリメントヴァとワディム・ムンタギロフという話題の3組を中心に、計7組の魅力的な配役が組まれている。22日はダリア・クリメントヴァの引退公演。
『コッペリア』7月23〜26日夜 24、26、27日昼
ロンドン・コロシアム劇場
芸術監督でプリンシパルでもあるタマラ・ロホ、日本人のベテラン・バレリーナの高橋絵里奈と新星・加瀬栞主演など全4キャスト。ロホの相手役にはデンマークよりアルバン・レンドルフが客演する。

【シルヴィ・ギエム ラッセル・マリファント公演】
『プッシュ』7月29日〜8月2日夜 3日昼
ロンドン・コロシアム劇場
2005年にサドラーズ・ウェルズ劇場で世界初演されて以来、各国でチケット完売を記録した話題の作品がコロシアムの大舞台で初めて披露される。

【サドラーズ・ウェルズ劇場】
スコティッシュ・バレエ
『ロミオとジュリエット』
クリストフ・パスター振付 5月14〜17日

【サドラーズ・サンプルド プレイリスト】
6月28、29日
コンテンポラリー・ダンスやヒップホップからバレエまで、同劇場で公演予定の団体の主要ダンサーによる作品抜粋やパ・ド・ドゥが廉価で観られる企画。人気の団体やダンサーの競演で毎年大いに盛り上がりを見せる公演である。バレエとしてはバーミンガム・ロイヤル・バレエのダンサーが『ドン・キホーテ』のパ・ド・ドゥを披露する予定。

チケットの購入は各劇場のhpで事前にオンライン予約を済ませておくことをお勧めする。
ロイヤル・オペラ・ハウス   http://www.roh.org.uk/
ロイヤル・アルバート・ホール http://www.royalalberthall.com/default.aspx
ロンドン コロシアム劇場   http://www.eno.org/whats-on/other/coppelia
サドラーズ・ウェルズ劇場   http://www.sadlerswells.com/

ギエム・マリファントの『プッシュ』は、公演はコロシアム劇場で行われるが、両名はサドラーズ・ウェルズ劇場のアソシエイト・アーティストであるため、チケット購入はサドラーズ・ウェルズ劇場HPから。
ロンドンおよびイギリスは年間を通じてバレエやミュージカル、シェイクスピアから現代劇まで夜毎様々な舞台芸術を見るができる。
観光のベスト・シーズンである5月〜8月は、緑が美しい公園や中庭を望むホテルでのアフタヌーン・ティーや、テムズ川を見下ろすレストランでのランチやディナーを楽しむのも良いだろう。また劇場周辺にあるレストランの多くは、夕方6時頃から公演前に夕食が食べられるプレ・シアター・メニューを用意している所も多いので利用してみよう。ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)のメイン・レストランで、バレエ公演の前や幕間に着席して食事を希望する場合は事前に席を予約し、メニューやワインの種類も決めて連絡しておく必要があるので要注意。
ロイヤル・アルバート・ホールでの公演前は広大なケンジントン・ガーデンズやハイド・パークを散策するのも良し、コロシアム公演前後にトラファルガー広場やテムズ河畔を歩いてみるのも楽しい。イギリスは夏でも朝夕は涼しいので薄手のコートやジャケットがあるとと良いだろう。