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守屋光嗣 text by Koji Moriya 
[2006.01.10]

『シルヴィア』アシュトンの遺産

「フレデリック・アシュトン生誕100年」の記念のシーズンの目玉として、40年余り忘れ去られていた『シルヴィア』は、昨年ロイヤルの舞台に戻ってきたことは記憶に新しい。
今年の上演は、昨年度と同じキャスト、ということでさほど世間の興味を引かなかったようだ。が、キャスト発表当初、ダーシー・バッセルと踊る予定だった ジョナサン・コープの引退発表、それに続くバッセルの去就と、演目以上にロイヤル・バレエのイギリス人ダンサーの今後について、ということで去年以上に注 目を集めた。ちなみに、バッセルの主演日は、すべて完売だった。バレエの筋については、2004年12月号で、船引さんがとてもわかりやすく解説してくだ さっているので、そちらをご覧ください。

 


アミンタボッレ

シルヴィアとアミンタ

シルヴィアとアミンタ


今シーズン、個人的に注目したのは、『シルヴィア』の技術的な面。第1幕、狩の喜びを表すシルヴィアのソロパートでは、難しい体勢からの後方へのジャン プとターンが続く。また、第3幕、シルヴィアとアミンタによるパ・ド・ドゥでも、ダイヴしてすぐにまったく別の体勢になるシークエンスでは、微笑を絶やす ことなく、よくこんな複雑な踊りが出来るものだ、と感心してしまう。アシュトンの素晴らしい遺産を残すことは、ロイヤル・バレエにとって、とても大事なこ とだろう、との思いを新たにした。

ゼナイダ・ヤナウスキーがシルヴィア、アミンタにデヴィッド・マハテリ、オリオンをギャリー・エイヴィスが演じた日を観た。よくまとまったパフォーマン スだった。特に、柔らかな動き、豊かな表情と表現力を全開にしたヤナウスキーの踊りは、荒唐無稽なストーリーを引き締めていた。が、マハテリのパートナリ ングに関しては、流れを断ち切ってしまうぎこちなさが何度か目に付いてしまった。彼は、ロイヤルに移籍してきて数年たつが、いまだに評価が定まっていない よう。もう少し、カンパニーのレパートリーへの理解を深める取り組みが必要ではないかと感じた。


 


バッセルとハーヴェイ

「エロス」のハーヴェイ

「エロス」のソロ

アミンタのソロ

バッセル、第3幕から

シルヴィア、アミンタ、エロス