ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From London <ロンドン>: 最新の記事

From London <ロンドン>: 月別アーカイブ

船引怜美 Text by Remi Funabiki 
[2005.07.10]

●イングリッシュ・ナショナル・バレエ、『ロミオとジュリエット』円形劇場版

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)がデレク・ディーン版『ロミオとジュリエット』(円形劇場版)をロイヤル・アルバート・ホールで上演しました。

昨年の60羽の白鳥が舞ったディーン版『白鳥の湖』に引き続き、アイススケートリンクのような楕円形状舞台で繰り広げられる『ロミオとジュリエット』は、 マクミラン版やヌレエフ版では味わうことの出来ない迫力があります。ディーンの振付・構成にはマクミランの影響が非常に強く見られますが、巨大な円形舞台 に繰り広げられた『ロミオとジュリエット』は、この物語を知らない人またはバレエをまったく観たことない人にもバレエの魅力を伝えることの出来るプロダク ションのように思えます。120人を超えるダンサーと役者が埋め尽くすヴェローナの市場やキュピレット家の舞踏会は、その空間に吸い込まれるような迫力。 あまりのスケールの大きさに「ロミオはどこ?」と肝心な人物を見逃してしまうこともありますが、自分の身体が包み込まれるように物語に入ってことが出来、 『ロミオとジュリエット』というプロコフィエフの音楽とシェイクピアの戯曲のドラマ性に新たな感動を覚えました。

19日の公演ではENBのベテラン・ペアー、ダリア・クリメントヴァとディミトリ・グルディエフが主演。クリメントヴァの非常に女性的でエレガントなジュ リエットとグルディエフの落ち着いたイメージのロミオからは、通常のロミオとジュリエットとは異なる大人の恋愛物語が見られました。マキューシオを演じた フェルナンド・ブファラの驚くほどに伸びと高さのある跳躍、そして誰からも愛されるマキューシオを見事に演じた演技力が印象的でした。

公演初日にはゲスト出演のシュツットガルト・バレエのプリンシパル・ペアー、アリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲルがロンドン・デビューを飾 り、アマトリアンのデリケートな役作りと柔軟な身体、フォーゲルの若さと情熱に溢れる役作り、跳躍力とラインの美しさが新聞評で絶賛されました。
(2005年6月19日、ロイヤル・アルバート・ホール)