意外と知っていそうで知ら なかった。間違って覚えてしまっていた。ど忘れしちゃって思い出せない!!
困った場面に遭遇したあなたに、安心していただきましょう。
「今さら恥ずかしくて聞くに聞けないよ…」。そんなダンスや舞台に関す る用語を集めてみました。













表方/裏方(おもてかた/うらかた) 

 舞台の緞帳(引き幕)を境にして分別されたスタッフさんたちのこと。表方は興行の経営面に携わるプロデューサー・制作スタッフのことを指し、主に来場客向けでスーツ姿が仕事着。裏方は、照明や音響、美術、衣裳など、板の上に乗せる作品・出演者にダイレクトに関係してくる「職人」さん。
まだ学生だった頃、「オモテカタの手伝いしない?」と友人からバイトに誘われ、頭のなかが「?」マークでいっぱいになったことがあります。裏方の反対語ということは察しがつくものの、「表」ってまさか舞台の上の出演者ってこと!? といきなりの誘いに戸惑ってしまいました。スタッフなんだから、出演はしないのに(笑)。実際にしたことといえば、チケットのもぎり(入場受付)と客席案内。誘ってくれた友人は、チケットの受付窓口に座って、当日券、招待券、当日精算の券を渡す係でした。昔で言うところの、木戸銭の当番係ってところでしょうか。
 表方のお仕事は、私の経験した「もぎり」「客席案内」、それから「入場券売場係(受付)」といった当日会場の運営面のほか、企画(ギャランティー調整、出演者の世話)、営業活動(前売チケット販売、顧客管理)、広報・宣伝などが挙げられます。
 小さなダンス公演などで会場に足を運ぶと、入口で配られる公演に対するアンケート。この管理も表方さんの大事なお仕事です。キャストへ思いの丈をぶつけるも良し、運営面でスタッフに苦言をつづるも良し。表方さんの仕事を通して私たち観客も、公演作り、もっと固いことを言えば日本文化の質の向上に関われるんですよ〜!


くるみ

 チャイコフスキー三大バレエのひとつ、『くるみ割り人形』の愛称。 1892年12月18日、マリインスキー劇場にて、E.T.A.ホフマン原作、マリウス・プティパ台本、プティパの高弟のレフ・イヴァーノフ振付で初演(これもはっきりしていなくて、1幕はプティパが、2幕は病床に伏せった師匠に替わって振付たと言われる)。
 『永遠の「白鳥の湖」−チャイコフスキーとバレエ音楽−』(森田稔著、新書館)で見つけた「くるみ」の製作エピソードをご紹介致しましょう。
 今ではクリスマスシーズンの風物詩として地位を勝ち得た「くるみ」ですが、実はオペラの切り狂言として企画されたというのです。オペラ『イオランタ』との2本立て!オペラがメインで、バレエはオペラのハッピーエンドを祝う余興というコンセプトです。なーんだ、だから「くるみ」って筋がしっかりしてないんだ、と思われた方、そのとおりなのかもしれませんね。当時、帝室マリインスキー劇場の劇場管理委員長で、劇場を牛耳っていたフセヴォロジスキーは、大ヒット作『眠れる森の美女』に味をしめ、再度チャイコフスキーに作曲を依頼しました。オペラは幕開けの出し物、そのあと軽いバレエで締めくくるという当時18世紀からのパリ・オペラ座での慣例を、フセヴォロジスキーはロシアへ導入しようとたくらんでいたわけです。
 チャイコフスキーは、『イオランタ』の話を聞き、いつか作曲をしたいと考えていたようです。フランスはプロヴァンス王国の盲目の王女イオランタは、国王の配慮で世間から隔離され自分が盲目であることを知らずに育ちました。ある日、彼女の美しさに恋した青年は盲目を気づかせたら死刑にされると知らず、彼女との会話のなかで気づかせてしまいます。しかし、彼女は強い意思でもって視力を回復したため、青年は死刑を逃れ晴れて王女と結婚式を挙げ、全員が幸せになって、幕――。
 内にこもったままだった王女の精神的成長を描いた「イオランタ」と児童期から思春期への少女の成長がテーマの「くるみ」。二つの物語は一人の女性の内面的成長を描くという同じ潮流を抱えていたために、おそらくはセットで上演されても違和感がなかったのかもしれません。チャイコフスキー自身、3・4時間続けて演奏される2演目を音楽的に調和させようと考慮したようです。金管楽器はイオランタだけに、弦楽器はくるみだけに使用したり。片方だけの上演だと違和感を生じるようなことがあるようなのです。
 プティパによって細かく指示をされた中で、繊細で独創的なメロディーを次々に編み出したチャイコフスキー。その上、音楽の面で、オペラとバレエを対比させ調和させようとするなんて。彼の音楽を改めてじっくり聴きたくなりました。
(解説:文葉)

 

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