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関口 紘一 
[2018.05. 7]

マニュエル・ルグリがキミン・キムと『海賊』の公開リハーサルを行った

マニュエル・ルグリが、自身が率いるウィーン国立バレエ団公演のために来日し、ゲストダンサーとして彼が振付けた『海賊』に出演するキミン・キムとともに公開リハーサルを行った。公演会場となるオーチャードホールのリハーサル室に姿をみせたルグリは、しっかりとした身体と安定感のある落ち着いた雰囲気。一方、マリインスキー・バレエ団のプリンシパル・ダンサーのキムは、一見ちょっと屈折した心をもった青年のようにも見えなくはない。

180507_04.jpg ©Hidemi Seto

リハーサルは『海賊』3幕最後のシーンで、ランケデムに捉えられたメドーラを解放するシーン。キムはコンラッドに扮し、彼とからむメドーラやグルナーラなどのすべての役にルグリが対応して振りを確認する。3週間前にウィーンでキムに振りを渡し、今回、仕上げるために再会したと言う。キムはとても覚えが早く頭のいいダンサーだ、とルグリがいうように、キムの動きを見ていると振りに対する的確な理解力が伝わってくるような気がする。
ルグリはこの『海賊』を踊るダンサーには、踊りだけでなく、演技がしっかりとできるように要求してきた。その点でもキムは対応力が優れており、テクニックだけではないものを見せることができるし、女性のサポートも完璧だったと言う。
そして少しだけ垣間見せたキムの踊りは、一見した雰囲気とはまったく異なり、大変力強く目を見張るようだった。さすが、アジア人で初めてマリインスキー・バレエ団のプリンシパルに上り詰めたダンサーである。

公開リハーサルの後、席を改めて、初夏らしい藍がかったブルーのスーツに着替えたルグリの会見が行われた。
ルグリは彼が振付けた『海賊』は、三つの愛の物語になっていること、「ヌレエフ・ガラ」は、ウィーンではシーズンの最後を飾る公演として行ってきたこと。そのひとつは新しい世代の振付家を起用し、クラシックとコンテンポラリーを渾然一体とさせたプログラムであり、「ヌレエフ・セレブレーション」はキャラクター・ダンス的な演目で構成している、などと今回公演のプログラムについて明快に語った。
また、ウィーンではディレクターとしてとても大切な時間を過ごすことができた。ディレクターを退くと決めた2020年まであと2年だが、今は自分の仕事のすべての成果がどのように現れるか、しっかりと見詰めようと思っているそうだ。次に何をするかということはまだ考えていないが、今までが多忙で充実した期間だったので、たぶん充電していく期間になると思う。まだその自信はあるので、現役で踊り続けること、ディレクターとしての仕事、振付、そしてコーチとして教育に携わること、その四つの柱で活動していくことは間違いないという。そしてまた、まだこれからどんなオファーがあるかわからないので、はっきりいうことはできない、とも語り、あるいは古巣のディレクターも視野に入っているのではないか、という気もしないではなかった。
ルグリがオペラ座を去った時には、ダンサー時代にはライバルと言われたローラン・イレールがオペラ座に残った。そしてのそのイレールはモスクワ音楽劇場のディレクターに就任している。ウィーンの伝統あるオペラハウスでディレクターの経験を積み、成果を上げたルグリを迎え入れようという流れが生まれつつあるのではないだろうか。

180507_01.jpg ©E.Murakami
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ウィーン国立バレエ団 2018年来日公演

●2018年5月9日(水)〜13日(日)
●Bunkamura オーチャードホール


「ヌレエフ・ガラ」
5/9(水)18:30、5/10(木)14:00
『海賊』*日本初演
5/12(土)12:30/18:30、5/13(日)14:00

お問合せ:Bunkamura 03-3477-3244(10:00〜19:00)


<大阪公演>
●2018年5月15比(火)19:00開演
●フェスティバルホール
『海賊』
お問合せ:フェスティバルホール 06-6231-2221(10:00〜18:00)

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_wiener/