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香月 圭 
[2018.04. 5]

マリ=アニエス・ジローのアデュー公演
ピナ・バウシュの『オルフェとユリディス』を踊ってパリ・オペラ座に別れを告げた

2004年以来14年間パリ・オペラ座バレエのエトワールに君臨したマリ=アニエス・ジローのアデュー公演が2018年3月31日ガルニエ宮にて行われた。
彼女がエトワール生活最後の演目として選んだのは1975年にグルックの歌劇曲を基にしたピナ・バウシュ初期のダンス・オペラ『オルフェとユリディス』。パリ・オペラ座でこの作品を上演することが決まった際、バウシュはジローを主役に選んだ。「バウシュ独特の特異な動きを前に、最初は喜んで取り組んでみるものの、その動きを完璧に極めるのがいかに難しいことかを思い知る。」(アリエノール・ド・フーコー「パリ・オペラ座オクターヴ・マガジン」)とジローはバウシュの作品に取り組んだときの思いを語っている。

1804Eurydice.jpg (C) Opéra national de Paris/Yonathan Kelleman 1804gillot01.jpg (C) Opéra national de Paris/Julien Benhamou

3月31日のアデュー公演では、主人公はそれぞれダンサーと歌手1組ずつが担当し、オルフェはエトワールのステファン・ブイヨンとメゾ・ソプラノ歌手のマリア・リッカルダ・ヴェッセリング、ユリディスはジローとソプラノ歌手のチェ・ユンジョンが演じた。
終演後、赤いドレスをまとったジローの上に赤と白の薔薇が降り注ぎ、カーテン・コールは20分続いた。舞台には「恩師クロード・ベッシー、ブリジット・ルフェーヴル、ピエール・ラコット、30年来の親友オーレリー・デュポン、振付家カロリン・カールソン、元エトワールのカデール・ベラルビやクレルマリー・オスタなど彼女を支えた人々」(フィリップ・ノワゼット「パリ・マッチ」2018.4.1)、それに息子のポールと愛犬ゴールディも登場した。会場には「女優のジュリエット・ビノシュ、映画監督のセドリック・クラピッシュ、小説家エリック・ラインハルトらも姿を見せた。」(同「パリ・マッチ」)
オペラ座のステファン・リスナー総裁はジローの経歴を振り返り「2004年カールソンの『シーニュ』でエトワールにノミネートされて以来、コンテンポラリー・ダンスにおいて芸術性を究極まで高めたオペラ座初のダンサー」(ボワソー「ル・モンド」2018.4.4)と総括した。ジロー自身も「ピナとカールソンとは血がつながっているといえる。彼女たちが伝えたこと、彼女たちの存在や優しさ―すべてが私のキャリアにも大切なことなの。」(前出「パリ・オペラ座オクターヴ・マガジン」)と彼女の芸術を象徴する二人の振付家について述べている。

マリ=アニエス・ジローはエトワールとしての活動以外に幾多の顔をもつことで知られる。18歳のときにバレエ教師の資格を取得し、トリノ近辺に自身のバレエ学校を創設している。偉大な振付家たちに直接指導を受けてきた経験を活かし、自分が教わったことを後世に伝えたいという。また様々なミュージシャンのビデオ・クリップに出演したり、ファッション界でモデルとしてショーやCMに出演したりするだけでなく、クリエイターとしてコレクションを発表したりと、彼女の創作意欲は尽きることがないようだ。またガンやエイズなど難病の子どもたちを支援する活動も積極的に行っている。アクティブでパワフルな彼女の今後にますます目が離せない。

1804gillot02.jpg (C) Opéra national de Paris/Julien Benhamou