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[2007.12. 5]

新国立劇場バレエ団のビントレー振付『アラジン』が始動

 新国立劇場バレエ団が開場10周年の次の11年目のシーズンに初演する、デヴィッド・ビントレー振付の『アラジン』が始動した。
ビントレーは、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の芸術監督を務めるが、2005年に自身が振付けた『カルミナ・ブラーナ』を新国立劇場バレエ団に より上演している。この時の縁から、全3幕の大作『アラジン』を新国立劇場バレエ団のために、振付けることになった。
この『アラジン』を選んだのは、『フランス軍中尉の女』などの映画音楽やミュージカルの作曲でも知られる、カール・デイヴィスが既に作曲した音楽があ り、ビントレーも気に入っていた。この曲は、スコティッシュ・バレエ団でバレエ化されたが、コンテンポラリー風な小品だったので、もっと大きな規模のカン パニーで、舞台化したいと構想を練っていた、という。
11月にビントレーが来日して出演ダンサーが決まって、リハーサルが始まり、一部が報道陣に公開されたので、ご報告しよう。
まずは、ソリスト湯川麻美子のソロから。アラジンが洞窟の中で宝物を発見した時のサファイアの踊り。海の底でゆらめくような動きに見えたが、ビントレーによるとボッチチェリの名画『春』をイメージして振付けた、という。
次はアラジンの最初のソロ。カーペットの中に隠れているところを見つかり、市場の中を逃げ回るシーン。やはりソリストの八幡顕光が、じつに俊敏な踊り、スタジオいっぱいに駆け巡る。ビントレーは、「たいへん難しいソロだから、一年かけて完成してほしい」。
次はパ・ド・ドゥで、湯川麻美子と陳秀介、本島美和と山本隆之、小野絢子と八幡顕光の3組ですべてソリストのペアが踊った。前日にペアを組んで踊り始め たばかりで、アラジンが結婚する頃のシーンで使われる、という。速く大きく喜びを思い切って表現するような踊りだった。
さわりをみせてもらった、という感じだったが、ビントレーらしくきびきびとした明晰な動きで、初期の段階から物語の中で表現することがはっきりとしてい る点が印象に残った。ビントレーが1989年に振付け、才気をみせた『ホブソンの選択』などのコミカルなタッチも期待できそう。
08年の4月に来日し4週間リハーサルを重ね、9月の本番前に最終の仕上げを行う予定だそうだ。
 その後、ビントレーの記者会見が場所を代えて別のリハーサルルーム行われた。
ダンサーの決定はたいへん難しかったが、リハーサルをしながら牧阿佐美芸術監督とバレエ・ミストレスの大原永子と相談して、まず、核となる男性10人、女性10人のダンサーを選んだ。
「アラジン役はほとんど出ずっぱりの最も大切な役なので悩んだが、アキミツに決めた。そして彼の身長を配慮しながらそれぞれの役のダンサーを選んだ。宝石 はいろいろなキャラクターのある役で、踊りは、ソビエト時代にロシアで踊られたような、スケールの大きい踊りになるだろう」とも語った。
『アラジン』については、たいへん有名でポピュラーな話。欲望や富の儚さ、魔術的な世界を描きながら、人生の基本的な真実を訴えたい、そうだ。
洞窟のシーンは25分くらいあって、砂漠の中で幻が浮かぶ。太陽の中に姫の顔がみえたりするから、見応えのあるダンスになるはず。
また、物語バレエについては、バレエは背景となる、それぞれの国の文化が反映されて特徴が生まれる。しかし、どこの国にも物語バレエはある。先輩振付家 のクランコ、アシュトン、マクミランを尊敬しているので、自分は、英国の洗練された演劇の伝統に基づいた舞台を創っていきたい、と語った。
ビントレーは一見すると、ハリウッド俳優のジャック・レモンを思わせるような風貌。誠実に、しかし明解に自作について語った。『シラノ・ド・ベルジュ ラック』『美女と野獣』『エドワードII世』(これは再演)などの近年の振付作品が、どれも成功していることが自信となって現れているようだった。