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関口 紘一 
[2015.10. 5]

A.ザイツエフ他が出演するストラヴィンスキー・トリプル・ビルが東京、名古屋、熊本で上演される

ウヴェ・ショルツ、マルコ・ゲッケ、ユーリ・ンの振付によるストラヴィンスキー・トリプル・ビル公演が、愛知芸術劇場とアーキタンツの共催により、11月末〜12月初にかけて東京、名古屋、熊本で行われることになった。
ウヴェ・ショルツ振付『春の祭典』、マルコ・ゲッケ振付『火の鳥』のパ・ド・ドゥ、そしてユーリ・ン振付『悪魔の物語』というトリプル・ビルである。
ウヴェ・ショルツの『春の祭典』は、60名のダンサーが踊るヴァージョンもあるそうだが、今回はソロ作品の上演で日本初演となる。出演は、ボリショイ・バレエ学校出身で、ドレスデン、シュツットガルト・バレエで踊ったアレクサンダー・ザイツェフと中国立バレエで踊った高比良洋のダブルキャスト。ウヴェ・ショルツはこの作品をジョバンニ・デ・パルマのために振付けたが、今回、彼が振付指導のために来日する。また、シュツットガルト・バレエのレジデンス・コレオグラファーであるマルコ・ゲッケ振付の『火の鳥』のパ・ド・ドゥは、酒井はなとザイツェフが踊る。

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そして9月28日には、アーキタンツのスタジオで、ユーリ・ンの『悪魔の物語』の公開リハーサルと合同インタビューが行われた。インタビューには来日した演出・振付のユーリ・ンと振付を担当する香港バレエ団の江上悠、出演するダンサーの酒井はな、小尻健太、津村禮次郎の5名だった。
『悪魔の物語』は、ストラヴィンスキーの音楽劇として著名な『兵士の物語』を、2004年にユーリ・ンが振付けて、知立文化会館で初演している。この作品に基づいて、新たに江上悠が加わってリ・クリエイションするとのこと。初演は、04年当時ダンスオペラとして制作され、活動弁士 澤登翠、笠井叡、中国人ダンサーのシン・ラン、白井剛、越智智則、新体操の三井太一、さらに十数名のコロス(群舞)などが出演し、7名のオーケストラと指揮者が下手の舞台上に載るというかなり大掛かりなものだった。ユーリ・ンはその後この作品をコンサート・ヴァージョンに手直しして何回か香港で上演したと聞く。
今回は前述のように、酒井、小尻、津村の他に、ジョバンニ・デ・パルマも出演することになった。まだ作品のアウトラインも流動的だが、デ・パルマを除く3人の出演者とユーリ・ン、江上のスタッフによるリハーサルが公開された。ダンサーと演出側は、初顔合わせ。

1510stravinsky3_01.jpg アレクサンダー・ザイツェフ 1510stravinsky3_02.jpg ジョバンニ・デ・パルマ 1510stravinsky3_03.jpg マルコ・ゲッケ
1510stravinsky3_04.jpg ウヴェ・ショルツ 1510stravinsky3_05.jpg ユーリ・ン 1510stravinsky3_06.jpg 江上悠

この作品の中では、「時間」の観念がひとつの重要な要素となることもあり、3人のダンサーはそれぞれ1人ずつ立って1分間の間隔を感じとる。その間、残りの2人のダンサーは話しかけたり、おどけたり様々に立っているダンサーの気を惹き、時間の感覚を乱す。立っているダンサーが1分経過したと感じた時に「ハイッ」と合図を送る。1分間は簡単なようだが、意外に10秒以上のずれが生じることが多かった。続いて、江上がダンサーひとりひとりに異なった表現を指示した紙を渡す。それを黙読したダンサーが指示された表現を動作で行いながら、1分間の時間感覚を確かめる作業だった。すると、立っていた時には比較的正確に1分間を示したダンサーが、今度は30秒以上ずれる、といった現象も現れた。また、それぞれがジャケットを持って3人で動くなどのリハーサルも行われた。
振付側は、こうしたダンサーの時間の感覚の取り方を看取して動きを構成するのであろう。
また江上は、今回のリ・クリエイションにあたって、04年の時とは異なった状況を感じている。それは、最近の政治の中では「戦争」ということが、それぞれの日本人にとって、2004年当時とは異なった印象をもって迫ってきているのではないか、ということである。この物語は、戦争休暇の兵士が故郷に帰る途中で悪魔と出会い、様々な展開が繰り広げられる、というもの。確かにそういった視点に立つと、また違った情景が見えてくるかもしれない。

1510stravinsky3_08.jpg 「春の祭典」photo/Andreas Birgit 1510stravinsky3_09.jpg 「春の祭典」photo/Andreas Birgit
1510stravinsky3_07.jpg 「悪魔の物語」 photo/Tatsuo Nanbu 1510stravinsky3_10.jpg 「火の鳥」photo/Hidemi Seto

愛知公演
2015年 11月28日(土)・29日(日)
愛知県芸術劇場小ホール

東京公演
2015年 12月8日(火)・9日(水)
草月ホール

熊本公演
2015年12月12日(土)
市民会館崇城大学ホール

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