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関口紘一 
[2017.08.23]

英国ロイヤル・オペラ・ハウス 2016/17 シネマシーズンのフィナーレ!
高田茜がティターニアを踊った『真夏の夜の夢』、ヤノウスキーのさよなら公演『マルグリットとアルマン』が喝采に包まれた!

英国ロイヤル・オペラ・ハウス 2016 /17のシネマシーズンのファイナルを飾るのは、フレデリック・アシュトン振付作品によるトリプル・ビル。フェリックス・メンデルスゾーン曲の『真夏の夜の夢』、セザール・フランク曲の『シンフォニック・ヴァリエーションズ』、フランツ・リスト曲の『マルグリットとアルマン』という3作品の舞台映像がが上映される。『真夏の夜の夢』では、日本人プリンシパルの高田茜が主役のティターニアをオベロンに扮したスティーヴン・マックレーと踊り、『マルグリットとアルマン』はゼナイダ・ヤノウスキーのさよなら公演となり、ロイヤル・オペラ・ハウスは喝采がいつまでもなりやまなかった。

1708rho03.jpg 「真夏の夜の夢」高田茜、スティーブン・マックレー (C) ROH.PHOTO Tristram Kenton  Bill Cooper
1708rho04.jpg 「真夏の夜の夢」スティーブン・マックレー
(C) ROH.PHOTO Tristram Kenton  Bill Cooper

このロイヤル・バレエのシネマシーズンの映像では、本番の舞台映像だけではなく、元プリンシパルのダーシー・バッセル他が、ダンサーや振付家、芸術監督あるいは裏方のスタッフなどに話を聞き、様々なコメントを伝えて作品を立体的に見せていく。今回はアシュトンの伝記『Secret Muses』を著したジュリー・カヴァナヴィッチや、1946年初演の『シンフォニック・ヴァリエーションズ』のオリジナルキャストだったヘンリー・ダントン(98歳で元気)、もちろん芸術監督のケヴィン・オヘア、ロイヤル・バレエの象徴的存在アンソニー・ダウエルも登場して、アシュトンやこれらの作品の初演当時の思い出を語っている。

『真夏の夜の夢』ではなによりもまず、妖精の女王ティターニアを踊った高田茜がとても魅力的だった。高田は媚薬となる花の滴によって、ロバに変身させられたボトム(トゥシューズを履いた)と、彼に好意を寄せさせられるあやかしの妖精の女王のパ・ド・ドゥ。そして媚薬から覚め、オベロンとの幸せな関係を取り戻すパ・ド・ドゥを、魅惑的な色香を漂わせて踊り、観客を大いに喜ばせた。これこそは、日本人ダンサーにしか表現できないないのではないか、と思わせる素晴らしい踊りだった。
『シンフォニック・ヴァリエーションズ』は、男性3人と女性3人のダンサーが終始舞台上で踊り続ける。中心のペアはマリアネラ・ヌニェスとワジム・ムンタギロフ。男女ともに白い衣装を着けて、明解な動きで音楽と向き合うアシュトンらしい堂々たる美しさが印象に残った。

1708rho05.jpg 「真夏の夜の夢」ティターニア/高田茜 (C) ROH.PHOTO Tristram Kenton  Bill Cooper
1708rho01.jpg 「シンフォニック・ヴァリエイションズ」マリアネラ・ヌニェス、ワジム・ムンタギロフ
(C) ROH.PHOTO Tristram Kenton  Bill Cooper

ヤノウスキーは、ゲストアーティスト、プリンシパルのロベルト・ボッレと彼女自身がさよなら公演の演目として選んだ『マルグリットとアルマン』を踊って、23年間ともにバレエを作ってきたロイヤル・バレエに、プリンシパルとしての存在にピリオドを打った。
マルグリット役を踊りきったヤノウスキーは、ボッレと固く固く抱き合いカーテンコールの喝采を全身で受け止め、雨あられと投げ入れられる花・花・花・花のただ中で、マックレーやカルロス・アコスタ、平野亮一、さらにはアンソニー・ダウエル、ケビン・オへアに至るまで、英国ロイヤル・バレエの歴史に名を残した男性ダンサーたちが次々と祝福の花束を贈り続けても、喝采は鳴り止まず。コヴェントガーデン全体が一体となって、別れのイベントのドラマに酔っているかのようだった。
英国ロイヤル・バレエの礎を築いたフレデリック・アシュトンの名作を、えり抜きのダンサーたちが踊って、その実力をはっきりと現した夕べがしっかりと記録に残されている貴重な映像である。

1708rho02.jpg 「マルグリットとアルマン」ゼナイダ・ヤノウスキー、ロバルト・ボッレ
(C) ROH.PHOTO Tristram Kenton  Bill Cooper

英国ロイヤル・オペラ・ハウス 2016/17 シネマシーズン
『真夏の夜の夢/シンフォニック・ヴァリエーションズ/マルグリットとアルマン』
9月1日(金)より順次公開

公式サイト

http://tohotowa.co.jp/roh/
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/the_dream.html

●真夏の夜の夢
【振付】フレデリック・アシュトン
【音楽】フェリックス・メンデルスゾーン
【指揮】エマニュエル・プラッソン
【出演】高田茜(ティターニア)/スティーヴン・マックレー(オベロン)
●シンフォニック・ヴァリエーションズ
【振付】フレデリック・アシュトン
【音楽】セザール・フランク
【指揮】エマニュエル・プラッソン
【出演】マリアネラ・ヌニェス/ワディム・ムンタギロフ
●マルグリットとアルマン
【振付】フレデリック・アシュトン
【音楽】フランツ・リスト
【指揮】クン・ケセルス
【出演】ゼナイダ・ヤノウスキー(マルグリット)/ロベルト・ボッレ(アルマン)

【上演時間】3時間24分