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三崎 恵里 text by ERI MISAKI 
[2017.08.14]

ニューヨークで行われたヴァレンティーナ・コズロヴァ国際バレエコンクールのガラ公演

Valentina Kozrova International Ballet Competition, Gala Performance.

ニューヨークで実施されるバレエコンクールの一つ、ヴァレンティーナ・コズロヴァ国際バレエコンクールの決勝戦が6月6日から9日まで実施され、6月10日に受賞者の発表、およびガラ公演が行われた。クラシックとコンテンポラリーの両方の分野で、子ども(11歳〜12歳)、生徒(13〜14歳)、ジュニア(15歳〜17歳)、シニア(18〜26歳)までの部門に金・銀・銅賞に加え、デュエット、グループ、創作作品部門の受賞者、最優秀作品解釈賞、グランプリに男女一人ずつのダンサーが選ばれた。また、世界有数のバレエ教育機関やバレエ団への奨学金留学、ボストン・バレエ、シンシナチ・バレエ、コロンビア・クラシカル・バレエとの団員契約、その他副賞の受賞者の発表が行われた。

1708news_kizlova04.jpg Valentina giving her speech. photo by Costas

受賞者の発表に続いて行われたガラ公演は女優のマーゴ・サッピントンの司会で、ニューヨーク・シティ・バレエの初のアフリカ系プリンシパルダンサーで、ダンス・シアター・オブ・ハーレムの創立者のアーサー・ミッチェル(Arthur Mitchell)への栄誉賞授与から始まった。高齢のミッチェルは当日体調が優れなかったため、同カンパニーの長年のメンバーであるエディー・シェルマン(Eddie Shellman)が代理人として賞を受け取った。それに続いて受賞者たちが受賞作を踊り、ゲストとして、レ・バレエ・トロッカデーロ・ド・モンテカルロのメンバーが踊った。以下は印象に残った演技である。

クラシック部門子ども女子の部の金賞を受賞した韓国のセヒュン・キム(Seehyun Kim)は『パキータ(Paquita)』を踊った。小さいながらも、舞台にでてきた途端に観客をはっとさせる、素晴らしい存在感を持っている。美しいラインで、足も高く上がり、柔らかい背中で情緒たっぷり。将来が楽しみなダンサーである。
韓国のユ・ジオン・チョイ(Yu Jeong Choi/シニア部門女子金賞)とジュン・キョン・キム(Jun Kyoung Kim/シニア部門男子銀賞)は、『タリスマン』からパ・ド・ドゥを踊った。オレンジのミニドレスのチョイは細い、柔らかい線で印象的な美しいバレリーナ。線は細いが、コケティッシュな味もあり、プロとしての華がある。一方相手役のキムは強いテクニックで、ヴァリエーションではセカンドからアティチュードになる強いピルエットや、空中で回転するジャンプをしっかり決めた。良いカップルである。最後のデュエットではチョイのフェッテ・ターンは綺麗に安定しており、キムはリスクをかけたジャンプを見せた。美しいの一言のグランパであった。

1708news_kizlova02.jpg Jun Kyoung Kim, photo by Costas 1708news_kizlova03.jpg Yu Jeong Choi, photo by Costas

コンテンポラリー第4部門(18歳〜)男子の金賞を受賞した韓国のドングン・ゴー(Donghun Go)の『シェルター(Shelter)』は自身の振付。出てくるなり、躓く様な動きをしたと思うと、いきなり倒れたり、ふわっと空中で大きく足をファンキックしたと思うと床を転がるなど、予測のつかない振りの動きが続く。自分の動きなので、滑らかにしなやかに、そして音楽に溶け込んで踊った。
コンテンポラリー第4部門女子の部(18歳以上)の銀賞受賞者、韓国のキュン・ミー・ホァン(Kyung Mee Hwang)は、『エンプティー・スペース(empty space)』を踊った。黒と白のユニタードを着たホァンは素晴らしい柔軟性を見せながら、安定した踊りを踊った。垢抜けしたものを持つダンサーである。

1708news_kizlova01.jpg picture of Justin Valentine in Black Swan pas de deux,
photo by Elena Pushkina

古典シニア部門男子銀賞受賞のアメリカのジャスティン・ヴァレンタイン(Justin Valentine)は、『インク (Ink)』というコンテンポラリー作品を踊った。素肌にジャケットを着て、ターンもジャンプも素晴らしくシャープなダンサーだ。男性としての華もあり、エネルギッシュで美しいライン、豊かな表現力で、楽しみな才能である。
古典シニア部門男子金賞を受賞した韓国のジンソル・ユム(Jinsol Eum)は、『しかし、私は帰って来た (But Now I am Back)』ジャケットを着て帽子を被り、ミュージカル風のダンスを踊った。しなやかで美しいラインで、強いターンとジャンプを見せる。倒れそうになったかと思うと安定したターンをして見せるなど、観客相手に時に不敵な笑みを浮かべながら、茶目っ気のある余裕の演技を見せて、観客に大歓声で迎えられた。
コンテンポラリー第4部(18歳以上)で金賞を獲得した韓国のジューウン・ソン(Jooeun Son)は自分の振付作品、『暖かい悲しみ、、、そして美 (Warm Sadness.. and Beauty)』を踊った。時にダイアローグが入る曲に、しなやかな、なびく様な体の使い方の、凛とした切れの良い作品である。いつの間にかポニーテイルにまとめてあった髪がほどけ、髪を振り乱して踊る。自分のアイデンティティーを求めるかのような力強い作品にも見えた。
今回グランプリに輝いた女性ダンサー、韓国のスンミン・キム(Sungmin Kim)は自ら振付けた『彼らの間の細い線 (A thin line between them)』を踊った。鍛えられた胴体が印象的で、クラシックからコンテンポラリーに変わる曲に、強い筋肉を使って美しいラインを作り出しながら踊った。
このコンクールで驚いたのは韓国のダンサーの出場と入賞が多いこと。しかし、日本、中国からの参加はほとんどなく、日本人も日本からではなく、アメリカ、ベルギーなど、海外からの出場となっていた。来年のこのコンクールへは、日本人の参加も見たいものである。今回の入賞者(受賞者多数のためグランプリと金賞のみ)と入団契約受賞者は以下の通り。

グランプリ
クラシック:
バフティヤー・アダムザン(Bakhtiyar Adamzham)、カザフスタン
コンテンポラリー:サンミン・キム(Sungmin Kim)、韓国

クラシック:
子供部門(11 – 12歳)

女子金賞:シーヒュン・キム(Seehyun Kim)、韓国
男子金賞:カンワン・リー(Kangwon Lee)、韓国

学生部門(13 – 14歳)
金賞:アレシア・アスタシュノック(Alesia Astashonok)、ベララス
  :キャスリーン・パーカー(Catherine Parker)、スイス

ジュニア部門(15 - 17)

女子金賞:レヤ・シャノ(Rheya Shano)、アメリカ
    :ユユ・イチカワ(Yuyu Ichikawa)、ベルギー
男子金賞:該当者なし

シニア部門(18 – 26歳)
女子金賞:ユ・ジョン・チョイ(Yu Jeong Choi)、韓国
男子金賞:ジンソル・ユム(Jinsol Eum)、韓国
    :コウヨウ・ヤナギシマ(Koyo Yanagishima)、アメリカ

最優秀古典解釈
女子金賞:イリアナ・ヨトヴァ(Iliana Yotova)、ブルガリア
男子金賞:クリスチャン・プフォール(Christian Pforr)、アメリカ

最優秀コンテンポラリー解釈
女子:アリス・ルネディ(Alice Lunedei)、イタリア
女子:カミリア・ロドリゲス(Camila Rodrigues)、アメリカ
男子:マルコス・シルヴァ(Marcos Silva)、ブラジル

コンテンポラリー第一部門(12歳以下)
金賞:サディー・ワイントローブ(Sadie Weintraub)、アイルランド

コンテンポラリー第二部門(13-14歳)
金賞:ノー・ヨン・キム(Noh Youn Kim)、韓国

コンテンポラリー第三部門(15-17歳)
女子金賞:ニキタ・ボリス(Nikita Boris)、アメリカ
男子金賞:該当者なし

コンテンポラリー第四部門(18歳以上)
女子金賞:ユーン・ソン(Jooeun Son)、韓国
男子金賞:ドンフン・ゴー(DongHun Go)、韓国
    :ハネウル・ジャング(Haneul Jung)、韓国

デュエット部門金賞
:ヤスミン・マトス(Yasmin Matos)、ジェイ・サントス(Jey Santos)、ブラジル

グループダンス部門金賞
:ローラ・モッケル(Laura Moeckel)、ブラジル

振付部門金賞:サンフーム・キム(Sunghoom Kim)、韓国
      :ジュンゴー・ハ(Jungoh Ha)、韓国

バレエ団契約授与者
・ボストン・バレエ(アメリカ)
:ナターシャ・スノグレン(Natasha Snogren)、アメリカ
・シンシナチ・バレエ(アメリカ):マルコス・シルヴァ(Marcos Silva)、ブラジル
・コロンビア・クラシカル・バレエ(コロンビア):
 カミーラ・ロドリゲス(Camila Rodrigues)、ブラジル
 マリ・ベル(Mari Bell)、カナダ
 リリー・サイトウ(Lily Saito)、アメリカ

(2017年6月10日夜 Symphony Space)