ニュース

制作発表: 最新の記事

制作発表: 月別アーカイブ

関口 紘一 
[2012.02.23]

ウィル・タケット演出・振付、首藤康之主演による日英共同制作『鶴』

KAAT神奈川芸術劇場は「KAAT NIPPON 文学シリーズ」として、日本の文学を原作とする舞台作品シリーズを三島由紀夫『金閣寺』近松門左衛門『曾根崎心中』芥川龍之介『Kappa/或る小説』などを上演してきた。
そしてKAATオープン一周年の2012年には、NIPPON 文学シリーズ第2弾として英国ロイヤル・バレエなどで活躍するウィル・タケットとKAATクリエイティブパートナーでもある首藤康之による『鶴』を世界初演する。

1202tsuru.jpg撮影:阿部章仁

KAATの芸術監督の宮本亜門そして演出・振付のウィル・タケット、主演の首藤康之、衣装の和田エミ、尺八演奏の藤原道山が2月初めに英国大使館に揃って、記者会見が開かれた。
バレエを代表する作品といえば『白鳥の湖』。日本の新劇の代表作といえば木下順二の戯曲『夕鶴』で山本安英の名演技が有名であり、團伊玖磨のオペラも知られる。白鳥は西洋の美を象徴するが、ここでは日本の美しいイメージが託されている鶴をモティーフにして、日本人ダンサーと英国の演出家がコラボレーションして、新しいダンスを創る。そしてそこには優れた音楽や美術の専門家があつまった。
タケットは英国ロイヤル・オペラハウスの振付家・演出家で、ロイヤル・バレエ団にいくつかの作品を提供している。今年のロンドン・オリンピックに合わせて、ジェローム・ロビンズ以外ではじめて『ウエスト・サイド・ストーリー』を演出・振付ける、という。
タケットは、この新作ダンス『鶴 The Crane Maiden』の演出の依頼を受ける以前に、BBCの鶴の生態を捉えたドキュメンタリー番組を見て、そのとても人間の想像力よってでは思い描くことが不可能な造形の神秘的な美しさと典雅な動きに胸をうたれた、と言う。
首藤は<日本の文学>といった時、ごく自然に鶴の恩返しの話が思い浮かんだ。この物語には、人間の感情の様々の局面が現れているから世界に発信する舞台を創れると思ったと語った。そしてタケットが演出したストラヴィンスキーの『兵士の物語』(アダム・クーパー、ウィル・ケンプ、マシュー・ハート、ゼナイダ・ヤノウスキー出演、2009年日本上演)を観て感動した。そして今回の演出家とダンサーとしての顔合わせでも、非常に良い交流が持てたので大いに楽しみにしている、と言う。
『鶴』の衣裳はワダエミが担当するが、鶴の娘が恩人夫婦のために精魂を傾けて織る布の美しいデザインが見ものだり、アンディ・ウォホールなどと仕事をしているイヴォンヌ・ストーンが制作するパペットも登場。文楽の人形遣いの技術を参考とした動きを試みる。
音楽は尺八の演奏家、作曲家として活躍し、井上ひさし、三谷幸喜などの舞台音楽も創っている藤原道山がメインテーマを演奏し、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのポール・イングリッシュビーが全体を構成する。鶴の精と尺八の音色に日本の美が象徴的に現れると思われる。
ほかにマシュー・ボーンの『SWAN LAKE』に首藤とともに出演したこともあるクリストファー・マーニー、キャメロン・マクミラン、ナオミ・コビー、ヌーノ・シルバ、後藤和雄などが出演。演技力のあるダンサーがキャスティングされている。
首藤康之とウィル・タケットという日本と英国の俊英が組んで、日本の民話を素材としたコンテンポラリー・ダンスがどんな舞台となるのか、大いに期待して待ちたい。

KAAT神奈川芸術劇場オープニング1周年公演/芸術監督 宮本亜門
日英共同制作『鶴 The Crane Maiden』日本民話鶴の恩返し
ウィル・タケット演出・振付、首藤康之 主演
2012年3月16日〜18日KAAT 神奈川芸術劇場ホール