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[2010.07.27]

姿月あさと、湖月わたるが競演、ミュージカル『Diana』

オリジナルのミュージカルを生みだし続けるTSミュージカルファンデーションが、今年10月小劇場で新たなミュージカルを上演。姿月あさと、湖月わたるの元宝塚トップの2大スターが、運命に結びつけられた二人の女を演じる。演出は謝珠栄。この三名が登壇して、『Diana 月の女神ディアナ』製作発表が行われた。

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謝 珠栄 今日は皆さまお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。主催者側から、お礼申し上げます。
この企画は、私事ですが一昨年人工股関節の大手術をしまして、去年桜の頃かな?松葉杖を持ってよちよち歩いているときに、お二人が私に会いに来てくださいまして、久々の再開だったのですが、その時に何か一緒に作品をやりたいな、と三人で盛り上がってその時に企画を作ろうという事で、あいなりました。
この頃よく、宝塚の卒業生の方たち同士が舞台で共演することが多いですけれども、この名実ともに超ビッグなお二人が、先ほども会話をしていましたら、私の頭の上を言葉が行き交って私は見上げてばかりだったのですが(笑)、ビッグなお二人が向き合って魂のぶつかり合いを感じさせるような舞台を作りたいと思ってます。
このお話は非常にミステリアスな話で、みなさまに楽しみにしていただきたいのですが、キーワードは「ギリシャ神話」そして「記憶」「家族」。そういったところから、皆さまお話を感じながら探っていただければ、色んな意味で楽しめる舞台になると思います。

姿月あさと 謝先生とは、私は宝塚在団中は『激情』という作品で宙組でトップになってから出演させていただいて、その他ではダンスの場面やゴスペルなど、数々の場面で先生との関わりがありました。そして退団後はTSオリジナルミュージカル『Dawn』という作品に出演させていただき、その後は何回かお会いしたりとか普段から親しくさせていただいているんですが、またこうやってお仕事を一緒にさせていただくということになり、本当に夢というのは叶うものなんだなぁ、とつくづく思います。
そして湖月さんとは去年「スーパー・ライブ」というコンサートでご一緒させていただきました。その時、私が退団してから初めて湖月さんと久しぶりに一緒に舞台に立たせていただいて、その時も千秋楽にまた一緒にやりたいねって言っていたらまたここに一緒にいられるという、夢は本当に叶うんだなと、改めて実感しております。
とても小さな劇場で、本当に二人がどんとぶつかり合いなさいと、多分私と湖月さんと5歩くらいで端から端までたどり着くくらいだと思いますが、その狭さの中でちゃんとぶつかりなさいという言葉を謝先生からいただいて、劇場で私たち一人ひとりが何かをみなさんに使えられるような舞台にしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

湖月わたる 演出家の先生として尊敬している謝先生、そして先輩として尊敬している姿月さんと、こうして一つの作品でできることを幸せに思っています。謝先生が、今のわたるには小劇場で魂をぶつけ合う、呼吸、そして鼓動を感じられるこの空間を体験することは、きっといい経験になるし勉強になると言ってくださったことを信じて、思い切ってぶつかりたいと思います。
姿月さんとは宝塚時代宙組で2年間一緒だったのですが、お芝居で台詞を交わしたことがないくらい、なかなかお芝居をご一緒させていただく機会がなかったので、今回は楽しみに、大きな胸をお借りするつもりでがんばりたいと思います。
私はスポーツ観戦が大好きでして、今回のワールドカップもテレビの前にかじりついて応援させていただきまして、おとといのPK合戦も正座して祈るような思いで勝利を願っていたのですが、そんな日本のJリーガーの皆さんにたくさんの勇気と夢をいただいて、ブブセラの音で何も聞こえない中、チームが一つとなって視線や存在を意識して感じながらプレーする姿にひたすら感動していまして、今回は5人という少人数のお芝居に挑戦させていただくに当たって、長年培った姿月さんとの信頼関係と、謝先生はもちろん初めてご一緒する今さん、平澤さん、水谷さんともいい信頼関係を結んで、ナイスなパスワークでゴールを決めたいなと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

-----「月の女神ディアナ」というタイトルですが、月の女神とはどのような存在なのでしょう。また出演者の二人にとって月はどんなイメージですか

 姿月さんの「月」と、湖月さんの「月」を意識して作りました。ディアナという名前はギリシャ神話の中からつけました。

姿月 私と湖月さんの名前はにているなぁ、と。真似したやろ?(笑)今回初めて二人の名前が並んでいるのを見て、語呂合わせと言うか、並びが良いなと思いました。これも月のご縁と思っています。

湖月 「月」という字は長く付き合ってきて改めて考えることもなかったのですが、やはり月は夜しか見えないもので、私も夜煮詰まるとベランダに出て月を眺めることもあるので、今回もそっと一人の時に背中を押してくれるような存在なのかなって思います。

-----留置場という小さな空間が舞台ですが。

 小さな空間というのがキーワードなんですよね。記憶の中でルーナという湖月さんの役が、少女の頃からその小さな空間でいつも一緒に遊んでいた誰かさん、というのがディアナということになります。ミステリアスのミュージカルなので、あまり多くは語れません(笑)

-----トップスターとして大きな大劇場で主演をしていたこのお二人を、あえて小劇場でキャストした意図は。

 昔、宝塚の植田先生に「宝塚の子は大きな劇場でやるから、たくさんの装飾が必要なんだよ」とお聞きした事があります。お二人とも大劇場という空間はすごくよく分かってらっしゃると思いますが、今プロとして成長されてるお二人に、素顔でお客さまにぶつかっていく姿を観せてもらいたいと、着飾ることなく装飾をすべて捨てた状況の中で観てもらいたい。また違う魅力があるし、普段のお二人の芝居も好きなので、そのもの自体を観ていただきたいなと思います。1ヶ月というロングランはTSも初めての挑戦ですが、芝居作りを三人で完成させていきたいと、こういう機会なので三人でがんばって良いものを作りたいと話していました。
今までにはない、衣裳も化粧もシンプルな、そのままの姿月さんと湖月さんの魅力を感じていただきたいな、と。

-----2年間、宝塚の宙組で一緒だったということですが、久々に会ってみて。
 

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姿月 宝塚を退団して10年目になりますが、宝塚というところは(1回の公演で)1ヶ月半、2500人位の大きな劇場でフルオーケストラで、出演者もたくさんいて、綺麗なお衣裳を着て、というところで十数年間舞台に立たせていただきました。辞めてからはボーカリストとして色んな小屋、劇場、ライブハウスなど、色々な経験を10年間でしましたが、300人くらいのキャパの劇場でお芝居をするのは初めてです。そういうところで、二人の演奏の方と歌わせていただいて、五人でミュージカルをするという試みは自分にとっても初めてなのでとても楽しみです。それには先生も仰ってましたが、目線ひとつひとつにしても何にしても、全て意味のある動きをしないと嘘になると思います。嘘のない「私」、本名の自分、芸名の自分ではなく、役としての自分が一個一個の動き、一つ一つの感情に嘘があれば全て見えると思いますので、いただいた役として生きられる時間に決して悔いが残らないように、集中と、先生、湖月さん、出演者の皆さんに対しての信頼関係を深めて、嘘のない自分を出して、息づきたいと思っています。
つい最近、謝先生がこの間も再演でやられた『激情-ホセとカルメン-』を、宝塚を辞めてから初めてまじまじと真剣にビデオを観ました。自分が演じてはいますがそれは関係なしに、感動して泣いたんですね。なんて良い作品なんだと大感動したんです。綿密な計算と演出とセンス。また謝先生と湖月さんと一緒に舞台に立たせていただくということで、改めてちゃんと観てみようと思ったのですが、ああいうすばらしい作品で、あの時いただいたホセという役を、100%本当にすごい出してた自分がいたというのを改めて、自分でありながら違う目線で観ることができました。そういう謝先生にまた自分をさらけ出してお任せして、素直にまた全部出せる時間を持てるという楽しみがあります。
湖月さんとは兄弟の役とか知り合いの役すらしたことがないので(笑)、本当にびっくりするくらいお芝居で関わったことがないんです。私が出ている時は、次の場面にでていたりとか交代だったので、あんまり触ったこともないですし(笑)、今回は全てが楽しみで、何でも打ち明けて、良いことも悪いことも困っていることも全て相談できると思うので、お稽古も本番もいっぱい話していっぱい相談していきたいと思います。

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湖月 今回謝先生に、小劇場で挑戦になると言っていただいた時に、本当になにかが起こる予感がしたのと、私と姿月さんとをイメージして役を書いていただいていると思いますので、先生の作品というのはいつも人間のルーツというか、何か自分というか生きている事に向き合う作品が多くて、それをいつも観させていただいて感動と勇気をもらうのですが、今回も家族愛というテーマがあったり記憶というものを辿る中で自分に書いていただいた役を通して、自分自身を見つめ直す機会になるのではないかな、と思っていますので、いかに繊細に自分を出せるか、何も纏わずに出られるか、というのがすごく大きな課題であり挑戦であり楽しみであります。
姿月さんとは、宙組時代ご一緒して、なんだこの人のエネルギーは!と。歌った時の、どこから出てくるんですかその声は、という地の底から出てくるような魂を感じる歌で、去年のコンサートでぜひ姿月さんの歌で踊らせてくださいとお願いして、トート閣下の歌で黒天使で踊らせていただきましたけれども、またそれを経験させていただくと今度はもっとがっつり作品としてやってみたいと思いました。この間姿月さんと電話をして、今回の作品で、何か自分たちの今までなかった何かが生まれるような予感がするよね、何か発見がありそうだよね、お互いぶつけ合って話し合っていこうねと言っていただいて、舞台に対する変わらない想いと、本当に仲良くしてくださるのですが、その想いがありがたくて、その想いに応えられるように一緒に作っていきたいと思います。

-----どういう心情から、どういうメッセージをこの作品に込められましたか。

 テーマをメッセージとして打ち出すような舞台作りはしたくないなと思っているのですが、創っているうちにだんだん考えたのは、この頃子供に対する虐待とか、親が子供を殺す、子供が親を殺すという時代の中で、自分の命をもらった親との関係性というのがどういうものなのか、すごく考えて創りました。
今回非常に興味があったのが記憶というものなのですが、記憶を辿っていくということに私自身すごく興味があったので、そのことを表していきたいと思ってこういう今回の作品になっています。

-----ざっくばらんな謝先生ですが、演出家としての謝先生は怖いですか?

姿月 (笑)怖いというか、はっきりと物を仰るのとやりながら創っていかれるので、今もつい先ほど第8稿と書かれた台本を渡されたんですが、その8稿もまだ変わる要素があるようなものをいただいています。第8稿というところまで、こだわり続けられる演出家であり、私たちは台本をもらってお稽古場に入ったらたぶん第80稿くらいまで変わるくらい(笑)、ああやってこうやって、と動かして創っていかれる方なので、音楽でいうならセッションぽい。我々としては色んなことをやらされて大変ですけれども(笑)それがおもしろいのと、自分たちでも分からないものをやってみてって言われ、出来ない、ということをやらされます。歌いながら踊るとか「できへん!」って言ってるのに「できる!」って。「ほんまにしんどい!」って言っても、「出来ると思う」って。ということをやってみて、吐きそうになりながらもやった後に気持ちよさを味合わせてくださる演出家ですね。
今回もお稽古始まったらとんでもないことになる、という心構えがありますね。またすごい日々が始まるんだと。でもそれは、本当にその時は分からないけど、後から出来るって言われ続けることが、高みに上っていくということ、ということをさせてくださる、演出家としてはすばらしい方だと思います。

湖月 謝先生は、先生の方から私たちのところにズンズンズンと来てくださる方なんですよ。なかなか先生の所に行くのに時間がかかったりするんですが、謝先生は「できるか?できるな!」と来てくださるし、稽古場でも誰よりも元気でエネルギッシュなので、負けてられない!というところもあります。『激情』のエスカミリオをやらせていただいた時に、譜面で最後のフレーズを2小節のばすところで「これ、2小節のばさなあかんか?」って言われ、「いやぁ・・」と言ったら「1小節にして、ここでアクセルターン」と。「ええ、アクセルターンですか、先生ここで?」ということがありましたが、でも出来る!って言われ、可能にしてしまう。それを(舞台で)1ヶ月半やるのは大変でしたが(笑)小道具へのアイデアもすごいですし、なので今回は私たちもいっぱいアイデアを持っていって先生に対抗してがんばりたいと思います。

-----音楽については。

 場所の設定がアメリカなので、やはりアメリカのサウンドを意識して、姿月さんと湖月さんと一緒に最初に三人でやった作品が「明日へのエナジー」という宙組の誕生の時にやった作品(1998年『シトラスの風』より)だったのですが、そのときにゴスペルをやって、姿月さんとゴスペルの話を割とよくしてたんですね。今回もゴスペルという形でやりたいと思っています。三人の男性も後ろで常にコーラスを一緒にしているという、大人数のゴスペルではないですが、意識した形で林先生には作っていただきました。

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-----今の社会状況の中で、舞台が持つ力、舞台に対する想いなど。

 今の世というよりも、今まで姿月さんは歌をやられて、湖月さんはミュージカルをやられてますが、演劇の分野に挑戦して、私は演劇とミュージカルには今はもう差がないと思うんですね。演劇の中にも踊りも音楽も入ってきていますし、そういう境目のないところでもっと二人の今までやられていない、私も挑戦したい世界に、何か新しい形のミュージカルとして創りたいなという想いが一番今回強かったです。嘘のない、けんかもするかもしれないし、言い合いもするかもしれなけれど、心底信頼し合っている仲間だからこそ出来るタイミングではないかと思って、嘘のない舞台をつくりたいなと、私たち全身全霊で作品を創るということが一番楽しいというか、14歳くらいの時から私たちみんな舞台が好きでやってきたのは同じ境遇なので、その三人がいまこの時期においてどういう作品が創れるのかということが、非常に私の中では楽しみにしています。

会場では音楽監督の林アキラ氏が、謝と音楽合宿をして作り上げたというドラマティックな楽曲も一部披露された。宝塚でトップを経験した二人のスターが、この小劇場でどんな新しい面を魅せてくれるのか、期待が高まる『Diana 月の女神ディアナ』はこの秋、10月8日開幕予定。

東京公演 2010年10月8日(金)〜31日(日) 東京芸術劇場 小ホール1
富山公演 2010年11月2日(火) 富山オーバード・ホール
兵庫公演 2010年11月5日(金)〜7日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

出演: 姿月あさと・湖月わたる / 今拓哉・平澤智・水谷あつし

●公演に関するお問い合わせ
東京公演/TSミュージカルファンデーション Tel. 03-5738-3567
富山公演/イッセイプランニング Tel. 076-444-6666(月〜土 10:00〜18:00)
兵庫公演/兵庫県立芸術文化センター Tel. 0798-68-0255(10:00〜17:00 月曜休※祝日の場合翌日)

http://dianaweb.tsmusical.com/