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関口 紘一 
[2013.12. 4]

東京バレエ団創立50周年記念プロジェクト&マラーホフのアーティスティック・アドバイザー就任発表

東京バレエ団は、既にプレ企画として『ラ・シルフィード』や『ジゼル』などの全幕作品を上演してきたが、いよいよ始まる「創立50周年記念プロジェクト」のラインアップを発表した。去る11月19日、高橋典夫事務局長、飯田宗孝芸術監督、そしてアーティスティック・アドバイザーに就任することが決まったウラジーミル・マラーホフが出席して記者発表が行われた。
発表されたラインアップには、番外を含めて11項目の予定が列挙された。そのうちには、第26次海外公演ギリシャ、第27次海外公演ポーランド、ベルギー、オーストリア、ドイツ、イタリアも挙げられている。創立50年で第27次だから、2年に1回を上まるペースで海外公演を行っているわけだ。まさに驚異的というべきだろう。ギリシャではシルヴィ・ギエムやマッシモ・ムッルもゲスト出演して、『マルグリットとアルマン』他を12回公演を行う。また、ポーランドは初めてだがワルシャワのポーランド国立劇場の舞台に上がる。ローマのカラカラ野外劇場でも公演が予定されている。上演演目は『ギリシャの踊り』『ドン・ジョヴァンニ』『ザ・カブキ』などのベジャール作品が中心となる。

1311tokyoballet_50_02.jpg photo/Shinji Hosono

創立50周年記念として上演されるラインアップは、非常に意欲的で期待される舞台ばかりだ。
まず、第1弾が新世代キャストで上演されるベジャール振付の『ザ・カブキ』。柄本弾の由良之助と奈良春夏の顔世御前、森川茉央の由良之助と渡辺理恵の顔世御前という清新な顔合わせで上演される。
続いて注目作、ノイマイヤー振付『ロミオとジュリエット』全幕。ノイマイヤーが29歳の若さで、既に上演されていたラヴロフスキーやクランコ、マクミランの舞台に挑戦するかのように振付け、成功を収めた傑作バレエだ。既に来日したノイマイヤーがじっくりとキャスティングを練り、小さな役も配役済み。そしてこのバレエでは登場するすべての役、通行人に至るまで名前が付けられているという。上演にあたってはノイマイヤー自身が来日して仕上げる。タイトルロールは、ジュリエットに河合まりあと沖香菜子、ロミオには後藤晴雄と柄本弾、ゲストはハンブルク・バレエ団からエレーヌ・プシェとディアゴ・ボアディンが来日する予定。世代交代期にあるという東京バレエ団にとって、エポックメイキングな作品になるのではないだろうか。

東京バレエ団は2014年の8月30日に創立50周年を迎える。この創立記念日に上演されるのは「創立50周年祝祭ガラ」。カンパニーの50年の歩みを集大成する公演となる。演目はマカロワ版『ラ・バヤデール』の影の王国、フォーキン『ペトルーシュカ』、ベジャール『ボレロ』、キリアン作品などが上演され、ギエム、マラーホフ、ルグリなどのゲスト・ダンサーが登場する予定だ。
9月にはプティパ、ゴールスキー、ワシーリエフ振付による『ドン・キホーテ』全幕上演する。いくつかのヴァージョンが作られている『ドン・キホーテ』のおもしろさを極めた、王道をゆく振付作品だ。この舞台は、ワシーリエフ自身が来日して直接指導にあたる。

そして20世紀の巨匠モーリス・ベジャールの振付を継承してきた東京バレエ団の「創立50周年記念プロジェクト」の目玉作品は、ベートーヴェン『第9交響曲』。これは日本とスイスの国交樹立150年を記して、ローザンヌに拠点を置くモーリス・ベジャール・バレエ団との共同制作ということになる。
ベートーヴェン『第9交響曲』は、ベジャールの最盛期とも言える1964年10月27日、ブリュッセルのシルク・ロワイヤルで世界初演され、絶賛を博し、彼の代表作のひとつと言われている。日本では1999年にパリ・オペラ座バレエ団が上演している。今回の上演では、指揮にズービン・メータを迎え、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団が演奏し、メータが選ぶ4人の歌手、合唱団の総勢300名が登場するスケールの大きな上演となる。

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今シーズン限りでベルリン国立バレエ団芸術監督の契約が終了するウラジミール・マラーホフは、すぐに東京バレエ団のアーティスティック・アドバイザーに就任する。
そのマラーホフが就任後最初に仕事をするのは、ワイノーネン版『くるみ割り人形』だ。
マラーホフは「私が東京バレエ団と初めて共演したのは1994年。第7回世界バレエフェスティバルの大阪公演『ジゼル』第2幕抜粋に出演した時だから、ちょうど20周年となる。そして東京バレエ団の創立50周年記念公演にも参加することができてうれしい」。「新しい才能を育てていきたいし、私の名前によって東京バレエ団がさらに国際的に知られるようになればうれしい」と語った。また、マラーホフは2014年11月から15年の3月まで日本に滞在し、東京バレエ団のクラス指導も行う予定。ワイノーネン版『くるみ割り人形』を上演するにあたっては、コスチュームやセットを新らたに整えることになるので、そうして点からもアイディアを提供していきたいし「ぜひ、観客がワクワクするような舞台に仕上げたい」とも語った。
マラーホフ振付の『眠れる森の美女』全幕も上演される。これはまさに振付家自身による直接指導が実現するわけで、東京バレエ団にとっても素晴らしい機会となるし、マラーホフ自身がカラボス役で出演するという。
マラーホフのアルブレヒトは世界が認める超一級品だ。創立50周年公演の最後に登場するのは、マラーホフの最も得意とする演目『ジゼル』。東京バレエ団のレパートリーとなっているレオニード・ラヴロフスキー版『ジゼル』は、アレクサンドル・ブノワの舞台美術が歴史的なものといわれている。新しい世代のダンサーによって、マラーホフの当たり役アルブレヒトが継承されることは素晴らしいことだ。
さらに番外としては「めぐろバレエ祭り」が2014年もめぐろパーシモンホールで開催される。今回は『白鳥の湖』第2幕とベジャール振付『ボレロ』が上演されることになっている。

「東京バレエ団創立50周年記念プロジェクト」は、カンパニーの発達と成熟を物語る充実したプログラムが組まれている。東京バレエ団に相応しく、国際的な舞台が創られ、しかも上演される作品はじつにヴァラエティに富んでいる。
なかでも特に注目すべきは、ノイマイヤーの全幕大作『ロミオとジュリエット』が初めて上演されること、さらに壮大な構想のもとに創られ、あまりにスケールが大きいために再演されることが希なベジャールの特別な作品ベートーヴェン『第9交響曲』が、ベジャール・バレエと共同制作されること。そしてまた、ヨーロッパの最先端で芸術監督とプリンパルダンサーの重責を果たしてきたウラジーミル・マラーホフが、アーティステック・アドバイザーとしてどのような手腕を発揮するのか、まったく興味が尽きない。

【東京バレエ団創立50周年記念シリーズ】
1.『ザ・カブキ』全幕
2013年12月14日(土)、15日(日) 東京文化会館
2. 第26次海外公演 ギリシャ
2013年12月25日(水)─ 30(月)
上演作品:子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』アシュトン振付『マルグリットとアルマン』客演:シルヴィ・ギエム、マッシモ・ムッル/ランダー振付『エチュード』
3.『ロミオとジュリエット』全幕
2014年2月6日(木)、7日(金)、8日(土)、9日(日) 東京文化会館
4. 第27次海外公演 ポーランド、ベルギー、オーストリア、ドイツ、イタリア
2014年5月7日(水)─ 6月14日(土)予定
上演作品:ベジャール振付『ギリシャの踊り』『ドン・ジョヴァンニ』『舞楽』『チェロのための5つのプレリュード』『ザ・カブキ』『詩人の恋』『春の祭典/ノイマイヤー振付『スプリング&フォール』/ブラスカ振付『タムタム』
5.〈創立50周年祝祭ガラ〉
2014年8月30日(土)─ 8月31日(日) NHKホール
上演予定作品:フォーキン振付『ペトルーシュカ』客演:ウラジーミル・マラーホフ、ベジャール振付『ボレロ』、プティパ/マカロワ振付『ラ・バヤデール』"影の王国"、キリアン作品、他
6.『ドン・キホーテ』全幕
2014年9月19日(金)─ 9月21日(日) 会場:ゆうぽうとホール
7.『第9交響曲』
2014年11月8日(土)─ 11月9日(日) NHKホール
共演:モーリス・ベジャール・バレエ団。指揮:ズービン・メータ/演奏:イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
8.『くるみ割り人形』全幕
2014年12月19日(金)─ 12月21日(日) 東京文化会館 
9.『眠れる森の美女』全幕
2015年2月7日(土)─ 2月8日(日) 東京文化会館
客演:ウラジーミル・マラーホフ
10.『ジゼル』全幕
2015年3月13日(金)─ 3月15日(日) ゆうぽうとホール
番外「めぐろバレエ祭り」
2014年8月 めぐろパーシモンホール
詳細は http://www.thetokyoballet.com/