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関口 紘一 
[2016.05.25]

シディ・ラルビ・シュルカウイが振付、伊藤郁女が出演する
現代オペラ「眠れる美女〜House of the Sleeping Beauties〜」記者会見

東京文化会館開館55周年・日本ベルギー友好150周年を記念して、12月に上演される現代オペラ『眠れる美女〜House of the Sleeping Beauties〜』の記者会見が、東京文化会館にて5月10日行われた。

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この作品は川端康成の『眠れる美女』を、ギー・カシアスとクリス・デフォートが台本から作り上げた現代オペラで、2009年ベルギー王立モネ劇場で初演され、以降も欧州各都市のオペラハウスで再演を重ねている。東京文化会館は、開館55周年を記してこの川端康成原作の現代オペラを日本初演する。
『眠れる美女』世界初演には、構想段階からパトリック・ダヴァン(指揮)、オマール・エイブライム(バリトン)、伊藤郁女(ダンサー)が参加しているが、今回の日本初演にも出演する。また、俳優が受け持つ2つ役は、長塚京三と原田美枝子が出演することになった。伊藤郁女(かおり)は、プレルジョカージュやシェルカウイなどのカンパニーで踊り、自身の振付作品をヨーロッパや日本で上演している。
原作は川端康成の全5章からなる中編小説で、1961年に出版され、海外でも評価が高くサイデンステッカーの英語訳を始め世界各国で翻訳されている。映画化も日本で2回、フランス、ドイツ.オーストラリアなどでなされている。

物語は「すでに男ではなくなった安心できる客」が、薬で眠らされている全裸の処女と、一晩ただ添寝をし悦楽を味わうことができる、という海辺にある秘密の館が舞台となっている。友人の紹介でこの館を訪れた老人、江口由夫はここで5人の「眠れる美女」と出会い、それぞれと過ごした一夜の情景が描かれている。オペラ化にあたっては、物語は三夜に再構成され、1幕3場で上演される。

このオペラでは、4名の女声コーラスを通して眠る若い処女たちの身体を描写している。主人公の江口の行動や思考、そして物語の重要な役割を担う(人間を含むすべての)「自然」の描写をソプラノが歌う。江口の役はバリトンが歌い、若い処女たちに抱く第一印象、彼女たちが呼び起こす江口が関わった過去の女たちの思い出などを表現する。視覚としての眠れる美女を、世界初演から参加している伊藤郁女がダンスで演じることとなる。ダンス部分の振付は、シディ・ラルビ・シェルカウイが担当している。
江口老人が館を訪問する際の女主人との会話は俳優によって演じられ、日常と幻想のコントラストを際立たせる。日本公演では、長塚京三と原田美枝子が日本語で演じる。
音楽、歌、演劇、ダンスといった舞台表現ジャンルの融合が、幻想と現実が交錯する舞台にどのような効果をもたらすのか、非常に興味深い公演となりそうだ。

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1605hotsb09.jpg (c) Kurt Van der Elst

記者会見には長塚京三、原田美枝子らが出席した。ダンサーの伊藤郁女はスカイプ中継でフランスより参加した。
バリトン・ソプラノ・俳優・ダンサー・コーラスに管弦楽と、そのキャストを見ただけではオペラの実際の舞台を創造することは難しいが、長塚京三は「公演の映像を見たが、日本語版になるとどのような掛け合いになるのかわからず、台本もすべてが書かれているわけではないので、早く稽古をはじめたい。この作品に挑戦するのは、私のとって大冒険です」と語り、原田美枝子は「私にとっても大冒険です。ここの舞台にはバレエの鑑賞に来ていました。もしかするとこの舞台に立つのは最初で最後になるかもしれません。」と語った。
伊藤郁女は「この作品では異なる三つの女性を踊ることになるのですが、自分なりのセンシュアリティをダンサーのキャリアとしても探究してきたので、女性のいろんな面での魅力を舞台で踊ることができたらいいなと思っています。2009年の世界初演でも踊っていますが、その時から私の身体も変わっていますし、振付活動やヨーロッパでの舞台経験によって、自分らしく踊るということができるようになってきています。ですから、以前より充実した踊りを見せられるのではないかと思っています」と、スカイプの画面を通して答えていた。
(2016年5月10日)

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1605hotsb01.jpg 写真:青柳聡 提供:東京文化会館

 

東京文化会館開館55周年・日本ベルギー友好150周年を記念
オペラ「眠れる美女〜House of the Sleeping Beauties〜」

【日本初演】
2016年12月10日(土)・11日(日)15:00開演
東京文化会館 大ホール
 

原作:川端康成(『眠れる美女』1961年新潮社刊)
作曲:クリス・デフォート
台本:ギー・カシアス、クリス・デフォート
マリアンヌ・フォン・ケルホーフェン
指揮:パトリック・ダヴァン
演出:ギー・カシアス
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
 

老人:オマール・エイブライム(バリトン)
女:カトリン・バルツ(ソプラノ)
老人:長塚京三(俳優)
館の女主人:原田美枝子
眠れる美女:伊藤郁女(ダンサー)
眠れる美女たち:原千裕、林よう子、吉村恵、塩崎めぐみ(女声コーラス)
管弦楽:東京藝大シンフォニエッタ
 

http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_161210_11.html

1605hotsb02.jpg クリス・デフォート(作曲)
(C)Kurt Van der Elst
1605hotsb03.jpg カトリン・バルツ(ソプラノ)
(C)Claudia ansen