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関口紘一 
[2017.10.17]

牧阿佐美バレヱ団が大作『飛鳥 ASUKA』をアナニアシヴィリの主演により、富山オーバード・ホールで上演する

牧阿佐美バレヱ団の創立60周年記念公演の一環として、昨年の8月27日に世界初演された『飛鳥 ASUKA』が、富山市のオ-バード・ホールで再演される。主演にはニーナ・アナニアシヴィリ(春日野すがる乙女)を迎え、ルスラン・スクヴォルツォフと菊地研が共演する。
周知のように『飛鳥 ASUKA』は、バレヱ団の創立者橘秋子が1957年に、日本をモティーフとしたグランド・バレエ3部作の一つとして台本の書き下ろしから手がけた『飛鳥物語』を基に、その愛娘の牧阿佐美が改訂・演出・振付けて新制作したもの。橘秋子は、日本のバレエの発展に大きく貢献した人物で、特に世界の舞台で踊ることができるバレリーナの森下洋子と大原永子は、彼女の元から巣立った。また、彼女に学んだ愛娘の牧阿佐美の実績は、ここで改めて述べるまでもないだろう。

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『飛鳥ASUKA』では、日本の古代の物語の主人公には異例と思われる、ロシア人バレエダンサーを起用した。牧阿佐美によると、飛鳥時代は日本に様々な国の人々が「パスポート」なしで行きかった時代だったのだから、こうしたキャスティングになっても少しもおかしくない、という。また、東京藝術大学名誉教授で冬季五輪の原画を手掛けるなど日本を代表する画家、絹谷幸二の描き下ろし絵「バレエ「飛鳥」に寄せて」を、最新の映像技術を用いたプロジェクションマッピングにより、絢爛の古代絵巻を3次元的にヴィジュアル化して見せるなど、思い切って斬新なイメージを打ち出している。
音楽は作曲家片岡良和が20代の時に作曲した(1962年、『飛鳥物語』の初演は雅楽を使用)曲が使われているが、とても素晴らしい。日本のメロディーを底流に流しつつ力強くシンフォニックで、オペラ的な音楽世界を現出している。終始、単純な劇伴に陥ることがない。バレエの身体表現と輻輳し、登場人物の内面を音楽が良く語っている。「当時はハチャトリアンに刺激を受けていた」と片岡は語っている。また牧阿佐美も「音楽が良かったから、まずこの作品を手がけようと思った」と話していた。
富山市のオーバード・ホールの舞台設備は、「三面半舞台」で客席から見える主舞台のほか、奥と左右にも舞台があり、大掛かりなセットチェンジに対応するなど、あらゆる演出を可能にする、というから演出効果も期待できそうだ。

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1710asuka01.jpg ニーナ・アナニアシヴィリ

春日野すがる乙女を踊るニーナ・アナニアシヴィリは、「日本には何回も来て踊りましたが、クラシックばかりで、オリジナル・バレエを踊るのは今回が初めて。春日野すがる乙女は、犠牲になるのですが、愛ゆえに考えられないようなことをするのが人間だと思います。愛という感情を持つことは偉大なことを成し得ることです。ここには愛があり、悲劇があり、人生の縮図があります。その登場人物の内面を掘り下げていって、真実の物語を伝えたいです。劇場にいらした方すべてに泣いていただきたい」と記者会見で力を込めて語った。
富山市はバレエ、特に子供のバレエが盛んであり、バレエ教育にも熱心だと聞く。橘秋子から牧阿佐美に受け継がれていきたバレエへの揺るぎない情熱が、この地で新しい花を咲かせることを期待したい。

1710asuka_1730.jpg 菊地研(竜神) 1710asuka_1240.jpg スクヴォルツォフ(岩足) 1710asuka_0092.jpg 青山季可(竜剣の舞)
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舞台写真:牧阿佐美バレヱ団「飛鳥 ASUKA」(撮影:鹿摩隆司)

『飛鳥-ASUKA-』
10月28日(土)15:00開演
オーバード・ホール(富山市芸術文化ホール)

▼詳しくはこちら
http://www.aubade.or.jp/static/special/asuka2017/