[2004.06.11]

映画『アメリア』上映会でエドゥアール・ロックがQ&A

 ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスの『アメリア』公演の関連イベントとして、映画『アメリア』の特別上映会がカナダ大使館で行われた。ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスのエドゥアール・ロックが公演中だった韓国から、会場に姿を見せ質問に応じた。

ステージの『アメリア』は、2002年にプラハで世界初演し、映画はその後03年1月からスタジオにこもって撮影が行われた。この映画のために、木組み の、巨大な桝のようなセットが作られた。桝といっても底と側面が直角になっていない。角は90度の直線で区切られているわけではなく、側面と底は丸く緩や かな曲線で繋がっている。ダンサーたちが、天を除いて床面と左右360度、木組みの面で抱かれいるような空間を作った。実際にセットは、木の香りに満ちて いて、ダンサーは出を待つ間に眠気を催した、という。

桝の底のあちこちでダンスが踊られる。おそらく、真上をふくむ要所に何台かの固定カメラが据えられ、そのフレームにダンサーが入ってきてダンスがはじま り、終わるとフレームから消える。その間、踊っている時は、手持ちのカメラでダンサーの身体の部分や顔の表情を、クローズアップで迫る、といった撮影方法 だと思われる。ダンサーがどの位置で踊り、どの角度から撮った映像を使うか、カメラワークは綿密に設計されたはずである。

ステージの『アメリア』はまだ未見だが、前作『ソルト』に続いてポワント・シューズにこだわっている。男性もポワントを履いたパ・ド・ドゥもあった。バ レエ・クラシックの美を描くためのツールであるポワント・シューズを、機能的な美に還元しているかのような視点だった。

映画上映後に登場したロックは、ストーリーのない動きだけの映画を作りたかった。カメラのポジションを変え、アングルを変えて振付の新しい意味を撮り出 してみた。ダンスの順番を変え、マテリアルとしてダンサーの動きが変っておもしろい効果が得られたと思う。照明がダンサーの身体に反射して、照明の効果と 演技の関係として映像ができる。ステージと違ってクローズアップによって、ダンサーの表情をとらえることができる。といったことを映画の制作にあたって感 じたそうである。

また、ロックはダンスにたいする意識として、人が素早く複雑に動くのをみると、反射的にその情報を受け取ろうとする。人は自分の身体のすべてを説明でき ないということを、どのように認識しているか。スピーディで複雑な動きのダンスについていくことができないからこそおもしろい。目前で展開するダンスに認 識がついていけないからおもしろさを感じるのだ、と語っていた。(5月30日、カナダ大使館)
映画『アメリア』
振付/監督エドアルド・ロック
出演/ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス
(現在は公開、DVD化の予定はない)