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浦野 芳子
[2014.08.11]

『SHOKO 美しく、強く。バレリーナを生きる』発売記念イベント

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7月26日、自身のフォトエッセイの発売に合わせてSHOKOが来日、チャコット渋谷本店でトーク・イベント&サイン会を開催した。約1時間強のイベントの前半はトークと来場者の皆さまとの質疑応答、そして後半には本を購入していただいた方へのサイン会。会場となったチャコット渋谷本店4階には用意した椅子に座りきれないほどファンの方が駆けつけ、立ち見の方もいる中でイベントはスタート。
出来上がったばかりの本を、SHOKO自身もこの日初めて手にし、ページをめくったという。平凡社SWAN MAGAZINEで2011年冬号(Vol22)から2013年夏号(Vol32)まで、3年間、10回にわたる連載記事に加筆・修正を加え、ベルリン国立バレエ団時代の舞台・リハーサル写真の数々を掲載したこの一冊は、出産を機に体験した心身の変化を克明に記すところから始まる。

「ほんとうにいろいろなことを体験した3年間でした。お腹が大きい間はバレエもお休みしていたので、ジョエルが生まれるとすぐ、4日後からストレッチや筋トレを開始したんですが、思うように身体は動きません。母親としてもしっかりやらなくては、と躍起になって何もかもひとりで抱え込もうとしていた時は、焦って、イライラしてました」。
そんな日々を支えてくれたのが家族の存在だったのだそう。
「母は、人はひとりでは生きてはいけないのだから、助けが必要なときは頼るのがいいと言って子育てをサポートしてくれました。そして夫のヴィスラフは、SHOKOはママになったけれどその前にダンサーでもあるのだから、まずはダンサーとしての自分を取り戻すところからはじめてもいいんだ、と言ってくれました。私も少し肩の力が抜けたし、ママがイライラしていないことは何よりジョエルにとってよかったと思います」。
掲載されている舞台写真の中には、ジョエル君がお腹の中にいるときに踊った『バヤデール』の写真もあり、
「この時は、本番が近付くにつれてふっくらしていったので、衣裳さんたちに何度も衣裳を直していただくことになり、みんなに“ふつうは本番が近付くとやせるのに”とか“いつもはSHOKOのお腹は割れているのに”と不思議がられました(笑)。でも、私の妊娠を知っているのは芸術監督のマラーホフと夫のヴィスラフだけだったので、私も“なんでなんだろう?”ととぼけていました」。と、当時を振り返ってくれた。

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そして写真と言えば、本の最後の方に掲載されている未公開のマタニティショットが衝撃的!
「チャコットのカタログのお仕事を通して知り合った吉田多麻希さんという女性フォトグラファーに、月を追って大きくなるお腹を、2010年の8月・10月・12月、そして2011年の1月の4回にわたり、同じポーズで撮影していただいたのですが……」
見開きの頁に、リハーサル・チュチュボンをつけ、ポワントで立った同じポーズの写真が4枚。ポーズは殆ど同じなのだが、髪の長さと、お腹の膨らみが、時間の経過を伝えている。その一番最後、2011年1月11日と日付のある写真を指してSHOKOは言った。
「実はこれは、吉田さんが出産直前にあと一回撮影しよう、と予定日の二週間前にわざわざ福岡まで来て撮影してくれたものです。ちょうどこの時、ベルリン国立バレエ団の日本ツアーがあり、ヴィスラフが福岡まで様子を見に来てくれていました。しかし数日後には東京で本番の舞台を控えており、翌朝東京へ向かうという予定になっていたので、撮影を終えた私とヴィスラフは家族と合流し餃子屋さんで夕食を食べました。
そして翌朝、なんだかお腹が痛かったので“餃子を食べ過ぎたのかなー”なんて思っていたら痛さが周期的にやってくるようになって、それがどんどん早くなってくる。変だな、と思って慌てて病院へ行ったら、“今日の夕方には生まれちゃいますねー”と言われて。母と妹がすぐに来て、そして、すでに空港へ向かっていたヴィスラフはその日のフライトをキャンセルして高速バスを乗り継いで病院へ駆け付けてくれたんです。そして先生のおっしゃる通り、その日の夕方にジョエルを無事出産しました」。
トークイベント半ばには、銀座でジョエル君のおもちゃを探していた、というヴィスラフ氏も到着、SHOKOといっしょに集まったみなさんの質問に答えてくれていました。パートナーシップの秘訣は、
「とことん、前向きの話し合いをすること」、
SHOKOさんの魅力は、
「誰よりもバレエに対して真剣であること」
と答えてくれたヴィスラフ氏は、家庭ではティラミスもささっと作ってくれる名シェフなのだそう!!

最後に。
「私の人生の中で一番大切なものは、ずっとバレエでした。けれどもジョエルが生まれてからは彼が一番になりました。もちろん、バレエに対する情熱は今までと変わらないのですが、バレエ以外に大切なものができたことで、バレエにゆとりを持って向かうことができるようになりました」
という言葉が忘れられない。
愛情に満たされたSHOKOの舞台からは、今まで以上に豊かな表現が紡ぎだされるのだろう。

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『SHOKO 美しく、強く。バレリーナを生きる』(SWAN DANCE COLLECTION/平凡社)