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アンジェラ・加瀬
[2010.06.23]

アンドレイ・ウヴァーロフ、イタリアで『ジゼル』を踊る

今年3月、ニーナ・アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエ団と共に『ジゼル』『ロミオとジュリエット』を踊ったアンドレイ・ウヴァーロフ。
4月下旬に出た「ロミオで始まり、ロミオで終わる----ぼくと日本を結んだ不思議な縁」というインタビュー記事で自身の引退に触れ、日本のファンの間で評判となった。彼は、93年にボリショイ・バレエ団のダンサーとして初来日して以来、アナニアシヴィリやステパネンコ、グラチョーワ、ザハロワらのパートナーとして、世界バレエフェスティバルやガラ公演、新国立劇場への客演など来日も多く、日本の観客に親しまれたダンスール・ノーブルである。

今回の日本公演後のウヴァーロフは、本拠地ボリショイ劇場で公演した他、5月にはボリショイ・バレエとイタリア3都市をツアー。ツアー初日の5月14日と18日に南イタリアのバーリで『白鳥の湖』を主演。その後一度モスクワに戻って20日にクレムリン大会宮殿で行われた「ザハロワのガラ」に出演、そしてパルマとモデナで23日と26日にアントニーチェワと『ジゼル』を踊った。

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私は26日にツアー最終日を観た。
モデナは世界的オペラ歌手ルチアーノ・パヴァロッティの生まれた街で、パヴァロッティ没後、オペラハウスに彼の名を冠して遺業を偲んでいる。
イタリア公演のチケットはどの日も完売で、ツアー最終日の26日も、戻りのチケットを求めて地元のファンが夕方から何度もチケット売り場に足を運んでいた。劇場は舞台が小さく、1幕でジゼルとアルブレヒトの家を左右に収めると踊るスペースはごく僅か。長身のアントニーチェワとウヴァーロフには踊りにくかったであろうが、ヴェテラン・ペアらしく小さなスペースを上手に使って素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。

アントニーチェワは2幕のウィリになってからの演舞に幽玄さが見られないのが残念であったが、ウヴァーロフは1・2幕通して入魂の演舞だった。
特に2幕ジゼルの墓を前にして悔恨の念に身を貫かれる様子や、ミルタの魔力によって踊るソロ、ジゼルに無償の愛に救われ一人夜明けを向かえた後、ジゼルの面影を胸に生きて行こうとする姿に、現在このバレエを世界で最も巧みに演じ踊って、観客の胸を熱くさせるアーティストであることを印象付けた。

ウヴァーロフによると本拠地ボリショイ劇場では秋からの2010-11バレエ・シーズンも踊る予定だという。ロシア語のみだが公式HPもこのたび装いを新たにし、舞台写真や映像はFACEBOOKでファンに見られるようになっている。
イタリア公演には芸術監督のユーリ・ブルラカや、現役として活動しながら指導も行っているナデジタ・グラチョーワがバレエ・ミストレスとして同行した。

公式HPはhttp://www.uvarov-andrey.ru/
写真はカーテンコールに登場したウヴァーロフ
撮影:Angela Kase