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関口 紘一
[2018.04.11]

引退を表明した浅川紫織、最後のオデット、オディールを踊る‼

今年、10月の『ロミオとジュリエット』公演で現役を引退することを表明した浅川紫織が、最後の『白鳥の湖』を3月21日と23日に踊った。現役を退くにあたって「大好きな『白鳥の湖』を最後に踊ることができるのは幸せ」というだけに、真に心のこもった舞台になった。
登場シーンから顔つきも身体もいっそう引き締まってほっそりとして見えた。身体全体をしっかりと使って、表現が明解。パの一つ一つ、マイムの指先まで気持ちがこもっているのが、客席からも細部まではっきりとみてとれた。そしてパからマイムに至る流れがじつにスムーズ。全体に良く脱力しているので、テクニックに気を払わなくても自然と身体が動き、心のままに表現を作っているようにみえる。
白鳥は三度表情を大きく変えるが、第一幕の悲しみ、第三幕の偽り、第四幕の寛容、とそのコントラストもくっきりとしていた。第二幕のアダージョも完璧だった。悲しく美しく奏でられる弦のメロディにのって見事に踊りきった。観客ももちろん、彼女のさよならの心を受け止めて、万雷の喝采を贈った。
そしてカーテンコールでは、深紅の大きな花束を師と仰ぐ熊川哲也に贈られ、ウルッときたかに見えたが、こらえて健気に客席の喝采に応えた。
最後まで、スター気取りのないとても良い雰囲気を漂わせたプリンシパル・ダンサーだった。
K バレエ カンパニー、少し寂しくなるかもしれないが、浅川紫織の心のこもったさよならを見て、新しいスターがかならず現れるであろう。

1804asakawa01.jpg 撮影:瀬戸秀美 1804asakawa02.jpg 撮影:瀬戸秀美