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関口紘一
[2017.07. 7]

今、輝いているダンサー、米沢唯、池田理沙子、木村優里が華やかに踊って、金沢の本多の森が喝采に包まれた
「Ballet Princess」in Kanazawa

1707bp0105.jpg 眠れる森の美女/米沢唯、浅田良和 写真:小川峻毅

『Ballet Princess 〜バレエの世界のお姫様たち〜』の金沢公演が、名園と讃えられる兼六園に隣接する本多の森ホールで行われた。本多の森とは、加賀藩百万石の筆頭家老を務めた本多家所縁の場所のことで、周辺には、金沢城公園、歴史博物館、金沢能楽美術館、伝統工芸物産館、石川護国神社、能楽堂、しいのき迎賓館、金沢21世紀美術館など多くの文化施設があり、良く整備され落ち着いた佇まいのエリア。

その本多の森ホールに、米沢唯、池田理沙子、木村優里、西田佑子、橋本直樹、浅田良和、逸見智彦、二山治雄ほかの「時めく」ダンサーたちが集まって、『Ballet Princess 〜バレエの世界のお姫様たち〜』金沢公演の幕が開いた。
この公演は、2016年3月、東京・新宿文化センターで「バレエ鑑賞普及啓発公演」という趣意を掲げて開催されたものだが、ソールド・アウトして大いに好評だったので金沢と東京の再演が決まった。そして6月4日に行われた金沢初演もまた、ダンサーたちの熱気にあふれ、集中力が高まった公演だった。

舞台は、バレエ少女のアンのお稽古が終わり、母の出迎えを待つ間に美しいバレエ・プリンセスの世界を夢見る、という設定で始まり、まず、登場するのは白雪姫を踊る木村優里。木村は新国立劇場バレエ団のソリストで、昨年この公演の白雪姫や新国立劇場の『ドン・キホーテ』のキトリ役にキャスティングされ、伸びやかなスケールの大きな踊りで一躍人気を集め、舞踊批評家協会新人賞を受賞。今年はやはり、新国立劇場でオーロラ姫とジゼルを踊ってオペラパレスを沸かせている。

1707bp0086.jpg 白雪姫/木村優里 写真:小川峻毅

木村の白雪姫は、可愛らしい七人の小人たちと楽しく踊り、お婆さんの姿になった王妃(逸見智彦)に毒リンゴを渡される・・・。恐ろしい雰囲気の中で、優しく素直な白雪姫のキャラクターがごく自然に現れた。
次に少女アンが垣間見たのは『シンデレラ』の奇跡。昨年末に新国立劇場バレエ団の『シンデレラ』のタイトルロールに抜擢され、『コッペリア』のスワニルダ、『眠れる森の美女』のオーロラ姫と次々と主役を踊って注目を集めた池田理沙子が、王子役の橋本直樹と踊った。池田の愛らしい雰囲気が魔法の物語の中で活き活きと感じられた。魔法が消え現実が現れる12時を、可愛らしい子どもたちが動きでカウントダウンし、鮮やかなクライマックスを迎えた。

続いて少女アンを虜にしたのは、新国立劇場バレエ団、プリンシパルの米沢唯がデジレ王子役の浅田良和と踊ったオーロラ姫の華麗な世界。最近の米沢唯は、新国立劇場バレエ団の主要公演の主役を踊り、ファーストキャストに起用されることも多い。そしてその堂々たる実力をこの公演でも見せた。
休憩後、まだ微かに客席にざわめきの余韻が残る中、カラボスの逸見智彦が登場しリラの精の西田佑子と押し合いが始まる。王子の浅田がカラボスを倒し、米沢唯のオーロラ姫を100年の眠りから呼び覚ますと王宮全体が目覚め、活気を取り戻す。リラの精の西田が素敵なヴァリエーションを踊って、結婚の祝宴が始まった。宝石のパ・ド・トロワ、長靴をはいた猫、青い鳥のパ・ド・ドゥ、赤ずきんなどのディヴェルティスマンが踊られて祝祭のムードが高まっていく。そして圧巻だったのは米沢唯の踊り。動きに無駄や過剰な情緒を全く現さず、ほぼ完全に豪華な様式性を整えて見せた。浅田も力強い動きで応え見事だった。観客も吸い寄せられるようにグラン・パ・ド・ドゥを踊る二人とともに素晴らしい悦びの時を過ごし、大きな喝采を舞台に、そしてバレエ少女アンに贈った。

1707bp0280.jpg シンデレラ/池田理沙子 写真:小川峻毅 1707bp0085.jpg シンデレラ/橋本直樹 写真:小川峻毅

Ballet Princess バレエ・プリンセス 〜バレエの世界のお姫様たち〜
<東京公演>
●新宿文化センタ― 大ホール(東京・新宿)
●2017年7月20日(木) 開場17:45 開演18:30
●S席8,600円/A席6,900円/B席5,400円(税込)
●主催:チャコット
●お問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00〜18:00)

●協力:株式会社ビデオ
●企画・制作:チャコット

プログラム:プロローグ/「白雪姫」より/「シンデレラ」より/「眠れる森の美女」(原振付:マリウス・プティパ) より/エピローグ
※上演時間:約2時間(休憩含む)/音楽:録音音源

演出・振付:伊藤範子(谷桃子バレエ団シニアプリンシパル・コレオグラファー)

キャスト
オーロラ姫(眠):米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
シンデレラ:池田理沙子(新国立劇場バレエ団ソリスト)
白雪姫:木村優里(新国立劇場バレエ団ソリスト)
王子(シ):橋本直樹
王子(眠):浅田良和
善の精:西田佑子
ヴィラン:逸見智彦(牧阿佐美バレヱ団)

義姉(シ):樋口みのり(谷桃子バレエ団)/義姉(シ):樋口ゆり/宝石(眠):竹内菜那子(谷桃子バレエ団)/宝石(眠):山口緋奈子(谷桃子バレエ団)/白い猫(眠):松本佳織(東京シティ・バレエ団)/フロリナ姫(眠):五十嵐愛梨(山本禮子バレエ団))/赤ずきん(眠):堀沢悠子/(登場順)

道化(シ):田村幸弘(牧阿佐美バレヱ団)/宝石(眠):酒井大(谷桃子バレエ団)/長靴をはいた猫(眠)金沢:荒井成也(井上バレエ団)/長靴をはいた猫(眠)東京:玉浦誠(東京シティ・バレエ団)/ブルーバード(眠):二山治雄(ワシントン・バレエ/パリ・オペラ座バレエ団)/狼(眠):中島駿野(新国立劇場バレエ団)/(登場順)