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インタビュー/関口紘一
[2012.07.19]

『リヴィッド』"Livide" 監督 ジュリアン・モーリー Julien Maury インタビュー

今年のフランス映画祭で特別上映されたホラー映画『リヴィッド』に、元オペラ座のエトワール、マリー=クロード・ピエトラガラがバレエ教師役で出演した。近年のピエトラガラは"Green Devils" "Temptation of Eve" "Marco Polo"(北京オリンピックで世界初演)などの作品を持って、自身のカンパニーを率いてヨーロッパ各地をツアーしている。『リヴィッド』は、フレンチ・ホラーの存在を世に知らしめた『屋敷女』の共同監督ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロの最新作。二人はイタリアのホラー映画の巨匠、ダリオ・アルジェントを尊崇しており、その代表作『サスペリア』にインスピレーションを得て、バレエダンサーの古い館を舞台とする『リヴィッド』を創った。
フランス映画祭のために来日したジュリアン・モーリー監督に話を聞いた

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----『リヴィッド』大きなショックを受けました。

モーリー ありがとうございます。

----バレエダンサー一家の住む古い館が舞台ですが、バレエ教師を題材として採り上げようとしたのはなぜですか。

モーリー
 イタリアの70年代のホラー映画でダリオ・アルジェント監督の『サスペリア』という映画がありますが、それに私たちは大きな影響を受けています。アルジェント監督の『サスペリア』の舞台もバレエ学校でした。そこで次々と怪奇現象が起き、最後に学校の校長が魔女だった、というストーリーです。
私たちが『リヴィッド』で描きたかったのは、まったく相容れない宇宙を交差させるということです。クラシック・バレエとホラー映画というまったく相容れないなと思われる世界をミックスさせてみたい、と思いました。なぜクラシック・バレエを選んだか、というと、バレエ自体の中にも様々な矛盾したものが包含されていると思いました。バレエは非常に美しくて純粋で軽やかなものとされているのですが、その美しさに至るまでにバレリーナは非常に過酷な練習を積み重ね、身体的な痛みもともないます。それは苦しさそのものの結果生まれた美しさで、実際バレリーナの人たちは、常に足の痛みを抱えていますし、身体のたいへんな柔軟性を求められます。美しさの裏には厳しい苦しみ、痛みがあるという二面性があるのがバレエだと思います。そう言った二面性を持っている世界にさらにホラーを交差させた世界を創りたい、と持ったわけです。
ピエトラガラは、彼女が幼い頃バレエを習っていた先生は非常に厳しくて、杖を常に持っていて正しいポジションに足が置かれていないと幼い足をビシッと叩かれたりした、と語っていました。『リヴィッド』でもそう言ったイメージを映像にしました。

----バレエのもうひとつの面を採り上げるためにピエトラガラさんを起用したのですか。

モーリー
 バレエの隠された面を表すためにピエトラガラを起用したわけではありません。ピエトラガラはもちろん、世界的なダンサーですが、私たちのイメージにぴったりでした。私たちが求めていた女優像は、まず、非常に美しいと言うこと。立っているだけで非常に存在感があるということ、威厳があるというか、思わず頭を下げてしまうような存在のオーラを出している方だった、ということに惹かれました。それから身体の柔らかさでいろんな動きが出来る方、彼女の身体能力はまだ使い切れていません。

-----ピエトラガラさん以外にもバレリーナが出演していました。


モーリー
 パリの私立のバレエ学校の生徒たちですが、みんなピエトラガラと一緒に出演できるということでたいへん喜んでいました。レッスンシーンなどでもピエトラガラの言葉を忠実に守ってよく動いてくれました。ピエトラガラは、アンナ役のクロエ・マルクが踊っているシーンを見て彼女は将来性があるといっていました。

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-----監督ご自身はバレエの舞台を見たことありますか。

モーリー
 近親の女性がバレエ好きで、良く連れていいってもらっていて、だんだん好きになりました。ピエトラガラももちろん大好きなバレエダンサーでした。彼女の最新作『エヴァの誘惑』もみました。コンテンポラリー・ダンスと演劇をミックスしたような舞台でしたが、彼女が身体を使って表現するその表現力の素晴らしさに驚きました。
それからピエトラガラの『白鳥の湖』も観たことがあります。ほんとに素晴らしくて鳥肌が立つような感銘を受けました。

-----監督が今までご覧になった映画で最も怖かったものはなんですか。


モーリー
 『ブラック・スワン』はご覧になりましたか?

-----ええ、観ました。なかなかおもしろかったです。


モーリー そうですね、やはり子供の頃に観た映画が印象に残っています。ウィリアム・フリードキン監督の『エクソシスト』。小さな頃だったのでほんとうに怖かった思い出があります。映画の中の出来事は現実に起ったホントの話だと思っていましたので。実話だと。この映画を観た後は悪夢をしばしば観ました。あとは『ジョーズ』、ホラー映画ではないけど。世界中の人が海には必ずサメがいると思ったでしょう。私もあの映画を観てから海に行かなくなりました。

----今、最も起用してみたい女優は誰ですか。


モーリー 『リヴィッド』でリュシーの母親役だったベアトリス・ダルは、『屋敷女』のあとも全作品に使うと約束しているので、これからも出演してもらいます。そうですね、イザベル・アジャーニと仕事をしたいと思っていますが、これはおそらく数年後には実現すると思います。
現在、私には三つプロジェクトが進行していてどれが先になって作品になるかわかりませんが、ファンタジーな冒険もの、ホラー映画で子供が出る『スタンドバイミー』みたいなもの、本格的ホラー映画で最も恐ろしい映画に仕上がるはずのものなどです。

-----イザベル・アジャーニの映画が完成したら、ぜひ、日本にも来てください。

モーリー
 はい、その時はご紹介しますよ。

-----おお、ああとても待ちきれません!!

1207int_main.jpg © 2011 LA FABRIQUE 2 / SND / PLUG EFFECTS / LA FERME PRODUCTION
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ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ監督『リヴィッド』
9月8日(土)より、シアターN渋谷にてレイトショー!ほか全国順次公開!!