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インタビュー/関口 紘一
[2016.02.12]

宮尾俊太郎=インタビュー
Ballet Gentsが日本フィルと初共演! 音楽の聖地、サントリーホールで踊ります

日本フィル&サントリーホール とっておき アフターヌーン Vol.3 「バレエ×オーケストラ」

----今回のバレエジェンツの公演は、日本フィルハーモニー交響楽団との共演ですね。今までジェンツ単独のディナーショーなど、様々な公演を行ってきたわけですが、いかがでしょうか。宮尾さんの座長としての手ごたえといいますか。

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宮尾 そうですね、なんか、あっというまでしたけれども、最初はお客様もいったい何をやるのだろうか、と思われたのではないでしょうか。でも、今はぼくたちの舞台を待っていてくださるお客様が少しずつ増えてきています。ぼく自身も振付とか演出に携わらせていただきながら、だんだん皆様に舞台を楽しんでいただけている、と少しづつ自信がついてきました。そして段階をひとつずつ上がっていくに従って、今回のように日本フィルとの共演という大きな舞台にも立てるようになりました。

----当初、男性だけ5人のグループというのは、どういったところからはじまったのでしたか。

宮尾 これは熊川さんが、ぼくがある程度キャリアや年齢を重ねてきたので、きっとそうしたものを必要とするだろうときっかけをくださいました。熊川さんが自身が、かつて「メイド・イン・ロンドン」を主宰されていましたし、何か新しいことに挑戦してみたいという思いがあるのではないか、古典を踊る以外の芸術性をお前も追求してみたらどうか、と。ずっと主役を踊らせていただいていることが、ともすれば日常的になってしまうこともあり、確かに新しいスパイスといいますか、そういうものが必要となっていたのだと思います。

----そうでしたか。でも、ご自身の中でも実験といいますか、何かにチャレンジしたいというお気持もあったのではないですか。

宮尾 そうですね、まだ、あまり形にはなっていませんでしたが、そうした気持ちはありました。そこに、熊川さんが形を作って提案してくださったということですね。

---なにしろ熊川さんですから、ダンサーの気持ちはもうお見通しですね。今は、バレエダンサーも様々なジャンルにチャレンジするのが当たり前のようになっています。新しい舞台を作っていくためのクリエイティブな経験を積むためにはとても良いことでしたね。

宮尾 ぼくはたいへん勉強させていただいております。舞台を客観的に見ることが出来ますし、作り手側の仕事は初めてでしたから改めて知ることがとても多かったです。どれだけ踊るだけの方が幸せか、わかりましたね(笑)。

----他のジャンルとの共演の機会も増えました。宮尾さんはテレビなどの他のジャンルでも活躍されていますけれど、他のメンバー方たちは初めての経験だったかもしれませんね。


宮尾 メンバーは、最近一人新しく入りましたが、K バレエ育ちが二人。どうしてもどこかに所属しているとそこの中だけしか知らなくなりがち、頼りにしがちになってしまうところもあります。ジェンツは、何か外のものと触れ合うチャンスになっています。ダンサーとしてもタンゴやジャズ、演奏者とのソロのコラボレーションもやりましたし、色の違う、様々なジャンルといろいろな角度から交流する窓口になっていると思います。

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----日本のバレエ団もいろいろなところがありますけど、やはり、他のジャンルと交流する機会は少ないと思います。そういう中で、日本フィルとコラボレーション出来るユニットがあることは素晴らしいことです。

宮尾 男性5人ということは、古典の全幕バレエを踊るということとまた違ったものを出せるわけです。とりわけ、ジェンツの場合はどういった舞台でも思いっ切り本気でガンガン踊ります。そういうインパクトもあるし、例えばコラボレーションをしたり、イベントに出演するとか、いろいろなところでバレエを紹介することができます。5人というのがちょうどいいサイズ感なのでしょうか。それが上手くはまった、ということもあるかもしれません。

----男性ダンサーが表現するバレエというものが、見え易くなっている状況もありますね。

宮尾 それはもう、熊川さんがやってきたことを僕たちが受け継いでいけたら素晴らしいですね。

----今度は、日本フィルということでこのオーケストラとのコラボレーションは初めてですか。


宮尾 そうですね、オーケストラとは青島先生とのバレエ音楽コンサートでも経験はありますが、今回とは環境も条件も異なりますね。
普段のようにオーケストラはオケピットに入っている、という状態ではなくて、同じステージの上で対等の立場で共演させてもらうことになります。

----会場はサントリーホールですし、パイプオルガンもあります。パイプオルガンと踊るということについては、いかがでしょうか。

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宮尾 パイプオルガン自体については、サントリーホールで踊らせていただけると聞いた時から、パイプオルガンを使おう、と思っていました。あのホールの象徴的な楽器だし、大きなパイプがあって、あの音が鳴り響く‥‥絶対使いたかったです。パイプオルガン独奏で、バッハの「小フーガ」を踊ります。パイプオルガンとバレエの共演は、なかなか無いのではないでしょうか。ぼく自身もとても楽しみです。
そしてサントリーホールには、先日、舞台の下見に行って実際に演奏も聴かせていただきました。
演奏者は身体を使って楽器を操作して音をだします。それでお客様に感動をお届けする。だから結局、踊りと同じなんですね。人が何かを動かして鳴り響く音を出しているのに対して感動する、僕たちは音を出すわけではないけれど、動きで表現する。行動自体は同じです。発信するプロセスが違うだけで根底は同じです。そう言う根底が同じで別々のプロセスで発信するものが一緒になって舞台を作ります。いろんな楽器がオーケストラの一部として違う動きをしながら一つの曲になるように、僕たちは身体という楽器を使って自由に表現するということなのかな、と思いました。なので今回は例えば一曲目は、オーケストラの人たちと一緒に演奏者の一員として登場しようと思っています。
サントリーホールの空間は、音楽が生まれる場所、素晴らしい音楽が演奏されて、その音がいっぱい染み込んでいる素敵な場所だと思います。ここで踊らせていただくのは光栄だと感じました。

----なるほど、今回の振付のポイントはどういうところでしょうか。

宮尾 4曲ありますから、それぞれ違うのですが、基本的には男性ダンサー5人が踊るということが強調されます。音楽も「アルルの女」のファランドールのような派手な選曲なんですが、その音に負けない迫力とスピードが感じられるところがポイントです。

----選曲はどのようになさったのですか。

宮尾 指揮者の大井剛史さんと話し合って決めました。全部で8曲演奏されますが、実はバレエ音楽はすべて演奏のみで、踊る曲にはバレエ音楽ではない、といういささか天邪鬼な選曲になっています。大井さんはバレエの知識もたいへん豊富な方なので、ぼくは想像するイメージをお伝えして、順次決めていったらこういったプログラムになりました。バレエ音楽はバレエと一緒に聴く機会が多いと思いますので、逆に今回は演奏だけで楽しんでいただきたいと思います。

----ジェンツのメンバーの方々はバレエの公演でも活躍されていますね、ジェンツとして踊ったことが良い結果をもたらしているのではないでしょうか。


宮尾 そうですね。メンバーはみんなストイックというか、リハーサル、本番という場をそれだけ積んできているので、それを消化して自分のものにしていく要領をつかんだのかもしれません。それは結構速いですね。その辺のプロ意識は高いのではないでしょうか。ぼくも助けられていることもありますし、ぼくも含めてまだ足りないところもありますが、それとも向き合いながら進めています。

----5人の男性バレエダンサーが集まって、見事に活動できてますね。既存のバレエ団だとなかなか長続き出来なかったかもしれません。その点は宮尾さんは自賛してもいいのではないですか。

宮尾 外の方々と一緒にやっていたら時間が合わなかったり難しいことも多かったでしょうから、ぼくも上手く出来なかったかもしれません。あと、まずはお客様に来ていただけなければいけませんし、そういう意味ではまだまだぼくたちはK  バレエ カンパニーの名前に守られています。その中である程度、お客様の支持が得られたから続けられてきたと思います。ですから、今後の目標としては、バレエジェンツだけで独り立ちしてお客様を呼べるグループになっていけたら本当に強いな、と思います。

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----そうですか、でも、コアなファンが生まれたということはなかなか得難いことで、それだけの存在価値が証明された、ということでもあるでしょう。

宮尾 それはきっと、カンパニーにとっても良いことです。ジェンツのメンバーとして覚えていただければ、K バレエ全体も応援していただけると思います。
今後は5人の男性バレエダンサーのグループならではのダイナミックさをもっともっとアピールしていきたいですね。5人の男性バレエダンサーが踊るということが、バレエの新しい魅力を表す、そいうことをアピールしていきたいです。

----では、最後に今回の日本フィルとのコラボレーションで最も伝えたいことはなんですか。


宮尾 そうですね、言葉にするのは難しいですが、サントリーホールという音楽の聖地でオーケストラの方々と僕たち5人のコラボレーションを楽しんでいただきたいです。音楽も踊りも楽しめて、楽しい音楽、激しい音楽、神聖な音楽、綺麗な音楽というものを、いろいろな感情として表現していく様々な試みをしていますので、ぜひ、心から楽しんでいただきたいです。

----本日はリハーサルがお忙しい中、興味深いお話をしていただきまして、ありがとうございました。

日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン Vol.3
『バレエ×オーケストラ』

●2016年2月23日(火) 13:00開演
●サントリーホール

指 揮 大井剛史
出 演 Ballet Gents (バレエ ジェンツ)
宮尾俊太郎(座長)
杉野慧╱ 益子倭╱ 篠宮佑一╱ 栗山廉
オルガン:石丸由佳
日本フィルハーモニー交響楽団

http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20160223_M_2.html

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