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文/関口 紘一
[2016.02. 8]

優しくて楽しい、踊ることがうれしくなる効果てきめんのマニュエル・ルグリのバレエの教え
-----「NHKバレエの饗宴2016」に向けたルグリのレッスン

東京の春の恒例となった「NHKバレエの饗宴」が4月10日に幕を開ける。
第5回目を向かえる2016年のプログラムは、小林紀子バレエ・シアターの『レ・ランデヴー』、スターダンサーズ・バレエ団の『リラの園』、谷桃子バレエ団の『オセロー』(新作)。またウィーン国立バレエ団の橋本清香&木本全優、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の平田桃子&セザール・モラレスも参加する(演目は未定)。
そして第5回記念特別企画は、マニュエル・ルグリのプロデュースによる「未来のエトワールたち『ゼンツァーノの花祭り』から、『ナポリ』から」。
これはオーディションで選抜された19歳以下のダンサー8人に、マニュエル・ルグリ(元パリ・オペラ座エトワール、現ウィーン国立バレエ団芸術監督)が特別レッスンを行い、その結果を「NHKバレエの饗宴2016」で披露する、という今回の舞台でしか見られない特別の演し物だ。

1602nhk03.jpg 「ゼンツァーノの花祭り」

東京にマニュエル・ルグリがやってきて、オーディションにより選ばれたダンサーたちを指導している、と聞いて早速、見せてもらうことにする。
ピアノの軽快な音色とともに、ルグリの明るい声とステップの音が響き、空気が躍動するスタジオ。パリ・オペラ座のエトワール時代とまったく変わりないバレエダンサー、マニュエル・ルグリが活き活きと動いている。
キーロフ・バレエ・アカデミーなどに留学経験のある木村楓音と9月にはイングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクールに入学する予定の山本理久が『ゼンツァーノの花祭り』のパ・ド・ドゥのレッスンをしている。
ダンサーたちに助言しながら、ルグリ自身が細かい動きをやってみせる。すると、ラフに纏ったジャージの上から実際には見えない彼の筋肉の動きが、手にとるように感じられる。全身が正しく動いているから、目には見えない部分の動きも感じとることが出来るのだろうか。
舞台への登場の仕方も、ダンサーの歩き方を見ていて、ルグリがそれでいいのだけれど、これは「バレエだから」と言って見本を見せ、再度、試みさせると、まるで別人が歩いているように見える。
レッスン終了後、ルグリに今回のレッスについて聞いてみた。

1602nhk04.jpg 「ナポリ」

-----今回、日本の生徒たちを指導するという企画を引き受けられたわけをお聞かせください。
ルグリ まず一つには、かつて私が関わった「スーパーバレエレッスン」(NHK2006年12月〜放映)で、とてもいい思い出があったこと。もう一つは、人に教え伝えることが好きだからです。特に今回、プロフェッショナルではない日本の若いダンサーたちと仕事するということにとても興味をもちました。これまで私が経験したこと、体得したことを彼らに伝えたいと思ったのです。

----披露する作品としては、ブルノンヴィルの『ナポリ』と『ゼンツァーノの花祭り』を選ばれましたが。
ルグリ 限られた日程のなかで、彼らの力量と人数を考慮すると、フォーメーションの面でもこれらの作品がぴったりだと思いました。ブルノンヴィルの作品は、動きが停滞することなく、静と動のメリハリもあって身体の調整もできる。それに、派手な回転技ではなくバッテリーとか繊細な足さばきなど、私が学んだパリ・オペラ座バレエの流派と似ています。踊るのに決してやさしくはありませんがダンスを学ぶには最も適していると思います。

----実際に日本人のダンサーたちを教えてみていかがですか。
ルグリ まだ3日目ですが、彼らのモチベーションの高さは素晴らしいですね。もちろんとても若い生徒たちですから、基礎などについても完全というわけにはいきませんが、初日に注文したことの八割はさらってきてくれました。彼らが私に要求するものや熱意や意欲が十分に伝わってきて、私にとってもこんな若い彼らに指導するのは初めてで、とても刺激を受けて楽しんでいます。

1602nhk02.jpg 「ゼンツァーノの花祭り」

ルグリにコーチしてもらったダンサーたちにも感想を聞いてみた。
木村楓音 学ぶことがたくさんあります。とても細かく教えていただいて、1時間くらいの間に10個くらいの注意を受けるのですが、それを活かして自分の力にしたいと一生懸命です。テクニックも難しいけれど、マイムがものすごく上手いのでそこはとても勉強になっています。
山本理久 ぼくは初めて教えていただいたのですが、演技力とかほんとうにすごくて、今まで誰にも言われなかった歩き方などを教えていただいて、とても勉強になりました。テクニックなどいろいろ教えていただきましたが、やはり、表現力についてを一番多く学ばせていただきました。クラシック・バレエだけれども自然体にナチュラルに踊るということが、ぼくには少し難しくて・・・。ルグリさんのクラシック・バレエでありがらも、ナチュラルに見せるところがほんとうに素晴らしいと思いました。

今回のレッスンを見せていただいて、かつてルグリが行った「NHKスーパー・レッスン」の映像を思い出した。彼は『ジゼル』を教える際に、「ジゼルは心だ」と生徒に言って聞かせながらコーチしていた。やはりダンサーにとって、踊るときの心の持ち方がいかに大切か、それを再び強く教えられた思いだった。
そして、今回、取材に協力していただき『ゼンツァーの花祭り』を踊る木村楓音と、『ナポリ』に出演する吉江絵璃奈が第44回ローザンヌ国際バレエコンクールのファイナリストとなったというニュースが伝えられた。

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NHKバレエの饗宴2016

●2016.4/10(日)15:00開演
●NHKホール(東京都渋谷区神南2-2-1)

小林紀子バレエ・シアター/「レ・ランデヴー」
【振付】フレデリック・アシュトン
【出演】島添亮子、アントニーノ・ステラ(ゲスト/ミラノ・スカラ座バレエ団 プリンシパル)ほか

スターダンサーズ・バレエ団/「リラの園」
【振付】アントニー・チューダー
【出演】渡辺恭子、吉瀬智弘、山本隆之(ゲスト)、佐藤万里絵 ほか

谷桃子バレエ団/「オセロー」(新作)
【振付】日原永美子
【出演】齊藤 拓、永橋あゆみ、三木雄馬、佐々木和葉、檜山和久 ほか

橋本清香&木本全優(ウィーン国立バレエ団ソリスト)/演目未定

平田桃子&セザール・モラレス(バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル)/演目未定

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[第5回記念特別企画]
マニュエル・ルグリ プロデュース
未来のエトワールたち
「ゼンツァーノの花祭り」から、
「ナポリ」から
【出演】
オーディションで選抜された19歳以下のダンサー8人
(石井日奈子、小川理恵、木村楓音、田野井大登、鳥居ありす、山仁勇、山本理久、吉江絵璃奈)

【指 揮】園田隆一郎
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

●問合せ
0570-063-050(午前10時〜午後6時/無休)
※ローソンチケット内

www.nhk-p.co.jp/event/detail.php