関口 紘一
[2011.02.22]

宝塚歌劇『ロミオとジュリエット』トップスター音月桂の新生雪組、東京お披露目公演

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東京宝塚劇場の『ロミオとジュリエット』は音月桂がロミオを、そして舞羽美海と夢華みあがダブルキャストでジュリエットを演じる。開幕直前のゲネプロを観た。
この『ロミオとジュリエット』の舞台は、シェイクスピアの原作をジェラール・プレスギュルヴィックがフレンチ・ミュージカルにしてパリのパレ・デ・コングレで上演したもの。これを小池修一郎が潤色・演出している。2010年には星組選抜メンバーによって梅田芸術劇場、博多座で上演された。
今回は音月桂をトップスターとする新生雪組の東京お披露目演目として、東京宝塚劇場で上演される。

よく知られるように『ロミオとジュリエット』は芝居はもちろん、映画やミュージカル、バレエなど様々のジャンルに取り上げられ、数えきれないほど上演されている。短時日のうちにドラマティックな出来事が次々と起るストーリーの展開やその演出、振付もそれぞれが創意工夫を巡らせている。
この宝塚のヴァージョンの冒頭は、ロック調の音楽とともに色とりどりの派手なヘアスタイルのマキューシオ(早霧せいな)やべンヴォーリオ(未涼亜希)、ティボルト(緒月遠麻)たちヴェローナの若者が乱舞する。ルネッサンスを迎える時代の爛熟したエネルギーが燃え盛り、何世代にもわたって対立を繰り返してきたロミオのモンタギュー家と、ジュリエット、ティボルトのキャピュレット家の争いは激越になるばかり。ヴェローナ大公が登場しても一向に収まりそうにない両家の厳しい対立を軸に、夢見がちな美男子ロミオと純粋無垢の輝かしいばかりに美しいジュリエットの<運命の魔術に囚われたような恋の悲劇>が展開する。

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ティボルトは叔母キャピュレット夫人に秘かに言い寄られているのだが、じつは従妹のジュリエットに禁じられた恋心を抱いている。さらに父キャビュレット卿はわが家の莫大な借金を、金持ちのパリス伯爵にジュリエットを娶らせてチャラにしようと目論んでいる。そうした恋と思惑が綾なす糸をくぐり抜けるようにして、仮面舞踏会でロミオとジュリエットはまさに運命的に出会い、お互いの魂が強く惹かれ合う。ただそこには既に、死の精が舞っているのだが。
その夜、二人はジュリエットの部屋のバルコニーで愛を誓い素敵な二重奏を歌う。さらに翌日、ロレンス神父の下で結婚式を挙げたのもつかの間、次に待っていたのは、親友マキューシオの死となんとロミオ自身がティボルトを殺すという過酷極まる現実だった・・・。
ロミオはヴェローナを追放され、ジュリエットはパリスとの結婚を免れるために、ロレンス神父が調合した仮死から甦る秘薬をあおる。神父は「甦ったジュリエットと合流せよ」とロミオに使いを走らせる。
仮死に状態となったジュリエットはキャピュレット家の墓地に葬られる。これを見たロミオを心から慕っていたベンヴォーリオはロミオの下に走って、「ジュリエットは死んだ」と伝えてしまった・・・。

ただ一ヵ所でもいい、どこかで運命の曲がり角を違った方向に向かうことができたら、素晴らしい吉兆が姿を現してくれたはずなのだ・・・。

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大詰めの墓地のシーンでは、やがて甦るとは露知らず最愛の人を失ったと思いこんだロミオと、決死の想いで飲み干した秘薬により自身が甦ることを知らせられなかったために、命を絶ってしまたかけがえのない人の死体を抱えたジュリエットが歌う、それぞれのソロが美しく響いた。
絢爛豪華なフィナーレでは、音月桂の勇姿はもちろんだが、男役が舞台を囲んだシックなダンスが印象的だし、東京公演用に変えられたナンバーも歌われる。
「東京公演はまた感じる空気が違います。公演を重ねて、親友はより親しく敵はより敵対するようになっています。ただ夢み心地のロミオを演じるのは難しいです」と、音月桂はゲネプロ終了後の取材に応えて語ってくれた。

今回の『ロミオとジュリエット』は、登場人物それぞれのキャラクターがしっかりと掘り下げられている。例えばティボルトが秘かにジュリエットを想っていたり、ベンヴォーリオがロミオに憧れているがちょっと慌て者だったり、マキューシオはヴェローナ大公の甥でありながら対キャピュレット家の急先鋒だったり、といったさり気ない設定がある。これがキャストたちの気持ちにうまくとけ込んでいて、なかなかドラティックな効果をあげ、見事に青春群像を描き出している。
音月桂がトップを務める新しい雪組のこれからがさらに楽しみになった。

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宝塚歌劇雪組公演
三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』

Roméo & Juliette
Le spectacle musical de GÉRARD PRESGURVIC
D'après l' œuvre de WILLIAM SHAKESPEARE


●原作=ウィリアム・シェイクスピア 作=ジェラール・プレスギュルヴィック 潤色・演出=小池修一郎
●出演=音月桂、舞羽美海/夢華あみ(Wキャスト)、ほか

<東京公演>

●2/17(木)〜3/20(日)
●東京宝塚劇場
●SS席11,000円/S席8,500円/A席5,500円/B席3,500円
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/204/index.shtml