関口 紘一
[2010.02.15]

劇団四季の『クレイジー・フォー・ユー』東京公演始まる

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92年のトニー賞最優秀作品賞、衣裳、振付賞の3部門を受賞した、90年代のニュー・ガーシュウイン・ミュージカルの傑作『クレイジー・フォー・ユー』。93年には日本に初上陸して全国各地で上演されて四季の代表的レパートリーとなった。
2月6日からは新しい東京公演が既に始まっているが、ゲネプロを観てきたのでレポートをお送りする。

『クレイジー・フォー・ユー』は、今では『プロデューサーズ』や『コンタクト』の振付家として盛名を馳せるスーザン・ストローマンがメジャー・デビューを飾った舞台。アメリカで初めて音楽を創った人ともいわれるガーシュウインの名曲とともに繰り広げられる、アメリカン・ドリーム・コメディとでもいいたくなるような、底抜けに明るい活気溢れるミュージカルである。
アーバンな東部ニュ−ヨークとカントリーな西部ネバダ州デッドロックの文化を巧みに対比させながら、古き良きアメリカの直ぐに雷に打たれたように恋してしまう気質を、歌と軽快なダンスで謳いあげている。
なかでもかつては金鉱で賑わったが今は寂れた街に残された劇場で、にわかに持ち上がった、「ショーを作ろう」という話に大いに盛り上がるダンスシーンは秀逸。ここでは、ツルハシから屋根板、皿、鍋、スプーンから一輪車まで、叩けば音の出るあらゆるカントリー生活の日常用品を楽器がわりに使って歌い踊りまくる。「小道具をパートナーにして踊るフレッド・アスティアが好きだった」し「幼い頃からバレエだけでなく、モダンダンス、ジャズダンス、タップダンス、ボールルームダンスといったいろいろなダンスを経験してきた」というスーザン・ストローマンの真骨頂を表す絶妙のダンス・アクションが繰り広げられる。
さらに、空砲を撃ちあってアクロバットなアクションをショー化してみせたり、鏡像となって振られた腹いせに飲んだくれる二人ザグレブなどなど、ショーダンスの見せ場はたっぷりとある。とりわけポワントで立って踊るタップまで登場したのにはびっくり仰天。主役のボビー・チャイルドに扮してタップダンスも冴え渡る加藤敬二とポリー・ベーカー役で美しい声といい演技を見せた木村花代が、気持ち良さそうに演じ踊っていた。
ストローマンの振付は、街の人々にそれぞれのキャラクターを与えて、自然に踊り出す感覚をじつに上手く捉えていて、思わず納得してしまう見事な振りだった。

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