関口 紘一
[2009.11.11]

『コーラスライン』が教えてくれること----劇団四季が日本初演30周年公演

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日本初演30周年を記して劇団四季の『コーラスライン』が再演されているが、来年まで公演の延長が決まるという人気振りである。
『コーラスライン』はもういうまでもないが、1975年にブロードウェイで初演された、マイケル・ベネット原案・演出・振付による傑作ミュージカル。
豪華なセットも華麗な衣装による絢爛たるダンスシーンもなく、ただ一本の白いラインの引かれた舞台上で行われるオーディションのエピソード集ともいうべきミュージカルが、6137回のロングランを記録し世界の20カ国以上で上演される大ヒットとなった。そして2006年には再演されてまたヒット。『ブロードウェイ♪ブロードウェイ/コーラスラインにかける夢』というドキュメンタリー映画までロードショーされた。
劇団四季は、スターに頼らず作品主義を貫く、という劇団の方針とマッチした内容のこの『コーラスライン』を1979年に初演し、30年間にわたって既に1600回を越える公演を行って、「四季ミュージカルの原点」と位置づけている。
 

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「履歴書に書いていないことを話してもらおう、君たちはどんな人間なのか」という演出家ザックの問いかけに、オーディションに集まったダンサーたちが答えるというアイディアが、やはり秀逸。そしてそれぞれのエピソードがまた、ぞくぞくするほど現実的で思わず引き込まれる。
中でも女装のショーで踊っていて、両親と鉢合わせしたポールに心のこもったやさしい対応をする父親のエピソードが胸を打つ。この感動に浸りたいために何度もこのミュージカルに通うファンがいるそうだ。そしてそのポールはオーディションの結果発表の前に怪我をして病院に運ばれてしまうのだから、いっそう哀しい。
さらにオーディションを進行しているザックのパートナーが参加していて、彼自身が彼女を審査しなけれならない、という立場にいることもドラマを大いに盛り上げている。
そうしたオーディションの現場で繰り広げられた悲喜劇は、最後の美しいラインダンスへと収斂していく。
ダンスとは、心をひとつにして踊るということはなんと素晴らしいことななのか、そういう「真実」を教えてくれるミュージカル、それが『コーラスライン』なのである。

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(2009年10月16日 自由劇場)

『コーラスライン』
●2009年10/17(土)〜2010年1/3(日)※休演日あり
●自由劇場

●2010年1/14(木)〜2/7(日)※休演日あり
●福岡シティ劇場

●お問い合せ=劇団四季 http://www.shiki.gr.jp/applause/chorusline/index.html