『薔薇の精』

初めての舞踏会から帰ったばかりの純白の夜会服の少女。

未だ頬の紅潮が残る。

静かに、動悸をおさえるように胸の薔薇を手にとる。

贈り物の深紅の薔薇を愛しげに見つめ、密かにやさしく口づけする。

そして窓辺から差し込む青い月の光を見て、しばし、深い物思いにふける。

やがて革製の肘掛け椅子に腰をおろし、静かに瞳を閉じる。瞼の裏には、

華やかなワルツを舞う美しいカップルの姿が映っているかのように……。

深紅の薔薇が白い細い指からゆっくりと床に落ちると、音楽が快調なリズムに転調する。

 

 

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