関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi
エバ・ジェルバブエナの『5 Mujeres 5(シンコ・ムヘーレス・シンコ)』

 エバ・ジェルバブエナ・フラメンコ舞踊団が『5 Mujeres 5』と『EVA』の2作品を上演した。エバ・ジェルバブエナは、かつて新宿のタブラオにも出演していたことがあったそうだ。その後、1993年にサラ・バラスなどとともに来日公演に参加した。98年には自身のカンパニーを設立して活動を始める。そして3年連続、権威ある「フラメンコ・オイ賞」を受賞、01年にはスペインのダンス界最高の「ナシオナル・デ・ダンサ賞」、02年には英国「タイムアウト誌ベスト・パフォーマンス賞」などを受賞している。

 エバはいつも、公私ともにパートナーであるギタリスト、パコ・ハラマとともに舞台を創る。そして歌い手とミュージシャンの関係を非常に大切にするのも、エバの舞台創りの特徴である。
『5 Mujeres 5』は、2000年にセビージャのビエナル・フラメンコ・フェスティバルで初演された作品である。

 幕は開け放された舞台。暗い照明の中、舞台に一つの白いソファが置かれ、白い衣装を纏った一人の女性がじっと座っている。 やがて主人公と同じ白い衣装を着けた4人の女性ダンサーが登場し、彼女の分身であるかのように踊り始める。そして4人の男性ダンサーも登場して、舞台に白いラインがあでやかに描かれていく。
 情感をこもった3人のカンテの歌が響き、ギターが奏でられる。ひとつの物語を語るように、ソプラが流れる。
 赤ん坊の声が聞こえてきたり、回りの人たちが突然、敵意をむき出しにして彼女を取り囲む、といったドラマティックな表現が踊られる。やがて彼女は、黒地に黄金の模様の描かれたトップを着けて、激しいソロを踊った。

 この作品は、カルメンやギリシャ神話のオデッセウスの妻ペネロぺなど、歴史上の女性たちに想いを巡らせ、「情熱的、女性的、母性的、生命力に満ちた
<愛>」、「自由を追い求める<欲望>」、「失った還らぬ人を想い、空虚の中でなすすべもない<孤独>」、「灰色で冷たく。幻想的で混沌としているカオスのような<狂気>」を描いている、という。
 エバは、やや小柄な身体を非常にシャープに、繊細に動かして見事な踊りを見せた。前半はゆったりとしたフォーメーションで、後半は鋭く切り裂くような動きで構成されており、豊かな音楽性を感じさせる舞台だった。
(2月27日、オーチャ−ドホール)

 

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