関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi
小松原庸子スペイン舞踊団『女の平和』

 小松原庸子スペイン舞踊団がアリストファネスのギリシャ喜劇『女の平和』を上演した。もちろんフラメンコで。小松原庸子は、今から52年前の女優時代に俳優座劇場開設記念公演でこの作品に千田是也、東山千栄子など共に出演した。2400年以上前のアリストファネスの喜劇と、少しも変わらぬ現在の状況に鑑みて上演することを決めたという。「ギリシャ悲劇はあっても喜劇はない」というフラメンコによる舞踊劇である。

 いうまでもなくこの作品は、ギリシャ人同士で戦いに明け暮れていたある時、リシストラタという聡明な女性の「男たちが直ちに戦争を止めなければ、一緒にベッドに入らない」というギリシャの全女性向けの呼びかけが発端となっている。

 リシストラタはスペイン国立バレエ団の第一舞踊手マルベル・ガジャルド。妻を求めて女たちの籠ったパルテノンの山にやってきて掻き口説くシネシアスには、現代フラメンコの旗手イスラエル・ガルバンがゲスト出演した。
 男性対女性、戦争対平和、といった対決や男と女の掛け合いを表現するのに、「オーレ、オーレ」とともに進行するフラメンコは誠に適している、ということが改めて理解され、小松原庸子の慧眼に感服させられた。そして、イスラエル・ガルバンの手刀を切るような独特の動きの見事なダンスが輝き、その雄弁な説得力にもまた感服した。すごく楽しい舞台だった。
(1月8日、新国立劇場中劇場)



 

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