解説:文葉

グランド・ピルエット(仏/grande pirouette)

人が自分の力で美しく回転する。ダンスに限らず、フィギュアスケートでも体操でも、回転技は華がありますね。また、日舞の、なめらかで足が床に吸い付いたキリッとした回転には、背筋が伸び目の覚める心地がします。そんな数多ある回転技の中でも、バレエダンサーが磨き上げたものは格別です。力任せじゃないし電動でもないのに、くるくるくるくるくる…。ドゥミ・プリエのプレパレーションがあるだけですし。どんな仕掛けがあるのかと驚かされ、本当にもう不思議。

ピルエットは、その場から移動せず片足でスピンをする回転技です。もっともスタンダードなものは動足をルティレにして、内回り(en dedansアン・デダン)・外回り(en dehorsアン・デオール)に体を回します。それをもっと華やかにしたものがgrande。ルティレにしていた脚をアティテュードにen attitudeしたり、アラベスクen arabesqueにしたり、ア・ラ・セゴンドà la secondeにしたり。軸足につけていた足先が離れるだけで腰がぐらぐらするので、ポーズをして正確に2回転…は、とにかく難しいです。

女性がマスターするのを目指すのがびゅんびゅん32回転グラン・フェッテであるならば、その男性版がグランド・ピルエット・ア・ラ・セゴンドでしょう。グラン・フェッテはひと回転ごとにルティレにしていた動足をかき回すようにしますが、グランド・ピルエット・ア・ラ・セゴンドは動足を横に90度上げたままの姿で回ります。どちらも、軸足をひと回転ごとにタン・ルベさせ、そのときに動足に勢いをつけます。至ってシンプルな回転に見えて、難易度が高いのです。

ピルエットは、その原理をOpen & Closeと言い表すように、準備でアームスから上半身を開き、閉じる動きが腰の回転を助けます。先に行く(開く)腕はどんどん先に行き、追いかける(閉じる)腕はきちんと遅れずに閉じる意識を持つこと。これがピルエットのポイントです。グランド・ピルエットでもそれは変わらずですが、下半身が小さくまとまらないからcloseしにくくなるように思います。アームスもアン・オーにしたりして閉じるタイミングが難しくなることも。どんな回転にも対応するためには、追いかける腕のスピードを崩さず、肩から指先までの動かし方の精度を上げる。また、丹田まわり・胴まわり・腰まわり・骨盤まわりの引き上げる筋肉を強くするしかありません。準備でプリエしている間にアームスが開き、腰の回転が始まる。その後に一気に引き上げて立ち上がり、まったく同時にアームスを前で閉じても閉じなくても後から追いかける肩を素早く回転させ閉じる。この一連の動きの決め手は腰を引き上げる筋力なのです。重力から腰を自由にした「ふわふわ」状態が、回転しやすく、またポーズをキープしやすくしているんですね。