解説:文葉

ア・ラ・スゴンド(仏 / à la seconde)

直訳すると「2番に」という意味ですが、バレエ特有の用語で、「横方向に」と覚えましょう。通常は脚の動作に使われますが、アームス、腕の置く位置でも横に広げることを「ア・ラ・スゴンドに」ということもあるようです。
グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド。デヴェロッペ・ア・ラ・スゴンド。フォンデュ、タンジュ、デガジェ、ジェテ、フラッペ…などなど、横に脚を出した状態になるならば、「ア・ラ・スゴンド」が付きます。シルヴィ・ギエムといえば「6時のポーズ」と言われるほど、180度にア・ラ・スゴンドをして耳に触れるぐらい、いや頭の真上にかかとがあるなんて言う人もいるくらい。開脚して静止して、完璧で美しいア・ラ・スゴンドで観る者のため息を誘い、みんなの憧れですね。
クラシック・バレエを身につける中で、何か目標にしていること、乗り越えたい壁、皆さんそれぞれおありだと思いますが、やはり、「脚をア・ラ・スゴンドに高く上げて美しくキープして見せる」というのは、共通したものではないでしょうか。
横に脚を高く上げることに悩みはつきません。前や後ろの上半身の使い方は理解できるけど、横だけはどうしても太ももの外側に力がかかってしまう。軸が歪んでしまう。かかとが前を向かない。かかとを前にしても美しく甲を伸ばせない。膝もなんとなく曲がってる。腰の傾きはこれでいいのかな。お尻が外に連れられてしまうから内側に寄せるようにすると、軸足に乗っかりすぎちゃう。脚を上げて下ろすまでの軌跡が美しくない。などなど、もう…にっちもさっちもいかない!状態をどうにか打開したくて焦ることもあるでしょう。
どうしたらいいか。まずは柔軟性を身につけること。脚を上げるからといって、膝裏やハムストリンズス、股関節だけを柔らかくしてもダメで、体の側面、背面、お尻、首も柔らかく伸ばしましょう。軸を意識して全身を引き上げてこそ、高く脚を上げられるからです。膝を伸ばした状態で甲を伸ばすことも重要です。そして、腹斜筋を鍛えること。脚を横で高くキープするには、脇腹の腹斜筋がものを言います。ここを使うことで他の筋肉はリラックスできていて脚は力強い動きができるわけですね。さらに、寝っ転がって脚の動かし方、可動域を確かめる。足先・かかとから上げられているかな、外太もも使ってないかな、あげた時の上半身の使い方はどうなっているかな、など、自分の癖とじっくり向き合い正しい上げ方を理解し補正してみる。その上で、立ち上がりバーにつかまり、先ほどこれが正しいと理解した動きを再現してみる。足りないところがわかったら、そこを強化する。継続は力なりの精神で諦めずに、自分の身体ととことん対話してみるしか結局のところ術はないんですよね。
美しくみせるという点で、アラベスクよりも、デヴェロッペ・ア・ラ・スゴンドを高くキープする方が難しいと思っています。身体能力が試され、粗が目立つし、誤魔化しがきかず、なんとなく様になるというポーズではない。体が温まりやすい夏にこそ、美しく脚を動かせる自分を、徐々にでも手に入れていこうではありませんか、皆さん。