解説:文葉

プロムナード (仏/promenade)

プロムナードは「散歩」の意味。バレエでお散歩というと舞台上を自由に歩き回ったり…するのではありません。ポーズを取ったままくるりと一円。その場から移動せずに、ポーズを違う角度からお客様に見せるような動きなのです。

レッスン中はセンターレッスンでのアダージョで、公演では特にパ・ドゥ・ドゥのアダージョで目にすることでしょう。アティチュードやアラベスクにポーズを取り、そのままポーズを崩さずに外回りen dehors、内回りen dedansのどちらかに回る動きのことです。360度して元の位置に戻ることもあれば、クロワゼから90度プロムナードしてエカルテに切り替える、ということも。

一人でプロムナードをするときは、ア・テールで。サポートがあれば、ポワントや、ドゥミ・ポワントということもあるでしょう。プロムナードのコツは、とにかく軸足の「かかと」を回すこと!間違ってもつま先を浮かせて回ることはまかりなりません。アン・ドゥオールなら後方へ、アン・ドゥダンなら前方へ、かかとと同時に脚の内側を回転方向へと先に出すように意識しなくてはならないのです。

『眠れる森の美女』でオーロラ姫が4人の求婚者と踊る「ローズ・アダージョのバリエーション」でのクライマックス、オーロラがアティチュードをして、4人の王子たちが交替でオーロラの手を取りプロムナードする。プロムナードは男性のサポートがあれば簡単のように見えますが、女性のバランス力が問われ、サポートに寄りかかっていては実は美しく回ることは不可能なのです。誰にエスコートされようと、16歳のオーロラにとって結婚はまだまだ夢の出来事のような、誰かと心を通い合わせて踊るよりも一人で踊っていたい!という声が聞こえてきそう。少女の恥じらいとあどけなさが残る彼女も、プロムナードを繰り返すごとに気品をたたえる王女へと変貌を遂げて…。バランスは取れるけど回るにはサポートが必要、でも今は男性のエスコートよりも大人になったことに夢中。そんな大人の階段を上ったばかりの淑女オーロラの、微妙な心理が垣間見えそうなこの場面にプロムナードの振付をあてるなんて、素敵な演出だなと観るたびに思うのです。