藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第29回】壁でポワント Single Leg Kick- エクササイズ-

中足骨の動きは「土踏まずを引くor出す」を決定付けるところがあります。足の骨や筋肉は、全身の体重を支え、地面の形状や状態により、「足が自ら力の入れ具合を知る」ところがあります。すなわち「体重を掛けないことには、足はどれぐらい力を入れれば良いか分からない」となり、中足骨が浮くような状態であれば、それは足首をペコペコ動かす程度の力しか入りません。

「壁でデュミポワント」

前回ご紹介した「ヒールライズ」ですが、あちらも中足骨の基部、足の中央あたりに、骨が下がるような体重を掛けることで、土踏まずやふくらはぎが本当の力を発揮できます。今回は「上げている足の伸ばし方&内転筋で軸を立てる」という、壁を使ったアラセゴンを紹介します。

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壁に対して足を「ドゥミポワント」に立てて、体重を中足骨に向かって掛けます。壁の足に体重を掛けたまま、ドゥミに上がったり降りたりします。
膝は伸ばしていても曲げていても構いませんが、体重はずっと壁の足に掛けます。
軸足は写真のようにやや斜めに、内もも、内転筋が「軸を立てる=引き上げ」の力が入ります。
バランスに自信がない場合は、何かにつかまっても構いませんが、バーのように「握れるもの」より壁などの「押せるもの」などにしましょう。

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「シングルレッグキック」

単純にこのエクササイズの目的を考えるとまず「裏もも、ハムストリングスを鍛える」と思うところでしょうが、裏ももは使い方の条件によって勝手に入る=鍛えられる。使わなければ衰える部位です。
それよりも今回は「中足骨と腓骨」をメインに方向性を出して、アラベスクやアチチュードの際の「脚の伸ばし方」の意識を高めたいと思います。

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膝を曲げて足をお尻に寄せて、そこから膝を伸ばして後方へ足を遠ざける。本来は「スッ、スッ、ハー」とリズム良く呼吸に合わせて行うのですが、動きの強さよりコントロールを養うために、ゆっくり長い呼吸でスローに行うことをお勧めします。
「膝を曲げる」だけでは裏ももが下部でギュッと締まり、お尻や股関節が固まってしまうので、ゆっくり中足骨と腓骨を「決めたルートで動かす」ことを意識しましょう。

中足骨と腓骨を、アチチュード持ち上げた状態でクルクルと回す「ロンデジャンプ」にも挑戦してみましょう。

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>>> 【第29回】足の伸ばし方のホンネ(骨)

(イラスト:あゆお /写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。


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あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。