藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第27回】指に生命を吹き込む~薬指の実力~

「5つの指を使う」

今回のテーマは、手足の指を繊細に意識することで、体の動きや使い方に、より深みを与えるということ。奥が深いお話なので、頭で考えるより、実際に動かしながら感じてみてください。

手足の指は5本ずつ。親指を代表に、他の指が4本。全ての指がそれぞれの感覚を持ち、どの指をメインに使うかで、体の筋肉や関節の動きも大きく変わってきます。
腕を斜め下45度に構え、それぞれの指を単独で、思い切り長く出してみましょう。

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親指を突き出すと、なんだか首、肩、腕に強い力が入り、更に突き出すと肩が引っ張り返すようにも感じます。人差し指、中指・・・少し落ち着いてくる感じはありますが、まだまだ力こぶや肩に力が入る・・・。薬指!!・・・小指を突き出すと、今度は背中や脇腹にギュッと締まりを感じます。
薬指を押し出す時だけ、なぜか首肩腕が、前後均等の張りを持って「伸び出す」ように感じませんか?
指のスジを表裏で引いたり出したりすることで、手足は形や動きを変えることができますが、そのスジを動かす筋肉は下腕(肘から手首)と、足は脛(すね)の中にあります。
簡潔にお答えすると、「薬指が筋肉のラインの中心」に伸びているのです!

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「薬指を先頭に、スジを伸ばす」

腕も脚も、薬指を一番長く、全ての指を引き出すことで、最大の長さ、張り、強さを生み出すことができます。
指を長く伸ばし出す・・・言うは易しですが、なかなか簡単なことではありません。

掌と手の甲に張る指のスジを、表と裏で均等に、最大に伸ばす為のイメージ。単純明快な「条件」があります。
伸ばすスジ間の幅が広がる。根元から丸ごと押し出す
縮む=スジが寄って幅が詰まる。手首そのものが引いている。

スジが寄る、すなわち指同士の幅が詰まる動きは「握る、指を曲げる」という方向性であり、手そのものを引いてしまうことになるので、指の間は「風通しの良い隙間」をふんわり保つようにしましょう。

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「そして5本の指を感じる」

最初に行った各指伸ばしの実験で気付いた方もいると思いますが、指5本が体中のあらゆる筋肉に「5色の虹ライン」を引いているとすると、指5本ともに意識が入っていないと、どこかの筋肉に「偏った力」「変な形」を生み出すことになります。
手足の指の力の影響を受ける、筋肉の代表株たちを紹介しますので、実際に指を動かして違いを感じてみましょう。
理想は「5本とも同じ長さ、強さ」で伸ばし出し、筋肉に均等な広がりを生み出すことです。

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本題では「手の指」をメインに説明しましたが、「足の使い方」も基本的に理論は同じです。しかし、踵(かかと)とアキレス腱を境に「複雑な違い」を持っているので、次項でエクササイズを含みつつ、お話しましょう。


>>> エクササイズ[ 27 ]「足裏、あしゆびエクササイズ特集-エクササイズ-」

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。


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あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。