【第25回】タンジュで床磨き。5番ルルヴェとパンシェ - エクササイズ-

股関節の回転球の動き、使い方の違いを感じることで、脚の動き、流れ、強さに大きな変化を与えます。

「足裏で床をピカピカに」


両手バーに掴まり、一番ポジションで横タンジュを反復します。タンジュで脚を出す時、どの方向に出しても、股関節は自然と「脚を少し持ち上げよう」とする力から入ってしまいます。これが球の上半分の「脚を引く」という流れ。脚に付けたい力は「地面を押す。出す方向に伸ばす」なので、引いてしまう方向にばかり力が付くと「立てない弱さ」「硬い股関節」を育ててしまいます。

「足裏で床をピカピカに」

「足裏で床をピカピカに」

やはり球の下半分の動きを意識して。注意点としては「どんどん回転させて、結果上半分へと登っていく」にならないように。力の方向の終点は「地面向き。脚の向かう方」として下さい。
足の動きは、つま先まで行き切らずにデュミまで。趾の付け根が、行きも帰りも「床をこすって掃除している」ように、押し出す力を入れ続けてみてください。

「足裏で床をピカピカに」

「足裏で床をピカピカに」

「股関節の回転球、応用編」

今回の回転球の感覚を、二つのポジションで応用してみます。ひとつ目は「ルルヴェアップで5番に締める」
アテールの元の高さからルルヴェに「上がる」ということで、股関節に最初に入る力はやはり「上げる」となりがち。その回転方向を上半分で見ると「外から巻き上がる」。これは腿の骨としては、締めるより「広がる方向性」ではないでしょうか?これも下半分の動きを意識しましょう。イラストで確認できると思いますが、回転方向は「幅を広げる方」です。「なぜ寄せる方じゃないの?」と思われるでしょうが、大腿骨頭の差し込み部同士は「距離を詰めることができない」ので、結果的に入る力が「大転子を締め込む」、すなわち「お尻と前腿をガチガチに締める」方向を生み出すので、骨盤や腹筋を引き上げる為には、股関節は「張る感覚」を与えるのがオススメです。

「股関節の回転球、応用編」

「股関節の回転球、応用編」

次はパンシェでの軸脚、上げ脚の股関節。前後への開脚となります。何事も「しっかりとした土台」があってこその高く上がる脚。となりますから、軸脚の股関節を優先して意識してみてください。
普通に軸脚の付け根を、落ちないように引き上げようとするのは「外から巻き上げ方向」。先ほどのルルヴェと同じく「脚が広がる方向」であるので、脚は引ける方向に逃げていきます。従って、大腿骨頭は「下から押し出す方へ」。その股関節の張りが「骨盤が引き上がる方向に」絞り上げてくれます。それから上げ脚が「下から後ろ上方へ。足先の向かう方へ」腿の骨を上げていくのを感じてみてください。

「股関節の回転球、応用編」

Check
>>> 【第25回】まわるまわるよ股関節は回る〜球の動き〜

バレエ・ピラティスによるカラダ講座

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[文 & 写真]藤野 暢央(ふじの のぶお)

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。

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[イラスト]あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。

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