藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第19回】Book Opening (視界を広げる)- エクササイズ-

「遠眼を鍛える方向性と方法」

まずは画像のような、遠く見晴らしの良い景色を見つけてください。

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この写真の場合、背の高い建物に焦点を合わせると、視界というフレームの中央に両目を向けるため、どんなに遠くても「目を凝らして見る」という緊張する力が入ります。
次に視点をその建物から空へとゆっくり移していくと、雲ひとつない青い空だった場合、合わせる焦点が定まらずに「目がウロウロ」してきます。そこで何かに焦点を合わせず、視界のスクリーンに見える青い空を「丸ごと見よう」として下さい。これが「漠然と遠くを見る」という感覚。頭の中もフワーと広がったのではないでしょうか?

エクササイズとしては、視界にテレビ画面のような長方形をイメージして、横枠の線を意識。リラックスして吐く息と共に横の線がゆっくり広がっていく感覚を作りましょう。映画館で宣伝パートが終わって、本編が始まる時に、カーテンがワイドに広がっていく感じです。

1611_04.jpg 狭い視界 1611_05.jpg 広がる視界

「Book Opening(ブックオープニング)」

横向きに寝て、前に習えから本を開くように腕を開き、肋骨も回して、捻りの体幹を作るエクササイズです。

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腕が頂点を越えて、上体も捻れながら後方へ向かうときに、動かしている方の肩に「後ろに引く力」が強く入らないように注意しましょう。背中を固める力が入り、開こうとする胸も固まってしまいます。
動かしている手先を目で追いかけて、その向こうの景色をワイド画面で広げましょう。横枠がジワリと広がっていく感覚を、脇の下のあばら部分に転移させて、肋骨が横に広がっていくように捻ってみましょう。

「下半身もブックオープニング」

同じ横向きの姿勢で今度は脚が、貝が口を開いたり閉じたりする様に動かして「アンデオール筋」を鍛えます。

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こちらも太ももを開く感覚が「お尻を引く力」から生じ易く、太ももを付け根へと引く力が出てしまいます。
骨盤後方の「仙骨」は優しく息を吐けば、まるで空気が抜けていくように柔らかく保ち、やはりワイド画面の横枠を「膝で広げていく様に」開いてみましょう。
太ももは根元に引くものではなく、根元から絞り出ていくように「アンデオール」できるように目指しましょう。


>>> 【第19回】番外編・眼力 〜広がる視界で広がる体〜

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。