藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第14回】Side Lift(サイドリフト)-エクササイズ-

側面の筋肉群のコントロールにより、軸をまっすぐに保つエクササイズです。体を固めて「まっすぐな棒」になる力を入れてしまうと、逆にバランスが崩れてしまうので、今回はやはり「上手な力の抜き方」と「インナーマッスル」をポイントにエクササイズしましょう。

「サイド・リフト」

写真のように体側面で肘、または手首で支えて上体を起こし、呼吸に合わせてお尻を浮かせて全身をまっすぐにするエクササイズです。

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普通に「頑張って」重い腰を浮かせようとすると、第一に腰、お尻、ももがグッと力を入れてくるでしょう。腰椎、骨盤、股関節の繋がりを「電車の連結部」とすると、まさに電車が出発するときに「ガチーン!」とはまり合い、引き合うように「締まり」が強くなるような力を感じませんか?これは「ある姿勢を制御するために関節が固まる力」なので、動きを出すために育てる体とは違う方向性にあります。腰、骨盤、股関節は「空気の鎖」で繋がっていると意識して、動き始めに深く長い呼吸と共に、空気の鎖は膨張する感じにしてみましょう。これで周りの筋肉は「伸びる、張る」という力を得ます。

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「スター☆」

サイドリフトが上手にできるようになれば、そこで腕や脚のポジションを変えてみましょう。

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ピルエットのみならず、バレエの動きやポジションは全て「背中、お尻を締める」という力が入ってしまいます。この「背中、お尻の筋肉が頑張っている」感覚は「背筋を伸ばす、引き上げる力」にならず「背中やお尻を後方に引く、縮める」という緊張を作ってしまいます。それに伴い肩甲骨やお尻ポケットも「背中の中央に集める」状態になるので、腕や脚を背中に向かって引くことになります。

肩甲骨とお尻ポケットが、動きの途中から完成へと「硬い石」のように力が入ってくると思います。深い息をして、これらの硬い石から空気を抜くように。ふわふわせんべいのような肩甲骨とお尻ポケットで、腕も腿も「より根元に近いところ」を押し出すようにしましょう。背筋はよりよく伸びて、背中は「広がる」という力を得るでしょう。

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>>> 【第14回】回転のススメ~ピルエット~

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。