藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第13回】Roll Over&Scissors(ロールオーバー&シザーズ)-エクササイズ-

逆さまの姿勢でお尻を腹筋で宙へ持ち上げ、立ったときに腹筋により骨盤から足裏へと地面を押す。すなわち「腰を据えて、体を引き上げる」感覚を得るエクササイズです。

お尻や太ももの強い力で動きを出すと、腹筋は「何とか姿勢を制御」しようとして振り回されるのに対して、腰椎やそれを取り囲む腹筋群を「動きの要、動きの始め」とすることで、股関節は更に動きが良くなるような意識を高めましょう。

「Roll Over(ロールオーバー)」

仰向けになって両足を浮かせて、深い吐気と共に足先を頭側の壁へ送り出し、そのまま座骨尾骨をすくい上げるように持ち上げ、組体操の「笹舟」の形になります。背中が硬くて形になれない人はお尻を両手で支える、または後記の「足を引っかけるもの」を用意してください。それでも無理を感じる人は「SpineStretch」(リンク)を練習しましょう

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笹舟の形でお尻を更に高い位置へと押し上げます。お尻の穴、座骨を宙へと上げるのですが、この時「お尻を締める」ような力を入れると、太ももとお尻が固まり、「短く沈む」形で、逆にお腹を地面に押し下げてしまいます。
お尻ポケットはお互いから離れるように。座骨は緩やかに、お尻の穴を天井へと押し出していくように。前の項でお話した「Yの字ライン」を広げるように。骨盤が宙に向けて開いていくチューリップのように、お腹周りが引き上げられる感覚を意識しましょう。
画像のように、足をテーブルやバーに引っかけて、裏ももと腰の伸びを更に分かりやすく感じる方法も試してみてください。

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「Scissors(シザーズ)」

ロールオーバーの姿勢で、今度はスプリット(開脚)を行います。足腰が上にある状態で足を「開く」と力が抜けてお腹がフニャリと沈む、または力が入りすぎて、固まった腰が倒れていく、となりがちです。このエクササイズは開脚ジャンプをきれいに整える為にも良いので、股関節のどこをどのように開くのか、よく考えてみましょう。

先ほどのロールオーバーの姿勢から。両手でお尻を支えて、高いところに伸ばした脚を前後に開きます。まさにシザーズ(はさみ)のように開きます。そして左右の脚を呼吸に合わせて、大きくチョキチョキします。
最初は小さめにクロス。慣れてきたら写真のように、幅広に。このエクササイズはいかに高く脚を持ち上げるかではなく、いかに脚を長く遠くへ押し出せるか、互いの脚を均等に遠ざけるかを意識して練習しましょう。

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やはりお尻の割れ目を締めるように力を入れると、脚は「閉じよう」という動きに繋がります。座骨と座骨を遠ざけて骨盤底筋を張り、前に来ている脚はお尻ポケットから裏ももへ。後ろに行っている脚は前ポケットから膝へ、の方向に、互いの脚を遠ざけてみましょう。


>>> 【第13回】脚はちゃんと上がる(2)〜アラベスクにも上がる〜

(写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。